初心者でも相場の価格予想ができる!?フィボナッチ・ツールの活用方法

証券会社やFX会社が提供する多くのPC用トレードツールのチャートには、目標価格計算ツールがいくつか標準装備されており、中でも最もポピュラーなのが「フィボナッチ・ツール」になります。

相場の目標価格がイメージできれば、「ここまで上がったら利益確定だ!」とか、「ここまで下がったら買おう!」とか更には「ここまで下がる可能性があるから、その場合、このぐらいの損失になるな!」などイメージできます。

そこで今回は、目標価格を示してくれる「フィボナッチ・ツール」の使い方や見方などの活用方法について、初心者にも使えるレベル感でご紹介いたします。

目次

1 今後の価格を予想?フィボナッチ・ツール!

冒頭でお伝えのとおり、フィボナッチ・ツールは相場の目標価格や、上値の目処(=レジスタンス、上値抵抗となる価格)、下値の目処(=サポート、下値支持となる価格)を推測するツールです。

したがって、フィボナッチ・ツールを上手く利用できれば、実際のトレードにおいては安値付近で買ったり、高値付近で売ったり、また、ここまで下がったら損切りする等の目処にも利用できるわけです。

主なフィボナッチ・ツールには、

フィボナッチ・リトレースメント

フィボナッチ・エクスパンション

フィボナッチ・ファン

フィボナッチ・アーク

フィボナッチ・タイムゾーン

等、色々とありますが、最も信頼性が高いのは「フィボナッチ・リトレースメント」「フィボナッチ・エクスパンション」の2つです。

中でも「フィボナッチ・リトレースメント」の使い方と見方さえ覚えれば大体はOK。
他のツールも使い方や見方は殆ど同じなので、使いこなせるようになります。

1.1 フィボナッチ・リトレースメントとは

「フィボナッチ・リトレースメント」は、相場の反転後、価格がどこまで動くのかを黄金比率(1:1.618)を使用して計算するツールです。

フィボナッチ・リトレースメントとは

1.2 フィボナッチ・リトレースメントの使い方

フィボナッチ・リトレースメントの使い方はとっても簡単です。

  1. ご利用のPC用チャートでフィボナッチ・リトレースメントを選択
  2. 「高値」と「安値」を指定する

たった、これだけです。
上の図1を例にとると「高値A」と「安値B」を指定すると少なくとも目標価格1~5までは表示されます。

1.3 フィボナッチ・リトレースメントの計算

フィボナッチ・リトレースメントは「A」から「B」までの値動きを100%として、「B」からの戻りの目標価格を主に38.2%戻し・50%戻し・61.8%戻し・100.0%戻し・161.8%戻しで計算したものです。

冒頭、多くのチャートで装備しているとお伝えしましたが、もしも万が一、ご利用のチャートでフィボナッチ・ツールが無い場合やスマホのチャートにフィボナッチ・ツールが無い場合でも大丈夫。
※大体、あると思いますが、、、、

安値と高値を見つけてスマホの計算機で計算しちゃいましょう!

目標価格1 ( A – B ) × 0.382 + B

目標価格2 ( A – B ) × 0.5  + B

目標価格3 ( A – B ) × 0.618 + B

目標価格4 ( A – B ) × 1  + B  ( = A )

目標価格5 ( A – B ) × 1.618 + B

1.4 フィボナッチ・リトレースメントの具体的な書き方、計り方

ご利用のチャート上で、フィボナッチ・リトレースメントを書き方の手順も簡単です。フィボナッチ・リトレースメントを選択し、チャートの高値と安値を指定するだけの2ステップです。

1.4.1 Step1 チャートのフィボナッチ・リトレースメント選

チャートのフィボナッチ・リトレースメントを選択します。
下のチャートでは、赤枠のところに「フィボナッチ・リトレースメント」がありますので、ここをクリックします。

チャートのフィボナッチ・リトレースメント選択

 1.4.2 Step2 チャート上の高値と安値を指定する

チャート上の高値と安値を選択して、フィボナッチ・リトレースメントを表示させます。
下のチャートでは、高値1.1327をマウスで選択し、安値1.1123までドラッグして完成!

