ETFのリスクや注意点をまとめてみた

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知る人ぞ知る金融商品として話題のETF(Exchange Traded Fund)。
どこのサイトでも低コストで効率よくて素晴らしいと良いことばかりが取り上げられています。

だからこそ実際に購入する前にはリスクの部分や注意点を知っておきたいところ。
この記事を読み進めればETFが初めての方でも何に注意すればいいのか、そして対処法を知ることができます。

Contents

1-1.価格変動 株と同じように値下がりもします

もっとも基本的なリスクが、価格変動リスクです。
ETFは上場している投資信託です。
上場株式と同じ扱いで、取引所で売買ができます。

元本保証商品ではありませんから当たり前ですがリターンがあればリスクもあります。
では一般的にどのくらいリスクがあるのでしょうか?
また、リスクを軽減するためのテクニックなどについてご紹介させて頂きます。

1-1-1 日本株代表のETF 「日経225ETF」の場合

日経225をなぞるように作られた日経225ETFであれば

2002年からの値動きです。
このETFの値動きリスクはどれくらいあるのか?といった場合に下落幅をみます。
日経225ETFは1万8,000円位から7,000円台に落ちていますね。
リーマンショックの時です。

1-1-2 米国株代表 「S&P500ETF」の場合

アメリカ経済を代表する指標であるS&P500をなぞるS&P500ETFの場合

154ドル位から60ドル台に落ちました。
同じくリーマンショックの時です。

要するに日本経済を代表する指標である日経225もアメリカ経済を代表する指標であるS&P500もリーマンショックのようなことがあるとETFの価格は半分に下がってしまうことがありますよということです。

もちろんETFではなく、個別株式であればこれよりも更にもっと下落した株式もたくさんあったでしょうし、あまり値下がりをしなかった銘柄も存在したでしょう。

ETFの場合は複数の個別株式でポートフォリオを組まれているので、リスクは分散されていますが、それでもこれだけの変動があります。

1-1-3 米国投資適格社債 「iシェアーズiBoxx米ドル建て投資適格社債ETF」の場合

株式ではなくて債券をベースにしたETF

株式ではなくて債券をベースにしたETFであれば、この下落率は抑えられます。
リスクリターンの関係ですから、上昇率も抑えられます。
ETFの種類によってリスクリターンの度合いが変わってきますので、その点は理解した上で購入する必要があります。

 

1-2.価格変動リスクの2つの王道的な対処法

ETFを購入する時の価格変動リスクに対する対処法について少しだけ説明します。
基本的にリスクそのものをなくすことは不可能ですが、軽減させることはできます。
突き詰めると取引テクニックというマニアックな話になってきますので、ここでは大きく2つをご紹介します。

1-2-1 ポートフォリオを組む

1952年にハリー・マーコウィッツによって提唱された現代ポートフォリオ理論の計算式をベースにポートフォリオを組む方法です。ポートフォリオは適当に色々な種類の資産を入れればいいというわけではなく、実際に様々な種類の金融商品を保有した時に期待リターンやリスクを評価しなければなりません。
ゼロからポートフォリオを組むのは金融工学の知識が必要になります。

金融の専門家でなくてもポートフォリオを組める無料ツール

でも今は便利な世の中。無料でリスクリターンなどを計算してくれるツールも出てきています。
例えば海外のものですが、参考になると思いますので一つご紹介いたします。
ETFプロバイダーのブラックロックさんが無料で提供している「ishare Core Builder」です。

質問に答えていくとレポートをダウンロードすることができます。
IshareブランドのETFのみで構成されますが、配分のイメージつくと思います。

ブラックロックさんが無料で提供している「ishare Core Builder」

また、現代ポートフォリオ理論をベースに自動的にETFでポートフォリオを組んでくれるサービスがロボアドバイザーだったり、各証券会社が提供しているラップ口座のアドバイスだったりします。

