
ETFと言えばなんとなくポートフォリオを組むのが一般的らしい。
「でもどうやって組めばいいのか分からない!」という方のためにこの記事ではETFを使ったポートフォリオを無料で提案してくれるサービスを5つご紹介させて頂きます。その前にETFでポートフォリオを組む意義について改めて整理してみたいと思います。
勘違いされている方が多いですがポートフォリオ=利益が出る必勝法ではありません。
目次
未来が不確実だからポートフォリオが必要
「もしタイムマシーンがあったら?」
誰しもが人生で一度は想像することはあると思います。
あなたが全財産を持って20年前に戻って1度だけ投資をするチャンスがあったら何を買いますか?
創立日 上場日 | 上場時時価総額 | 時価総額現在 2016年10月26日 | 上昇率 | |
ソフトバンク | 1981年9月3日 1994年7月22日 | 2,693億円 | 2,693億円 | 29倍 |
アップル | 1976年4月1日 1980年12月12日 | 17億ドル 1700億円 @100円 | 6371億ドル 63兆7100億円 @100円 | 374倍 |
アルファベット (グーグル) | 1998年9月4日 2004年4月29日 | 230億ドル 2兆3000億円 @100円 | 5629億ドル 56兆2900億円 @100円 | 24倍 |
今から20年前だと1996ですのでグーグルは創立すらされていませんが、もしアップル社の株を購入していたしたら0.82ドルが118.25ドルになっています。144倍。
その時は「ポートフォリオ」を組むようなことは絶対にしないでしょう。
確実な未来であれば投資収益が一番高いもの一点だけ購入するはずです。
しかし残念ながら現実の未来は常に不確実です。
ポートフォリオはそんな不確実な未来に対して「リターン」を犠牲に「リスク」を縮小します。
期待リターンと許容できるリスクは人によって違う
そして「リターン」と「リスク」の許容度は人によって異なります。
そのため、多くの投資アドバイザリーサービスはまず顧客がどの程度のリスク許容度があるのかをヒアリングした上でそのレベルにあったポートフォリオ提案を行います。
例えば将来の自分のキャリアにとても自信があり手もとのお金は積極的なリターンを取るような投資に回したいと考えている人であれば、安定した大企業よりも成長企業株を中心に大きなキャピタルゲインを取れるような株式の保有率が高くなるでしょう。
それでもさすがに1つの銘柄に絞ることはリスクが高すぎるため個別株式の場合はさらにこのセクターの中から個別に複数の銘柄を選択しポートフォリオを作る必要があります。
これがETFであれば既にコンセプト毎にポートフォリオとしてまとまっているため、個別銘柄でポートフォリオを生成しなくても簡単にリスク許容度にあったポートフォリオを提案することができます。
ETFでポートフォリオを組むのは簡単
そもそもETF自体は複数の個別株式や債券でポートフォリオ化された投資信託ですからある意味ではポートフォリオは既に組まれている金融商品です。
投資の神様バフェット氏も自分が亡くなった時の妻への遺産相続の方針としてこのように述べています。
「現金の10%を政府短期債で、残り90%はS&P500のインデックスファンドで運用するよう指示しました(超低コスト投信で知られるバンガード社の投信を勧めます)。こうした方針をとることにより、高額な手数料をとる運用者を抱えている他の投資家よりも、長期では優れた結果を残せると確信します」
S&P500は過去20年で2度ほど大きな下落を経験していますが、2016年には最高値を更新し、3倍以上の価格上昇を見せています。
このようにS&P500は資産価値が半分になるような時期もあります。それでもバフェット氏は90%をS&P500に投ずることを勧めているわけですから米国市場そのものに対する圧倒的な自信が伺えます。
一応10%の政府短期債を組み込んでいますのでインカムゲイン型にも資産配分をしているという点がポイントです。
バフェット氏がおススメしているポートフォリオはS&P500ETFと政府短期債連動のETFを9:1の割合で購入するだけです。
ETFの場合はこの2銘柄を購入するだけで実現できてしまいます。
もう少しリスクを抑えたいのであれば債券の比率を高くするなどETFを利用することで自分の取れるリスクや目指したいリターンに合わせて簡単にポートフォリオを作成することができます。
「自分がどれくらいのリスクを取りたいのかよく分からない。」
という方のためのポートフォリオ作成のお手伝いをしてくれるオススメのサイトをご紹介します。
ETFでポートフォリオ作成!無料で便利なツール5選。
特徴
- iShare ブランド特化
- ポートフォリオとETFの中身についてかなり詳しい情報あり。
- 将来のリスクリターンシミュレーションやバックテストシミュレーションはない。
まずはETFそのものを組成している最大手ETFプロバイダーであるBlackRock社の「iShares Core Builder」をご紹介します。
ETFプロバイダーによるポートフォリオ生成なので、自社ブランドのETFのみで構成されたポートフォリオではありますが多くの情報を盛り込んでくれています。
しかも無料で見た目もオシャレでとっても見やすいツールです。
許容できるリスクや期待するリターンなどを探るためにいくつかの質問に答えていきます。
これはこれからご紹介するポートフォリオ作成ツール全てに共通する仕様です。質問内容はそれぞれ若干異なりますが、目的は同じと言えます。
iShares Core Builderの場合は5つの質問から成ります。
- 投資スタイルは?保守的か積極的が7段階
- マーケットが大きく下落した時のアクションは?「何もしない」「更に投資」「一部売却」「全て売却」
- マーケットが大きく上昇した時のアクションは?何もしない」「更に投資」「一部売却」「全て売却」
- 投資期間は?1年から31年の間を5段階
- 初期投資金額は?
