
投資信託の運用方針は、インデックス運用とアクティブ運用の2つに大別できます。
- インデックス運用
特定のインデックス(日経平均株価などの指数)に連動した成果が着実に得られる投資を行うもの
- アクティブ運用
特定のインデックスを上回る成果をめざした投資を行うもの
このように説明されると、投資信託のことにあまり詳しくない人はアクティブ運用のほうに魅力を感じるかもしれません。しかし、それぞれのメリットとデメリットをきちんと理解したうえで判断することが大切です。
■インデックス運用とアクティブ運用の特徴
まず、インデックス運用は特定の市場の平均値を手堅く享受できるのが一番のメリットだといえるでしょう。これに対し、アクティブ運用は狙い通りにインデックスを凌ぐ成果が得られる反面、インデックスを下回る成果に甘んじることもあります。
言い換えれば、特定のインデックスに連動するインデックス運用はアクティブ運用と違って結果にブレが生じないものの、想定以上のリターンが得られることもありません。
つまり、堅実性を求めればインデックス運用、可能性を追求したいならアクティブ運用という選択になってくるわけです。
■ETFの特徴
そして、インデックス運用を行っている投資信託の具体的な選択肢の一つとなってくるのがETFです。「Exchange Trade Fund(指数連動型上場投資信託)」がその正式名称で、特定のインデックスに連動するように設計されています。
ETFは証券取引所に上場していて、株式と同じようにリアルタイムで時価での取引が可能となっていることが特徴です。一般的な投資信託は買い付けを入れた後に算出される基準価額に基づいて注文が約定するようになっており、ETFのように時価で売買できるものではありません。
しかも、ETFの売買手数料は株式と同じ料率のものが適用され、その設定が割安な証券会社を選べば非常に低コストで取引できます。保有中に発生するコストである信託報酬についても、インデックス運用を行っている一般的な投資信託よりも低率になっています。
加えて、ETFは比較的少額から投資できるのも特徴です。その中には、わずか数千円から取引できるものもあります。
さらに、様々なインデックスに連動するものが豊富にそろっているのもETFの特徴であり、メリットでもあります。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、JPX日経インデックス400といった国内の主要な株価指数はもちろん、業種別指数や海外の株式市場、REIT(不動産投資信託)などに連動するETFが数多く上場しています。
証券会社によっては、日本国内(東京証券取引所)のみならず、海外の株式市場に上場している海外ETFまで取引することが可能です。タイプの異なるETFを複数組み合わせて運用すれば、少額でも本格的な国際分散投資を実践できます。
■バランスを考えた運用
さて、このように使い勝手がよくて低コストで取引できるETFですが、そもそもインデックス運用とアクティブ運用ではどちらを優先的に選択すべきなのでしょうか。冒頭でも触れた通り、それぞれに一長一短があるので、状況に応じて上手に使い分けることが肝要だと言えます。
その一例として挙げられるのは、ETFに積立投資を行いつつ、アクティブ運用の投資信託をスポット購入するという手法です。ETFを毎月少額ずつ買い付けながら、ボーナスなどでまとまった資金が手元に入った局面や、相場の動きから見て好機だと判断できる局面などでアクティブ運用の投資信託を購入するわけです。
そうすることで、相場の平均的な動きをしっかりと享受しつつ、さらにプラスアルファのリターンを追求できます。結局、投資において特に重要なのはバランスであり、その意味でもETFや投資信託を組み合わせて運用することは非常に意義深いのです。