 1.4.2 Step2 チャート上の高値と安値を指定する

いかがでしょう?簡単にフィボナッチリトレースメントが書けましたよね?
(このチャートは記事執筆時2016年9月21日 21時頃のユーロドル 日足チャートです。)

1.5 フィボナッチ・リトレースメントの見方

フィボナッチ・リトレースメントの見方も簡単。色々メモリがありますが、特に38.2%、50.0%、61.8%、100.0%、161.8%の価格水準が重要です。

1.5.1 例1 ユーロ/ドルの日足

ユーロ/ドルの日足

書き方で利用したユーロドルであれば、相場は1.1201前後まで上昇するとイメージできます。
また、1.1201を上回るようであれば1.1225前後まで、更にそれを上回るようであれば1.1249といった見方です。

1.5.2 例2 ドル/円の月足

ユーロドルでは未来の予想の仕方でしたが、今度は過去の例を見てみようと思います。

例えば、下の米ドル/円の月足チャートで、AからBまで上昇して現在は赤い点線で示したように下落基調で推移しています。

ドル/円の月足

この点線の矢印がどこまで行くのかをフィボナッチ・リトレースメントを利用して計算したい場合は、A(75.55)からB(125.87)までを指定します。

ドル/円の月足2

米ドル/円の場合は既に38.2%戻し(106.648)や50.0%戻し(100.710)は達成していますので、今後は61.8%戻しとなる94.75近辺まで下落する可能性がありそうだとイメージできますよね。

1.6 フィボナッチ・リトレースメントは過去レジスタンス、サポートも示唆?

もう1点、下のチャートのグリーンで示した水準をご覧ください。

1.6 フィボナッチ・リトレースメントは過去レジスタンス、サポートも示唆?

チャートの過去おいても、これらフィボナッチ・リトレースメントの水準がサポート(下値支持線)やレジスタンス(上値抵抗線)になっているように見えませんか?

フィボナッチ・リトレースメントが示す水準というのは、過去を含め、今後のレジスタンス・サポートとして意識されやすい価格水準だということです。

1.7 フィボナッチ・リトレースメントのまとめ

過去の高値と安値を指定するだけで今後のサポートやレジスタンスをイメージできるフィボナッチ・リトレースメント。使い方や見方もとっても簡単ですよね?是非、相場予想にお役立てください。

2 その他のフィボナッチ・ツールとその見方

フィボナッチ・リトレースメントの使い方と見方が理解できれば、その他のツール(フィボナッチ・エクスパンション、フィボナッチ・ファン、フィボナッチ・アーク、フィボナッチ・タイムゾーン)の使い方や要領は同じようなもんです。

見方は若干異なりますが、実際にツールを利用して覚えてしまいましょう!

2.1 フィボナッチ・エクスパンションの使い方と見方

2.1.1 フィボナッチ・エクスパンションの使い方

フィボナッチ・エクスパンションはフィボナッチ・リトレースメントの応用で、3つの点を指定して目標価格を計算します。

例えば、相場がAからBまで上昇後、Cまで下落したときに、次の高値がCからどの程度まで上がるのかという目標価格をAからBの値幅を100%として、Cを基準に黄金比率を利用して算出します。

フィボナッチ・エクスパンションの使い方

2.1.2 フィボナッチ・エクスパンションの見方

フィボナッチ・エクスパンションの見方はフィボナッチ・リトレースメントと同様に表示される目標価格1~5までとなります。

ちなみに、もし、ご利用のツールで、フィボナッチ・エクスパンションが利用できない場合、フィボナッチ・リトレースメントで代用できます。

やり方は

1.AからBでフィボナッチ・リトレースメントを書く。

AからBでフィボナッチ・リトレースメントを書く

2.描画されたフィボナッチ・リトレースメントをCまで移動する

2.描画されたフィボナッチ・リトレースメントをCまで移動する

これで、フィボナッチ・エクスパンションのでき上がりです。
61.8%や50%、31.8%付近がサポートやレジスタンスになっている感じですね。

2.2 フィボナッチ・ファン

フィボナッチ・ファンの使い方はフィボナッチ・リトレースメントと同じで、高値から安値、若しくは、安値から高値までの値動きを指定します。フィボナッチ・リトレースメントとの違いは高安の高さに対する61.8%、50.0%、38.2%水準に斜めのラインが引かれる点になり、それぞれのラインがトレンドラインのようにサポートやレジスタンスとして機能するとされています。