これで質問内容にあったETFのポートフォリオが表示されます。PDFでサマリーもダウンロードすることができます。詳細の組み込まれている個別銘柄やポートフォリオ全体の加重平均されたエクスペンスレシオなども見ることができます。
立場上このポートフォリオが未来にどれだけの投資収益をもたらすかなどの情報は敢えて控えているようですがさすがプロバイダーの情報だけあって個別のETFに関する情報はかなり豊富です。
バックテストシミュレーション位は掲載してくれればリスクリターンも分かりやすいのになぁと思いますが、ポートフォリオの中身は大変分かりやすいと思います。
②Get an ETF recommendation – Vanguard
特徴
- バンガードブランド特化
- ポートフォリオとETFの中身についてかなり詳しい情報あり。
- 将来のリスクリターンシミュレーションやバックテストシミュレーションはない。
バンガード社は日本でも信奉者も多くインデックス投資の先駆者的でもあり一貫した投資哲学で有名です。同社のファンドは常に最安水準で積極的にエクスペンスレシオを引き下げていくことで有名です。長期投資にはバンガードのETFという方が多いのではないでしょうか?
質問内容は8つ。
- 投資期間は?1年~15年 6段階
- 出金時期は? 1年~15年 6段階
- リスクは? リターンは小さくてもいい? 5段階
- リスクは? マーケット下落時リスク資産を売却し安全資産を購入? 5段階
- リスクは? 損失と利益の変動を3段階から選ぶ
- 収入は安定的かそうでないか? 5段階
- 初期投資金額は?
残念ながらこちらもリスクリターンがひと目で分かるようなシミュレーションの提示はしておりません。
個別のバンガードETFに関する情報やこのポートフォリオを勧める理由などが英文で紹介されます。
③Portfolio Builder – Find the best mix of sectors for five risk profiles
特徴
- スパイダーブランド特化。特にセレクトセクターシリーズ。
- 将来のリスクリターンシミュレーションやバックテストシミュレーションはない。
- アメリカのセクター別投資などを考えている層にはいいかもしれません。
スパイダーと言えばステートストリート銀行のETFブランドで初めて上場したETFプロバイダーです。同社のS&P500ETFは「SPY」というティッカー名で有名ですが、スパイダーはセクター別のETFを提供しているプロバイダーとしても有名です。
このポートフォリオビルダーはどちらかというとそのセクター別のETFのポートフォリオに焦点を当てているようなサイトです。
質問を聞いてリスク許容度などを測るのは同じですが、Investor Profileを直接変更するだけでも即座にポートフォリオが変更されます。
これはS&P500をさらに細分化しテクノロジーセクターの配分を大きくすることでリスクリターンを大きくなる仕組みです。スパイダーのセクターシリーズを使ってポートフォリオを作成するのはかなりマニアックです。
④Wealthfront
特徴
- 収益の将来プロジェクションやバックテストを見せてくれる。
- 積立シミュレーションがある。
- 実用的かつ最も投資家向け
こちらは米国のロボアドバイザーの会社であるWealthfrontです。
6つの質問を答えていくだけで積立てシミュレーションだけでなく、具体的なポートフォリオの内容までも伝授してくれます。
特に便利だなと感じたのが初期投資額や月額積立て額をパチパチと変更するだけでプロジェクトションがスムーズに代わってくれます。
積立て投資の力をなんとなく体験できます。
「see more details」をクリックすると詳細のETF銘柄名だけでなく過去のパフォーマンスなども見ることができます。さらにかかる自分の手数料についても透明性が高く確認することができます。
ではみんな情報だけ見て自分でETFを購入してしまうのでは?ということも考えるでしょうが米国では結構あるようです。
それでもアドバイザリーフィーもどんどん安くなり今はたったの0.25%でリバランスやデタックスなども自動で行った上、買い付け手数料などもかからないのでメリットも大きいため米国のロボ市場のコスト競争は激しくなっているようですがまだまだ大きな伸びをみせています。
リスク許容度を変更するなど様々な調整ができるので試してみると面白いと思います。
特徴
- 収益の将来プロジェクションやバックテストを見せてくれる。
- 積立シミュレーションがある。
- 円ベースで表記されている。為替変動を加味したシミュレーション。
質問は6つでほとんど米国のWelthFrontと同じサービスです。
ポートフォリオタブをクリックすればポートフォリオも見ることができます。ティッカー名が記載されているので、具体的なETF銘柄についても確認することができます。
WealthFront同様にここまで無料で行うことができます。
英語が苦手な方はWelthNaviでポートフォリオを見てみるのがいいでしょう。
また、リーマンショック後からのバックテストシミュレーションも見ることができます。
ここが優れているのは投資しているETFは全てドルベースの米国ETFであるにも関わらず未来シミュレーションやバックテストは「円ベース」での表記となっています。つまり元本に対しての為替変動も加味している結果であると言えます。これは非常に重要ですね。
まとめ
これらはポートフォリオを見るまでは全て無料で確認することができます。
ETFプロバイダーが提供しているものと、そうでない投資顧問会社が提供しているものの2つに分けられます。
ETFプロバイダー提供のものであればisharesCoreBuilder、投資顧問会社であればウェルスナビのものがおススメです。
実は基本的にはほとんどが「現代ポートフォリオ理論」をベースに作られているポートフォリオ作成ロジックです。ですから質問もそうですが、リスク許容度が似ているとほとんど似たようなポートフォリオの結果になると思います。
冒頭でお話したようにポートフォリオは未来の不確実性に対して必要な投資技術です。技術ですから完璧、絶対なものではありません。
ただこういった高度な知識を必要としているような情報が今ではほとんど無料で手に入れることができるようになっています。
無料だからダメということはないので活用できるツールはどんどん利用していきましょう。