
低金利、マイナス金利の今の時代に預貯金だけでは資産を増やしていけないが、じゃあどういった金融商品に投資をしていけばいいのだろうと迷っている方も多いでしょう。株式、債券、不動産、金などのコモディティなど投資対象の資産はいろいろありますが、どれも投資するにはまとまった資金が必要です。でもETFならば、日本のみならず世界の様々な投資対象に小口で投資することができるのです。ETFを知れば知るほど、これほど投資家思いの金融商品が他にはないことに気付くでしょう。そんなETFの特徴を詳しくご紹介します。
目次
1.投資家思いの特徴が満載のETF
ETF(上場投資信託)は、株式と同様に証券取引所に上場され取引時間中いつでも売買できる投資信託です。一般の投資信託の場合、1日1回の基準価格によって売買できますが、リーマンショックなどの突然のマーケット変動に即座に対応することができません。株式と同じように機動的に売買できることがETFの特徴ですが、その他にも投資思いの特徴が満載なのです。
1-1.投資初心者にも分かりやすくリスクが小さい
ETFは、日経平均株価やTOPIX、S&P500、特定の商品指数等、世界の各市場の代表的な指数に連動するように作られているため、個別銘柄よりも値動きが分かりやすいのが特徴です。投資対象が指数なので、値動きは個別銘柄よりも自ずとマイルドになりリスクも小さくなります。また個別銘柄だと倒産時には価値がゼロになってしまいますが、ETFでは指数を構成する企業が1社倒産しても大きな影響はありません。
1-2.分散投資効果を得られる
例えば、TOPIX(東証株価指数)は東証1部上場のすべての銘柄の株価を基に算出される指数のため、TOPIXに連動するETFを買えば、自ずと東証1部上場の約1,700銘柄に分散投資するのと同じ効果を得られることになります。米国の株式に投資したいと思っても、アップルやマイクロソフトなどは知っていてもどの銘柄に投資すれば良いのか簡単には判断できませんが、S&P500に投資すればそうした成長企業を含む高収益企業に分散投資することができます。
1-3.投資コストが安い
ETFのコストには、売買手数料と信託報酬があります。売買手数料は、通常の株式の売買手数料と同じ設定となっている場合が多く証券会社によって異なります。一般の投資信託にはノーロードなど売買手数料がかからないものも多いため、売買手数料は一般の投資信託の方が有利なケースも多いでしょう。しかし信託報酬については、一般的な投資信託と比べETFの方が安く設定されています。ETFの投資対象は国内ETFではTOPIXや日経225、海外ETFではS&P500やNASDAQ指数等をベンチマークとして運用するため、一般的な投資信託のように銘柄選定など運用コストが必要なくその分信託報酬が安く設定されています。信託報酬は運用資産から差し引かれるコストですので、これが安いということは投資家にとって有利と言えます。
1-4.分配金を得られる
ETFでは、個別株の配当にあたる分配金を得ることができます。分配金や分配頻度は銘柄によって異なりますが、国内ETFでは年1~2回、海外ETFでは年2~4回(半期または四半期)という銘柄が多くなっています。また、海外債券ETFでは毎月分配で、分配金利回り(実績)が年間で5%を超える銘柄もあります。一般の毎月分配型投資信託に見られるように元本を分配金に充てるようなものではありませんので、ご安心ください。
2.ETFのデメリット
投資家思いの特徴満載のETFといっても、一般の投資信託の方が有利な点もあります。
2-1.売買手数料がかかる
ETFは証券会社によって異なりますが、株式と同様の売買手数料が一般的です。それに対して一般の投資信託はノーロード(購入手数料0円)が一般的となってきました。
2-2.自動積み立てができない
一般の投資信託では毎月の定額の積立投資が可能ですが、ETFでは積立制度がないため、毎回自分の考え、タイミングで購入する必要があります。
2-3.分配金の自動再投資ができない
一般の投資信託では複利効果を求める際に分配金の自動再投資を選択できますが、ETFではその仕組みがないため、複利運用するためには毎回自分の考え、タイミングで購入する必要があります。長期投資の考えでは、分配金の再投資は重要ファクターの一つと考えられますので、自動で再投資できない点は少し不便です。
3.国内ETFと海外ETFどちらがいいの?
ETFには、国内に上場しているETFと海外に上場しているETFがあります。外国株式の取引を取扱っている証券会社ならばどちらも取引することができます。ETFは米国でもっとも発展しており、パフォーマンスの高い銘柄も実は米国に数多く存在しています。海外ETFは売買手数料や為替手数料、為替レートの変動などを考慮すると短期投資には向きませんが、長期投資でより高いパフォーマンスを得られる可能性があるのは海外ETFと言えるでしょう。
国内ETF | 海外ETF | |
売買手数料 | 国内株式売買手数料と同じ 比較的安い | 外国株式売買手数料と同じ 国内ETFより割高 為替手数料もかかる |
信託報酬 | 基本安い | 国内ETFより安い銘柄がある |
利便性 | 円で口座管理できる 流動性の高い銘柄が限られている | 外貨口座で管理 銘柄数が多い 流動性の高い銘柄が多い |
4.ETFで長期のポートフォリオを組む
ETF自体が分散投資効果のある金融商品ですが、投資対象は株式、債券、不動産、商品など多岐に渡るので、万が一に備えた分散投資の考え方を実践するのに適した金融商品でもあります。ここで、年金基金など安定運用を目指す機関投資家が組むポートフォリオの事例をご紹介します。個人でも組むことができるように、各資産の配分を示していますので、ぜひご参考にしてください。
低 ← | リスク・リターン | → 高 | |
ローリスク型 | バランス型 | 積極型 | |
海外債券ETF | 60% | 40% | 20% |
日本株ETF | 20% | 20% | 20% |
米国株ETF | 10% | 10% | 20% |
新興国株ETF | 10% | 20% | 30% |
原油・金ETF | - | 10% | 10% |
合計 | 100% | 100% | 100% |
特徴 | 債券ETFの比率を高め、安定運用を目指す | 株と債券でバランスをとりミドルリスク・ミドルリターンを目指す | 株式費利率を高めるとともに原油、金などコモディティも組み入れ積極的にリターンを追及 |
【想定する代表銘柄】
海外債券ETF:iシェアーズiBoxx米ドル建て投資適格社債ETF(ティッカー:LQD)
日本株ETF:日経225連動型上場投資信託(コード:1321)
米国株ETF:SPDR®S&P500®ETF(ティッカー:SPY)
新興国株ETF:バンガード®・FTSE・エマージング・マーケッツETF(ディッカー:VWO)
原油:WTI原油連動ETF(ティッカー:USO)
金:SPDR®ゴールド・シェア(ティッカー:GLD)
※日本株ETF以外は海外ETFを想定しています。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。
過去10年間でもっとも成長した金融商品として特に米国では個人による取引シェアが60%を超える人気となっているETFですが、日本ではまだまだ一部の投資家にしかその良さは知れ渡っていません。でもせっかく投資するのであれば、長期的な視点で運用しやすく他の金融商品に比べリスクやコストも低いETFがお勧めです。ETFで一攫千金は望めませんが、資産運用はギャンブルになってもいけません。皆さんもこの機会にETFを購入してはいかがでしょうか。