2.3 フィボナッチ・アーク

フィボナッチ・アークもフィボナッチ・リトレースメントと同じで、高値から安値、若しくは、安値から高値までの値動きを指定します。フィボナッチ・リトレースメントとの違いは高安の長さに対して61.8%、50.0%、38.2%水準にコンパスで円弧を書く点で、それぞれのラインがサポートやレジスタンスとして機能するとされています。

2.4 フィボナッチ・タイムゾーン

フィボナッチ・タイムゾーンの使い方は他のツールとは違ってもっとシンプルで、「高値を付けた日」や「安値を付けた日」を1つ指定するだけです。フィボナッチ・タイムゾーンで描画されたライン付近で相場が反転するとされています。

3 フィボナッチを利用した売買

3.1 フィボナッチを利用した売買

フィボナッチ・リトレースメントを利用して取引する場合は、高値や安値から38.2%水準、50.0%水準、61.8%水準を目処に取引をおこないます。

3.2 フィボナッチ・リトレースメントは決済に向いてる?

ここまでの説明だけを元にフィボナッチ・リトレースメントを使って取引するなら、特にポジションの決済に向いています。

ポジションを持つのに向いていないわけではないのですが、そのためにはもう少し深く理解して利用する必要があるんです。

ちなみにもっとしっかりフィボナッチを活用したい場合は、フィボナッチ・リトレースメントの考えの基礎となるエリオット波動論を把握しておく必要があります。

ということで、フィボナッチ初心者であれば相場が反転したら、ポジションを持ち、フィボナッチ・リトレースメントで算出された目標価格付近まで来たら決済する。そんなイメージでご利用いただくといいのではないかと思います。

3.3 フィボナッチではどの目標価格を重視する?

フィボナッチ・リトレースメントの、目標価格38.2%、50.0%、61.8%のどこで決済したらいいかに関しては、そのときの状況によりけりです。

フィボナッチの数値だけでなく、相場環境(ファンダメンタル=経済の基礎的要因)や相場のトレンド(方向性)、価格水準と相談して取引をしましょう。

例えば、「ファンダメンタルも相場のトレンドも上昇を示唆、価格がまだ安い水準」、そんな状況なら61.8%どころか100%戻しや161.8%戻しを目指しても良いかもしれません。

仮にファンダメンタルやトレンドを抜きにして技術的な話をするなら、いくつか考え方はあると思います。

例えば、38.2%でポジションの半分を決済、50.0%で更に半分を決済、、、というやり方。

また、38.2%近くで全て決済し38.2%を超えるようなら、超えた直後にもう一度ポジションを持って50%を目指すといった方法も考えられます。

ただ、やはり相場環境やトレンドなども勘案して売買した方が確度はあがると思います。

4 フィボナッチ・ツールのまとめ

今回、相場の目標価格やレジスタンス(上値抵抗線)、サポート(下値支持線)をイメージするフィボナッチ・ツールの使い方と見方をお伝えいたしましたが、使い方はとっても簡単ですよね。

日本では江戸時代から米相場がありました。

米相場はその後の日本の株式市場や先物市場の起源、原点になりますが、冒頭にお伝えした通り、この時代から半値(50%)戻し、3分の1押し(33.3%)、3分の2押し(66.6%)、全値戻し(100%)などの言い回しがあったそうです。

フィボナッチとは、若干パーセンテージが異なりますが、大雑把にいえば、相場の戻りの値幅というのは、昔から同じような印象だったのではないでしょうか。

また、途中で触れましたが、フィボナッチ・ツールのベースとなる考えは、ラルフ・ネルソン・エリオットが考案した「エリオット波動論」にあります。

もっとフィボナッチ・ツールを極めたいのであれば、「エリオット波動論」を理解すると更に活用の幅が広がります。