ポートフォリオを組むことはETF投資においてはもっとも一般的な方法だと思います。

 

1-2-2 購入タイミング、取引手法を工夫する

ポートフォリオを組む以外にリスクを軽減する方法は、ドル・コスト平均法、バリュー平均法など、購入タイミングや購入金額を価格によって変えることで平均購入価格を平均化していく方法があります。

ドルコスト平均法で購入価格を平均化していく

例えばドル・コスト平均法とは1回で100万円の買い付けを行うのではなく、10万円づつ毎月定期的に購入していくことで購入価格を時間軸で平均化していきます。定額で買い付けるので価格が安くなった時ほど購入できる口数は増えます。

バリュー平均法で目標試算額を定め購入金額を変えていく

一方でバリュー平均法は〇カ月後の目標資産額を定めた上で、毎月の運用資産額を決めて購入していきます。実際の運用資産が目標額を上回っている時にはその分だけ売却をするなどを行います。

自動売買という新しい方法も

ドルコスト平均法やバリュー平均法を自動で定期的に行ってくれるサービスは今はまだあまり見かけませんので残念ながら手動で毎月行う必要があります。

一方で変わり種として一定のレンジ幅に注文を複数に分けて入れていくことでETF価格が下がった時の平均購入価格を下げ、さらに上昇だけではない上がったり下がったりのレンジ相場の動きを捉えるような自動売買サービスも存在します。
>>少額からはじめる最新の資産運用のイロハ

 

2-1. 流動性 人気がない銘柄は売却できない時がある

ETFで考慮しないといけないリスク2番目は流動性。
人気がないETF銘柄の場合は売りに出してもだれも買ってくれません。
いくらETFの価格が上昇して、分配金もたくさんもらえたとしてもいざという時に売れないのでは困ってしまいます。

 

2-2. 流動性リスクを回避する方法

このリスクを回避する方法は2つあります。

  1. 出来高がなく人気のない銘柄を避けること。
  2. そして、出来高のある取引所で購入することです。

2-2-1 出来高のある取引所とは?

例えばS&P500ETF。アメリカ経済を代表する指標をなぞるETFです。
日本でも円転された形で上場しています。

このS&P500ETFですが、日本での流動性と米国での流動性にはこれだけの差があります。

日付 SPDR® S&P500®ETF
[1557] 日本
SPDR® S&P500®ETF
[SPY] 米国
2016/4/5 2,923 99,662,158 34,096
2016/4/6 920 91,839,761 99,826
2016/4/7 764 113,859,037 149,030
2016/4/8 785 95,040,598 121,071
2016/4/11 1,117 83,757,486 74,984
2016/4/12 619 115,350,567 186,350
2016/4/13 560 96,336,433 172,029

S&P500ETFの場合流動性リスクの観点で考えると米国の取引所で購入を検討した方がよさそうです。
海外ETFを購入する際には日本国内の証券会社の海外口座が必要になります。

 

3-1. 為替リスク 海外ETFは為替の影響を受ける

流動性の観点でも種類の豊富さの観点でもETFでの資産運用を考える時には外せないのは海外ETFです。
実際にETFを既に検討されている皆さまの多くは海外ETFを検討されている方が多いのではないでしょうか?

日本の株式や不動産、債券を対象としたETFであれば日本の取引所でOKですが、海外資産を対象とするETFの場合はやはり海外ETFをおススメします。

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この時に忘れてはいけないのは為替リスクです。
海外ETF(米国)を購入する際にはまず円をドルに換えてからドルで購入します。

つまり購入するETFは全てドル資産ベースになります。
この場合、海外ETFで利益が出た分を将来円に戻して使おうと考える場合にはドル円の為替レートは大きな影響を与えます。

