初心者にも手軽に始められる資産運用【ETF】、リスクはないの?

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 日本だと日銀が購入している事で有名なETF。海外ではプロ投資家の運用先としてだけでなく個人の資産運用ツールとしても広く利用され、一大成長を遂げています。日本では最近、ファンドラップやロボアドバイザーを用いた資産運用が流行っていますが、実はその中身の多くはETFでできているってご存知でしたか?コストの低さや手軽さ等から良い面ばかりが強調されがちな商品ですが、気になるのはやっぱりリスク。今日はETFのリスクについてご紹介します。

1.  大前提としてETFのリスクはとても低い 

大前提としてETFは一般的にリスクが低く良い商品だと言われています。では、具体的にどういったリスクが抑えられているのかを、そもそも投資にはどんなリスクがあるのか、というところから詳しく見て行こうと思います。

 

2.そもそもリスクとは

  リスク、という言葉は今や日常的に使われている言葉ですが、そもそもどういう意味かを確認しておきます。「危険性」と訳されることの多いこの言葉。投資にはどんな危険性があるのでしょう?詳しくご紹介します。

 

2-1.損するリスク、【価格変動リスク】

         投資をする上で最初に浮かぶ危険といえば、やはり損をする事ですよね。株を始めとした投資商品はすべて、価格変動により損をするリスクがあります。値下がりする要因としては、政治、経済動向、為替相場から、会社の業績、粉飾決済、スキャンダルと多岐にわたり、全てを完璧に予測するのは難しいです。

 

2-2.会社が無くなるリスク、【倒産リスク】

 かつて国営企業として華々しい業績を誇った日本航空(JAL)は2009年に会社更生法の申請をし、実質倒産してしまいます。上場廃止となった最終日、JALの株はゼロ円となりました。倒産により上場廃止になるとどんな大企業であってもその会社の株はゼロ円となってしまいます。投資家としてぜひとも避けて通りたいリスクですね。

 

2-3. 売買のハードルを左右する、【流動性リスク】

   資産運用の一環で不動産投資をする人がいますが、初心者にはあまりおススメできません。というのも、売りたい・買いたいと思ってから実際に売買が成立するまでに長い時間がかかるため。例え買った時の2倍の値段がついていても売買が成立しなければ意味がありませんよね?自分が希望するタイミングで売買ができないリスクのことを流動性リスクと言い、投資をする場合いつでも売買が出来る方が良いとされています。

 

2-3-1.株・投資信託を比較した場合の流動性リスク

   金融商品の中でも、この流動性リスクが比較的低いのが株です。不動産と比較した場合は言わずもながですが、皆さんにも身近な株と投資信託を比べた場合、株はマーケット時間中ならいつでも取引が可能ですが投資信託は売買が1日に1回と制限されているため、仮に売買申込み時間を過ぎた後に相場が急変した場合、翌日売買が申し込めるようになった時には大損、なんてことも。

 

3.一般的な投資のリスクはETFでぐっと軽減できる

 では、投資をする上でメインのリスクとなるこれらのリスク、ETFではどうなるでしょうか?実は、ETFであれば、一般的に頭を悩ませるこれらのリスクがぐっと軽減できるのです!一つ一つ詳しく見て行きましょう。

 

3-1. 色んな銘柄を組み合わせることで軽減、【価格変動リスク】

 ETFは数百~数千もの銘柄を組み合わせている商品なので、仮に1銘柄の価格が大きく下がってもその影響は数百分の一。価格の動き方が1つの銘柄に左右されないので、個別株に比べてぐっとリスクが低くマイルドな動きになります。

 

3-2. 沢山組み合わせているから1社潰れても大丈夫!【倒産リスク】

    ETFの本領発揮はこの倒産リスク。いくつもの銘柄を組み合わせているので、その中のどれかが倒産しても値段への影響は限定的。本来であればおおごとである倒産も、ETFに投資をしていれば組み入れられている銘柄の数百~数千分の一の影響しかないため、それほど神経質になって気にする必要はありません。

 

3-3. 上場しているからマーケット時間中は取引自由自在【流動性リスク】

  流動性についても、ETFは株のように上場しておりいつでも売買ができるので流動性は高いと言えます。また、海外の銘柄やコモディティ(金や原油など、商品と呼ばれる投資資産)なども、ETFだと小額から購入ができるため実は直接それらの商品を売買するよりも流動性は高くなります。

