国際分散投資で成功する秘訣はETFにあり!

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手軽に分散投資するなら、日経平均株価やTOPIXに連動する投資信託やETF1つ購入するだけでも分散効果を期待できます。日本の市場だけを見ればそれでも良いかもしれませんが、世界経済の中心は依然として米国にあり、また世界には日本よりも成長している国や地域が数多く存在しています。10年先、20年先の資産形成を考えた時には世界の成長市場に投資することが大事だと耳にしてはいるけれど、実際何にどう投資すれば良いのか分からないという方も多いでしょう。そんな皆さんに国際分散投資で成功する秘訣をご紹介いたします。

1.国際分散投資が必要な理由

低成長、低金利が定着している日本で資産を増やそうと考えた時に、いったいどのような選択肢があるでしょうか。もちろん株やFXなどリスクをとって投資すれば増やせる可能性はいつの時代にもありますが、安定した資産形成を望めるものでもありません。日本以外の投資先に目を向けることが自ずと必要になってくるでしょう。

1-1.世界には成長している国、地域がたくさんある

ここ数年の株価回復などで日本の景気が少し上向いているように感じている方も少なくないかもせれません。でも、世界を見渡してみると日本は先進国の中でも成長率の鈍化は一目瞭然です。2020年のオリンピック開催に向けて一見景気が良くなりそうな感覚に陥りがちですが、IMF(国際通貨基金)世界経済見通し(2017年1月現在)で日本は2017年0.8%、2018年0.5%と当面低成長が予想されています。日本に拘っていたら、資産を増やすどころか減らしてしまう可能性だってあるかもしれません。高い成長が見込まれる国、地域に投資することは、今後より大切になってくるでしょう。

1-2.日本だけに集中投資してはダメな理由

日本の人口は2008年の12800万人をピークに減少に転じています。このまま推移すると2030年には12000万人を割り、2050年には1億人を割り込むと見られています。

人口減少は経済力の低下に繋がる

人口が減少するということは、国内消費は当然減少していきますので、内需の拡大は望みにくくなり企業業績も下降していきます。企業活動は輸出に傾くでしょうが、生産は労働賃金の割安な海外へ拠点を移すことになり、国内産業は弱体化しやすいということは想像に難くはないでしょう。

人口増加は経済規模の成長

一方で、先進国の中でもアメリカは着実に増加し2050年には4億人弱、新興国ではインドを筆頭にナイジェリア、インドネシアなどの人口増加が顕著であり経済規模の成長が期待できます。

1-3.国債分散投資の目的

国際分散投資の目的は、投資する国や地域、資産クラスなど投資対象の幅を広げることにより、投資リスクを軽減し利回りを向上することです。株式の場合であれば、国、地域分散は当然ですが、それでもリーマンショックのようなインパクトの大きい経済危機の場合には全体的に影響を受けざるを得ません。

分散投資の意義

そんな時でも、株だけではなく債券、金や原油などのコモディティ、不動産など異なる値動きをする可能性がある資産クラスに分散投資することにより、特定の資産クラスの値下がりによる資産減少を和らげ、ポートフォリオ全体で利益を追求していくのです。

2.国際分散投資にはどんな金融商品があるの?

では、国際分散投資と聞いてどんな金融商品に投資すればよいのか具体的に思い浮かぶしょうか。最初に思い浮かぶのは最も一般的な金融商品は投資信託かもしれませんが、それも含めてどんな金融商品が適しているのか見ていきましょう。

2-1.外貨預金

米ドルや豪ドルなど円以外の通貨での預金で、円預金よりも金利が高い傾向があります。ただ、円での価値はその時点の為替レートによって日々変動するので、円高が進むと円換算した価値が目減りしてしまいます。自ずと円高時にはそのまま外貨で保有しておき、円安になってから円換算するという行動になるでしょうが、機動的な資産ではありません。寝かせておいても大丈夫な資金を使いましょう。

2-2.外債

日本の長期国債の利回りは02%で低位安定しており、一面、安全と言えるかもしれません。でも、政策金利同様、資産を増やすには物足りない水準です。

人気の高い外貨建て債券

そんな中で以前から人気が高い金融商品が、国内債券に比べて高い金利が魅力の外貨建て債券です。米国債をはじめ、オーストラリアやニュージーランドの資源国、トルコや南アフリカランドなどの新興国の高金利通貨建ての債券に人気が集まります。

注意しておきたいのは為替リスク

注意したいのは、外貨預金と同様、為替変動により円換算資産の増減リスクがあることです。満期償還時に円高だったりすると、せっかくの利回りも円換算するとマイナスということも考えられます。もちろんその反対に円安が進んでいて想定よりも資産が増える場合もあります。

2-3.外国株

例えば、P&Gやジョンソンアンドジョンソン、コカコーラは日本でもお馴染みの世界的に有名な企業ですが、実は50年以上増配を続ける超優良企業です。配当を増やし続け株価も右肩上がりを続けていますが、日本にはこんな企業はなかなか見当たりませんよね。とはいえ、こうした個別の銘柄を選ぶには、日本株であろうが米株であろうが企業情報、決算情報、過去の値動きの理由を調べたりするなど手間暇かける必要があります。

2-4.投資信託

国際分散投資をするのに最も一般的な金融商品が投資信託でしょう。NISA口座や個人型確定拠出年金などの普及により、今まで投資経験がなかった方でも手軽に投資を始められるようになりました。

一般的な投資信託

 