円高は怖い。ETFが値上がったのに元本がマイナスに。

買付額: 1,000ドル | 買付額ドル円レート:120円 | 利益:400ドル

売却時ドル円レート 80円(円高) 120円 140円(円安)
現物海外ETFの購入時の元本に対する差 ¥-8,000 ¥48,000 ¥76,000

このように為替が円高になってしまうとETFが値上がりしたとしても円に直すと元本割れということもあります。

日本に上場している原資産が海外のETFも同じく為替の影響を受ける

だったら、日本に上場している海外資産を対象にしたETFを購入すればいいじゃないか?と思われるかもしれません。残念ながら先ほどご紹介した日本に上場している「S&P500ETF」などのETF価格は米ドルベースのものを円転しているので、円高の影響はまともに受けます。(ヘッジドのETF以外は全て同じ)
海外ETFを購入する時は基本的には円高時が有利です。

ただし為替予測は投資の中でも難しいと言われる取引です。
円高っていつでしょう?
為替の予想をしなくてもよくて為替リスクを減少させる方法はないのでしょうか?

 

3-2. 為替リスクに対処する3つの方法

多くの海外ETF投資をされた方がみなさん悩まれているのが為替リスクの対処法だと思います。
海外ETFを購入する際に為替リスクに対処する方法はいくつかあります。

3-2-1 全体の資産の中で通貨分散を図る

ドルを外貨資産としてずっと持ち続けるような考え方なので、とにかく円が高いと感じた時に全体の中でドルを保有しても良い金額分の海外ETFを購入すればOKです。資産規模が大きい方にはおススメです。

3-2-2 購入した海外ETFと同額の通貨ペアをFXなどで売る

海外ETFで購入したドル資産をFXなどでヘッジをする方法です。
ドル円100円の時に1万ドル分のETFを購入したとしたら、その時に1万円通貨のドル円を売ってしまうということです。80円に円高になったとしても20円分の為替損益は相殺されます。

但し、ドル円を売る場合にはスワップ金利や売るための証拠金なども必要になります。また、定期的にヘッジ金額を調整しなければなりませんので、ある程度為替などに詳しくないと難しいかもしれません。

3-2-3 差金決済取引を使う

まだあまり一般的ではありませんが、最も簡単な方法で差金決済取引という方法で円を担保にETFの売買損益だけを交換する取引形態です。1ドルの利益がでればその時の1ドルの円転レートで利益が円で戻ってきますので、元本に対して為替リスクはかかりません。

但し、買いつけたポジションに対して金利がかかることが一般的です。
この方法についても下記の記事で紹介しているので興味があるかたは参考までに。
>>少額からはじめる最新の資産運用のイロハ

4-1 国内のETFは手数料は気にしない

さぁETFを購入しようという時には買い付け手数料がかかります。
市場で購入する株式と全く同じ扱いですので、これにかかるものは株式手数料です。

東京証券取引所に上場しているETFなら国内のオンライン証券会社であれば大変低コストで購入することができます。日本株のETFであればお気に入りのオンライン証券会社を見つけて東京証券取引所で購入してしまうのが一番オススメです。

一方で海外ETFを購入する場合には少し注意が必要になります。

4-2 海外ETFを購入する際の手数料の注意点

海外専用口座を開設

米国上場のETFであれば米国口座を開設する必要があります。ETF市場の世界の7割をアメリカが占めていますので米国口座があればOKです。

ドルへの両替コストがかかります

米国上場ETFであれば買い付けは米ドルが必要になりますので両替が必要になります。銀行ほど両替レートではありませんが25銭程度の両替手数料がかかることが一般的です

買い付け手数料が結構高い。資金規模が大きいと有利。

国内最安の米国口座を提供しているマネックス証券でも、約定代金は0.45%、最低取引手数料5ドルといった料金体系です。国内口座と比較してしまうとどうしてもコストは高いです。但し、同社の場合は上限が20米ドルと資金規模が大きい方にはかなり有利な条件が提示されています。