 

4.ETFだからこそ存在するリスク

 では、ETFにはリスクはないのでしょうか?一般的な投資商品と比べると、ETFのリスクはかなり低いと言えます。しかしながら、金融商品である以上当然価格変動はしますし、ETFならではのリスクもいくつか存在します。ここではETFならではのリスクについてご紹介します。

 

4-1. ETFのプロバイダもつぶれることがある

  ETFは様々な銘柄を組み合わせているので、中に組み込まれている企業が1社倒産したくらいでは大した影響はありませんが、ETFを設定している「プロバイダ」と呼ばれる企業そのものが倒産した場合、その企業が提供していたETFも無くなってしまいます。ぱっと見魅力的な商品でも、聞いた事もない会社や、ネットで調べても出てこないプロバイダなら避けておくのが無難です。

 

4-2.人気のない銘柄にはご用心、上場廃止(解約)リスク

  プロバイダの倒産以外にもETFには解約リスクがあります。解約とは、「人気がないから採算が取れない」と判断された銘柄は保有者の意思に関係なく上場廃止となり、その時の価格で払い戻されてしまうのです。そう頻繁に起きるものではなく、企業の倒産と違い価値がゼロになる事はありませんが、タイミングによっては損をしてしまう事もあり得るので出来れば避けたいですよね。これは、プロバイダの規模に関わらず人気のない銘柄に起きるので、ぱっと見良さそうな銘柄でもある程度預かり資産があるものを選ぶことで回避することができます。

 

5. 初心者が投資を始めるに当たり注意すべきこと

 ここまででご紹介した通り、ETFは株や投資信託に比べるとリスクが低く、また、ETF特有のリスクについては以下の事に気をつけることで避ける事ができます。ぜひ参考にしてみて下さいね。

 

5-1. 有名な銘柄、預かり資産が多い銘柄を選ぶ

 ETF特有のリスクとしてご紹介したプロバイダの倒産リスクと上場廃止リスクは、【大手プロバイダ】の【預かり資産が多い有名銘柄】を選ぶことでほぼ避けることができます。ETFのプロバイダはiShares・Vanguard・SPDRの大手3社(いずれも米国企業)が全体のマーケットシェアの約7割を占めており、すべて優良企業なので倒産リスクはほぼ気にする心配はありません。

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解約についても、まれに全く人気のない銘柄を解約する事があるだけなので預かり資産上位のもので選べば安心です。各社とも日本語のサイトでそれぞれのプロダクトについて詳しく知ることができますよ!名前をクリックすると日本語公式サイトへジャンプします⇒iShares(ブラックロック・ジャパン), Vanguard(バンガード・インベストメンツ・ジャパン),SPDR(STATE STREET GLOBAL ADVISORS)

 

5-2. 小額で始められ、コストが低いものを選ぶ

ETFは預かり資産が多くなればなるほど規模の経済が働きコストが下がるという仕組みなので、大手のより預かり資産が多い銘柄の方がよりコストが低く良い商品で、かつ様々なリスクも低い事になります。ETFのコストは【エクスペンスレシオ】と呼ばれており、この数字が低いものを選ぶと良いでしょう。こちらの記事で、ETFのメリットとお勧め銘柄について詳しくご紹介しているので、よろしければこちらもご覧下さい。リンク

 

“【エクスペンスレシオ】とは”

エクスペンスレシオは、投資信託の信託報酬のようなものです。銘柄ごとにかかる管理費のようなイメージで、年間○%というようにあらかじめ設定されています。これは毎日少しずつその銘柄の価値から引かれていくので、ぱっと見ただけではほとんどその差を感じられないのですが、長く保有した場合10年後20年後には大きな差が出て来るので軽視はできません。

 

 6.まとめ

いかがでしたか?海外では個人の資産運用ツールとしても普及しているだけあって、ETF他の投資商品と比べリスクが低くコストが低いという点で良い商品だと言えます。もちろん、金融商品である以上、全くリスクなく資産が増やせるとはいきませんが、個人的には初心者に最適だと思っています。また、そのリスクに関しても少し注意すれば避けることができるので、まずは気になる銘柄を見つけるところから始めてみて下さい。