第2章 ETFの市場の成長 トレード対象としての魅力

ETFの人気の秘密

第1章で見たようにETFはコストが安いです。ETFのコストが投資信託に比べて安い理由は、
ポートフォリオの維持を「外部化」しているからです。これについては第3章で詳しく述べます。

またETFには透明性があります。これは毎日、ポートフォリオ・コンポジション・ファイル(PCF)と呼ばれる保有銘柄のリストを公表しているからです。
ETFの投資家は自分が保有しているETFの中身がどうなっているかを毎日、正確に把握することができます。これは投資信託では出来ない事です。

株価指数などに投資するETFの場合、沢山の銘柄から構成される指数をまるごと買う事が出来るので、即座に分散効果を得ることが出来ます。これもETFがポピュラーな理由です。

また複数のETFを組み合わせることによって(日本市場+外国市場)、あるいは(株式+コモディティ)など自分の好みに合わせたアセット・アロケーションをすることができます。

ETFの人気の秘密は、コストが安く、透明性があり、分散効果が得られやすく、またアセット・アロケーションも簡単だからだ

資産残高面から見たETFの成長

現在、米国のETF市場は約235兆円市場になっています。

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また米国以外のETFも加えると市場規模は335兆円となります。

過去15年間のETF資産の成長率は年率25%でした。これは色々な金融商品の成長率の中で、最も高い部類に入ります。

ETFは、あらゆる金融商品の中で最も高い成長を維持してきた

近年、ETFが集める新規資金は、インデックス投信やヘッジファンドをコンスタントに上回っています。その一方でアクティブ・ファンドからは資産が流失しています。

それでも世界の投資信託に占める米国のETFは6%に過ぎず、まだまだ「伸びしろ」は大きいです。

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ETFの存在感を、別の視点から考えてみましょう。

いま米国全上場株式のうちETFが株主として占める割合は4.8%に過ぎません。つまり優れた商品であって高い成長率を実現しているとはいえ、ETFが巨大になりすぎて、「池の中のクジラ」のような状態になるリスクは、いまのところ無いわけです。

ETFの「伸びしろ」は大きく、「池の中のクジラ」のような問題は、いまのところ心配しなくてよい

出来高から見たETFの成長

次にトレーディングの対象としてETFがどれだけ伸びて来たかを見ることにします。

こんにちETFは売買代金にして約7.8兆円ものETFが、毎日、売り買いされています。これは米国の全ての株式市場における1日当たりの売買代金約27%に相当します。

ETFは米国の全ての株式市場における1日当たりの売買代金の役27%を占めている

SPDR S&P500 ETF(ティッカーシンボル:SPY)は、大体、アップル(AAPL)に匹敵する出来高を誇っています。
アイシェアーズMSCIエマージング・マーケットETF(EEM)は、マイクロソフト(MSFT)の出来高といい勝負です

なおETFのトレーディングは、圧倒的に米国で盛んです。出来高シェアで米国は86%を占めています。ちなみに日本は2%に過ぎません。

つまり米国の投資家はETFをBUY & HOLDだけではなく、トレーディングのツールとしても使っているということです。

ETFの「使い道」は、BUY & HOLDだけじゃない。トレーディングのツールとしても重宝する。

下は米国投資会社協会(ICI)のアンケート調査の結果ですが、ETFを保有する世帯は、そうでない世帯に比べてリスク・テーキングに積極的であることが明らかになっています。

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なお日本のETF市場は未だ規模が小さく、存在感がありません。しかしそれは今後とも日本ではETFが広く普及しないということではないと思います。
ETFはその仕組みからして取引が増えると自然に資産も増えるという性格を持っています。
今後、金融緩和政策の一環としてETFを購入するというようなことが増えれば、市場は自ずと成長しはじめると思われます。

サクサク取引できることの重要性

トレーディングの際、最も重要なことは、自分が買い注文や売り注文の「引き金」を引いたとき、瞬時に約定が返ってくることです。言い換えれば、サクサク約定することが極めて大事です。

なぜなら、発注してから約定が確定するまでの時間が長ければ、トレーダーは(一体、さっきの注文は、出来ているの? それとも出来てないの?)という不確実性の下に置かれます。

自分の正確なポジションが把握できないということは、リスク管理すら出来ないことを意味します。

一般にポピュラーなETFはBid/Askの乖離(かいり)が小さいので、約定は瞬時に上がってきます。

このような約定の安定感は、機関投資家がどのツール(=先物か? それともETFか?)でヘッジや急場のポジションの拡大を行うかの判断を左右する、大事なファクターです。

トレーダーが何を取引するか? を決断するとき、約定の安定感は大事なファクターとなる

日本の株式市場は米国に比べて値動きが激しいです。そのことはトレーディングに向いている市場だと言い直すことができると思います。