4-3 買い付け手数料のない海外ETF購入方法

両替コストや売買手数料がなく海外ETFを購入する方法があります。
店頭CFD口座を利用することで、円のまま売買手数料もなく取引する手法です。
これは差金決済の仕組みを利用した方法でインヴァスト証券が2016年4月からスタートしている「トライオートETF」などがあります。
元本為替リスクがない仕組みであるため、円高に大変効果を発揮する仕組みです。 但し、その代わりに購入したETFの建玉金額に対して1.25%~の金利が発生します。
この特徴を活かして10万円を少しづつ購入したり、自動売買を利用してコツコツ売買するようなことができます。
https://www.triauto-etf.jp/

5-1 海外ETF購入した時の配当金には二重課税が

海外ETFを購入した時の配当金に関して注意点が一つあります。
配当は現地の税率控除後(10%)の配当額が支払われます。
この控除後の配当額に対して日本国内の税率20.315%がかかりますので「二重課税」の状態となります。

余談ですが、実は日本に上場しているS&P500ETFなど外国籍のETFも為替変動による価格変動差だけではなく、配当額においても既に米国で税率控除された金額がベースとなります。そのため、オリジナルのものと比較して配当金の総額が若干低くなります。

5-2 二重課税を回避する方法

現物外国ETFの配当金は確定申告にて外国税額控除の制度を利用することで外国で課された税額を控除することができます。確定申告が必要です。

以下は国税庁のHPより抜粋。

外国税額控除額の計算は、外国所得税の額が、次の算式により計算した所得税の控除限度額を超えるか否かによって異なります。

所得税の控除限度額=その年分の所得税の額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)

(1) 外国所得税の額が所得税の控除限度額に満たない場合  外国税額控除額は、外国所得税の額となります。

(2) 外国所得税の額が所得税の控除限度額を超える場合  外国税額控除額は、所得税の控除限度額と、次の①又は②のいずれか少ない方の金額の合計額となります。

①控除対象外国所得税の額から所得税の控除限度額を差し引いた残額

②次の算式により計算した復興特別所得税の控除限度額  復興特別所得税の控除限度額=その年分の復興特別所得税額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)

https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1240.htm

なんだか複雑な計算に見えますが、確定申告をすることで二重課税分の税金が控除されるということなので、大きな金額を投資されている方はこの制度を利用するべきでしょうね。

6-1一般的に言われている運用リスクはそれほど重要ではない

運用リスクと明記してしまっていますが、リスクというよりはETFの特性として注意点として理解すべき内容です。

ETFは対象とする指数に連動するように運用されるわけですが、この差異が小さいものほど良いとされています。ETFは市場で売買できるので、実際の取引価格とETFの基準価額の差のことです。基準価額より取引価格が低い状態をディスカウント、高い状態の時をプレミアムと呼びます。

Expense ratioと同じようによく比較されたりしますが、出来高の大きい人気の銘柄などでは乖離率が著しく大きくなるようなことはあまりないので気にする様なものではないでしょう。

7-1 6つのリスクの中で最も重要なのは「価格変動リスク」と「為替リスク」

6つもあって正直よく分からないので実際の運用の場で特に重要だと思うポイントを2つだけ。

1.「価格変動リスク」 取引手法はどうするべきか

取引手法は個々の資産状況や期待するリターンによって事情が異なります。また少額を積立ていくような取引の場合には手数料も強く意識する必要がありますので、どのような取引手法にするかは行き当たりばったりではなく事前に決めておくことをおススメします。

2.「為替リスク」 どのように対処するか

為替リスクについては多くの方が認識しているリスクです。外国投資には為替リスクは付きものです。かといって国内投資だけというのでは投資リターンは限られますしETF投資の魅力がありません。為替は後になってその影響力の大きさを感じることになるでしょう。でもこれも事前に決めておけばこれも問題はありません。

以上の2点がリスクコントロールの観点で実際に取引する前に決めておくべきことです。

  

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