一般的な投資信託は、ファンドマネージャーといわれるプロが投資先や銘柄を選定し市場平均よりも高いパフォーマンスを目指して運用する金融商品です。対象資産クラスは多種多様ですが、あらかじめ分散投資を行うので、個別株投資と比べるとリスクは各段と低くなっています。1万円前後と少額から投資でき、また毎月少しずつ積み立て投資をすることもできますので、長期の資産運用にも向いています。ただ、運用に人手を介している分、信託報酬などの運用コストが割高だとも言われており、最近では運用に人手を介さずに主要株価指数などに連動するインデクッスファンドの人気が高まっています。

>>投資初心者の投資信託選び5つのポイント

2-5.ETF(上場投資信託)

 

ETFとはExchangeTradedFundの略で上場投資信託と呼ばれ、証券取引所に上場され株と同じようにいつでも売買できる投資信託です。投資信託でいえばインデックスファンドに分類されますが、以下の点で投資信託よりも優れた金融商品だと言われています。

売買の機動性が高い

一般の投資信託は1日1回、基準価格で売買するため、急な変動時に売りたくてもすぐに売れません。その点、ETFは取引時間中ならいつでも売買できるというメリットがあります。

透明性が高い

日経平均株価やTOPIX、S&P500など国や市場を代表する株価指数に連動する成果を目指すように設計されているため、基準価格はもちろん構成銘柄や構成比率などリアルタイムで見ることができます。

分散投資効果を得られる

そもそもベンチマークとなる指数が複数銘柄から算出されているため、1つのETFに投資するだけで分散投資をしているのと同じことを意味します。例えば、S&P500に連動するETFであれば、それ1つでアメリカを代表する500社に分散投資しているのと同じ効果を得ることができます。

信託報酬が割安

ETFは、一般の投資信託と比べると信託報酬が安く設定されているものが多くなっています。例えば、投資信託の中で積極的な運用成績を目指すアクティブファンドでは、ファンドマネージャーが企業分析やスクリーニング、入れ替えなどを行うためその分コストがかかりますが、インデックス運用となるETFにはその手間がかかっていないため、アクティブ投信の平均費用比率が約0.66%なのに対してETFは平均約0.3%と半分以下になっています。

>>ETFとは?現役証券マンの初心者講座

3.国際分散投資にもっとも適した金融商品は?

 

外貨預金や外債は預貯金や国債と同様、比較的ローリスク・ローリターンだと思われがちですが、為替変動リスクは意外と大きいので注意が必要です。例えば、高金利通貨の代表であるトルコリラ円は、過去10年間でおよそ100円から30円と70%も価値が下がっているのです。

3-1.もっとも適した金融商品はETF

では、国際分散投資に最も適した金融商品は何かといえば、それはETFです。国内に上場されているETFを対象とするならば投資信託のインデックスファンドに投資してもそれ程違いはありませんが、円資産だけではなく円以外の資産も投資対象とすることでリスク分散を図るのが国際分散投資です。実は、世界のETFの純資産額の約70%が米国であり、種類も約2,000本と豊富で、米国のみならず世界全体や先進国、新興国に投資できる株や債券を対象とするETFや金や原油などのコモディティに投資できるETFなどが網羅されています。

>>インデックス投資にはETFを上手に使おう!

4.国際分散投資を始める3ステップ

では、実際に国際分散投資を始める際に、どのような手順で投資対象資産を決めていけばよいのか、その手順をご案内いたします。

4-1.まず投資対象地域を分散する

いくつ位の国、地域に分散すればよいのか考え方は様々あるでしょうが、土台として世界のGDP構成を確認しておきましょう。世界経済の中心は依然として米国ですが、比率でいえばおよそ25%。次いで中国が15%、そして日本6%と続いています。地域でまとめると、中国、ブラジル、インドで約20%、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアなど欧州上位で約15%となっています。ただ、新興国は変化も大きいため、このままの比率をあてはめるとリスクも大きくなるかもしれませんので、そこは実際の対象商品のリスクリターンなどを確認して調整しましょう。

4-2.資産クラスを選ぶ

一般的な考え方として、株式はハイリスク・ハイリターン、債券は比較的ローリスク・ローリターンと考えられますが、対象金融商品をETFに限定すれば、いずれの資産であってもそもそも市場平均に連動するよう分散されマイルドになっています。とはいえ、安定性を重視する場合は債券比率を高めるのがセオリーです。バランス型ポートフォリオの一例をご紹介します。

4-3.投資商品を選ぶ

では、最後にどんな銘柄を選べばよいのか、各資産クラスの代表的なETFをご紹介します。

株式に分散投資するETF

株式を対象とするETFは種類が豊富にありますので、その中で代表的な銘柄を抜粋してご紹介します。米国市場に上場されているものはティッカーを、日本に上場されているものはコードをご参照ください。

債券に分散投資するETF

日本国内で発行されている債券を対象にした債券ETFはまだ存在しませんので、ここでは米国市場に上場されている代表的な債券ETFを抜粋してご紹介します。

>>ETFで債券に投資ができる!その仕組みと東証上場銘柄

その他の資産に投資するETF

>>はじめて金に投資するならETFがおすすめ

>>原油ETFに投資する3つのメリットと注意点

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。難しそうに聞こえる国際分散投資も、ETFならば元々分散投資されている金融商品なのであれもこれも選ぶ必要なく、手軽に国際分散投資を始めることができるのです。また、債券ETFを上手に組み入れることで、値上がり益ではなく分配金でコツコツ増やしていくこともできます。ぜひこの機会に、ETFを使った国際分散投資を始めてみませんか。

>>初心者必見!ETFの分配金利回りにも注目2017年版