素朴な疑問を解決 ETFの運用コストはなぜ低いのか?

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(写真=PIXTA)

多少なりとも投資経験のある人なら、ETF(指数連動型上場投資信託)の存在は認知していることでしょう。欧米と比べれば、日本人投資家にはまだまだ知名度が高いとは言いがたいものの、手数料(コスト)が低いことで新聞や雑誌などでもよく取り上げられるようになっています。

そもそもETFとは、特定の指数に連動するように設計された金融商品で、株式と同じように取引所(市場)に上場して時価で売買されています。では、なぜ投資信託と比較してETFのコストは低いのでしょうか。

 

ETFと投資信託の「コスト」を比較

ETFを購入した投資家が負担するコストは、売買手数料(購入時と売却時)、信託報酬(保有期間中)です。一方で、投資信託の場合は販売手数料(購入時)、信託報酬がかかってきます(解約時に信託財産留保額を徴収する商品もある)。

ETFの売買手数料は株式と同じ料率のものが適用され、かなり低めの設定になっている証券会社も少なくありません。それらと比べれば、一般的な投資信託の販売手数料は高めです。

一般の投資信託にはノーロード型(販売手数料ゼロ)もありますが、それでもETFと比べると信託報酬が高く設定されています。ただ、特定の指数に連動すると言えば、ETFのみならずインデックスファンドも然りです。

インデックスファンドの運用は対象の指数に連動するように銘柄を買いそろえればそれで事足り、アナリストによる調査・分析などのコストがかかりません。特定の指数よりも高いリターンをめざすアクティブファンドは比較的頻繁に組み入れ銘柄の売買を行い、それに伴って売買コストもインデックスファンドと比べて高くなりがちです。

こうしたコストの違いから、インデックスファンドはアクティブファンドよりも投資家が負担する手数料設定が低く抑えられています。ところが、同じく指数連動型でありながら、ETFはインデックスファンドよりもさらに信託報酬が低めの設定となっています。

インデックスファンドは販売会社を介した取引となるため、信託報酬にもその取り分が反映されます。加えて、投資家からの解約や一部売却の要望に応えて組み入れ銘柄の売買を行うため、その分のコストも発生します。

これに対し、ETFは金融商品としてのスキーム自体がインデックスファンドとまったく異なっており、組成の際に販売会社を通じて投資家から資金を集めません。ETFとは特定の指数に近い構成の銘柄バスケットを証券化した商品で、それが市場において売買されています。

このため、ETFが市場で売買されても運用会社が特に対応すべきことはないのです。売買を取り次ぐ証券会社も、所定の売買手数料を徴収するだけで、信託報酬にその取り分が計上されることはありません。

 

「手数料=入り口」で運用の成否は決まる

ここで話を整理すると、まずインデックスファンドの信託報酬は販売会社、運用会社、受託会社(信託銀行)で分け合っています。一方、ETFでは運用会社と受託会社にしか支払われていません。

そして、前述したようにETFでは解約などの応じた売買コストも発生しないことから、インデックスファンドよりも信託報酬がかなり低くなっています。国内株式のインデックスファンドで最も低いものが0.29%であるのに対し、国内株式のETFは0.078%という設定です。

「ケタ違いとはいえ、インデックスファンドもゼロコンマ以下だから、さほど差が生じないのでは?」と思ったかもしれません。しかしながら、インデックス投資の鉄則である長期運用に徹すれば徹するほど、その差は軽視できないものとなってくるのです。

0.29%と0.078%の差は0.212%にすぎないと思うかもしれませんが、たとえば毎月3万円ずつ10年間にわたって積立投資を続けた場合、この信託報酬の違いはリターンに約5万2000円の差が生じます。月々の積立額がもっと多かったり、運用期間がもっと長期だったりした場合は、当然ながら差がいっそう拡大することになるでしょう。

このように、金融商品を購入する際には、コストの違いを疎かにすることは禁物です。どのような達人であっても運用成果を完全にコントロールすることができませんが、コストは自分自身の意思で安いものをセレクトすることで抑えられます。

ETFをはじめとする金融商品の運用は、コストの安いものを選び抜くという「入り口」のプロセスで成否が決まってくると表現しても、けっして過言ではないでしょう。

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