
子供一人を大学卒業までの教育費は、すべて公立で進んでもおよそ1,000万円、すべて私立だと2,500万円以上かかると言われています。これから家も買いたいし今の収入と貯金で大丈夫だろうかと不安になりますよね。収入の基礎となるのはもちろん仕事であり、一生懸命努力して収入を上げていこうと皆さん頑張っていると思います。その基本収入とは別に、今から将来のお金を準備していくことも同じ位大切なことです。この記事では、30代の人が今から始めるべき資産運用の方法を詳しく解説いたします。少しでも将来のお金に不安を感じている方はぜひこの記事をお読みください。
1.30代から投資を始める3つの理由
かつて定期預金に10年間預けておけば何もしなくても元金が2倍になっているという時代もありました。しかし、ご存知の通り預貯金ではほとんど金利がつかない現在、仮に30歳から20年間毎月3万円ずつ預金しても720万円。政府日銀の目標の通り毎年2%物価上昇していくと20年間で約50%弱物価が上昇することになり、せっかく貯めた720万円の価値は半分となってしまい、子供の教育資金どころではありません。まさかそんなことはないだろうと今は思うかもしれませんが、その“まさか”が現実となることを私たちはたくさん目の当たりにしています。だからこそ、ただ貯めるのではなく、今のうちから増やすために投資をしていくことが必要なのです。
1-1.投資に長い期間をかけることができる
投資と聞くと、今投資に回すお金がないとか、損するのではないかと思う人も多いでしょう。そういった人でも毎月少しずつでも貯金をしていると思います。しかし、今現在、ただ貯めているだけでお金が増えたかつての高金利の定期預金は存在しませんので、より有利に運用できる方法となると多かれ少なかれリスクをとらざるを得ません。もちろん、急な入り用などに備えてすぐに動かせる資金を貯めておくことも必要ですが、30代の今ならば20年後、30年後の資産を築く時間がたっぷり残されています。40代後半から50代になると子供の学費等に嫌が応にも毎年100万円単位のお金が出て行ってしまい、よほどの高給取りでない限り投資どころか貯めることすら難しくなってしまいます。いきなりまとまったお金を投資しなくても、出費をコントロールできる30代から毎月少しずつでも投資しておけば、20年後、30年後にはまとまった資産を築くことができるでしょう。
1-2.長期で投資できるからリスクを減らして安定運用
今現在、かつての定期預金のような確定高利回りの金融商品というものは存在しません。仮に高金利の外貨預金をしたとしても、そのお金を実際に使おうとしたら円に交換しないとならず、その時の円交換レートによって資産は大きく変動してしまいます。現在資産運用の対象となる金融商品は多かれ少なかれ資産が増減するリスクが存在します。価値が変動する金融資産に投資する際に重要なことはリスクの分散です。リスク分散には投資対象となる金融商品、国・地域、通貨分散等によりポートフォリオを組む方法がありますが、そんな難しいことを考えなくても、誰でも簡単にできるのが“時間分散”、つまり購入タイミングを分けることです。この時間分散は、できる限り長期間に分散した方が資産に対する価格変動リスクを減らすことができるのです。
1-3.長期投資の複利効果を享受するために20年は必要
複利効果という言葉を聞いたことはあるでしょうか。最初の年は投資元金に対して年数%の金利が付き、翌年は元本プラス金利に対して金利が付くというように、雪だるま式に資産が増えていくことをいいます。金利が付かない現在、預貯金では得られない効果ですが、例えば投資信託では配当金の再投資などによりこうした複利効果を得られる可能性がありますし、投資で得た利益を元本に上乗せして運用していく方法もあります。そしてこの複利効果は投資期間が長くなればなるほど利益が大きくなるのが特徴です。
2.初心者にも簡単にできる投資方法
投資をしたことがない人にとっては、投資イコール損するというイメージがまず浮かぶかもしれません。確かに、手元にあるお金を一度に投資したら、あとはそれが増えるか減るかの博打になってしまい、運よく利益が出てもそれに味を占めて再投資したら今度は損ということになりがちです。でもそれは決して投資、資産運用ではありません。一か八かの勝負ではなく、投資初心者でも無理なく長期投資できる方法、それが積立投資です。
2-1.積立投資とは
積立投資とは、ある金融商品を一定時期に一定金額ずつ購入していくことで、金融商品の日々の価格変動を気にすることなく「量」を購入していく投資方法です。金融商品の価格が上昇した時には購入する量は少なくなり、価格が下がった時には多く購入することで、平均購入価格を抑え価格変動リスクを分散することできるのが大きな特徴です。「ドルコスト平均法」ともいわれ、初心者におすすめの投資方法として定着しています。
2-2.積立投資の計算と資産推移
ある金融商品に毎月1万円ずつ、年間12万円積立投資した場合、金融商品の価格変動と資産の推移はどうなるのか見てみましょう。
下の3つのパターンの価格推移で、どの値動きがもっと資産が増えたと思いますか?
もっとも資産が増えたのは「価格1」で、12万円の積立金に対して資産は16.5万円になっています。これは比較的イメージしやすいかと思いますが、次に資産が増えたのは「価格3」ではなく「価格2」なのです。意外に思う人も多いのではないでしょうか。
価格パターンごとの購入量を見ると、「価格1」と「価格2」の累積購入量がほぼ同じに対して「価格3」が少ないことが分かります。
積立投資は、一定金額を一定のタイミングで買い付けるため、金融商品の価格安ければ買える量(口数)が多くなり、高ければ少なくなります。この際、金融商品の価格変動が小さい方が初心者の方は安心すると考えがちですが、実は変動が大きい方が購入量も多くなり、結果的に資産が増えることにつながるのです。右肩上がりに上昇しているような時には積立投資よりただ買って持っている方が良い場合もありますが、一直線に上がり続けることはないので、こうした積立投資という方法が有効になってくるのです。
2-3.積立投資のメリット
金融商品の価格変動を気にしなくてよい
一般的に投資といえば毎日価格をチェックしその変化に一喜一憂するイメージを持っているかもしれませんが、これはいわばトレードであり、ここで説明する積立投資とは別物と考えてください。繰り返しになりますが、積立投資では価格が安くなった方がたくさん量を購入できる将来の資産を増やすことに繋がるため、上がり続けるよりも下がる方が望ましかったりします。また、毎月1回決まったタイミングで購入するため、その時価格がどうなのか、今後どう動くか等は考える必要もありません。
知らぬ間にリスクを分散してくれる
価格に応じて購入量を変えることに加え、購入するタイミングを分散することにより、自然にリスクを分散し損失リスクを軽減してくれるのがこの積立投資の大きな特徴です。これをトレードで行おうとすると、それこそ勉強と経験、それも失敗経験の積み重ねが必要となりますが、積立投資では意識することなくリスク分散を図ってくれる仕組みとなっています。
自動的に積み立てできる
積立投資は、銀行引き落としで定期的に積み立てることができるのが一般的です。給与天引きと考え方は一緒で、決まった金額を自動引き落としにしておけば、わざわざ投資するお金を工面したり、今月はちょっと厳しいからといって投資するお金を他に費やしてしまったりということがなくなります。積立投資で大切なことは、一定の金額で定期的に買い付けることであり、これを20年、30年と長期期間続けることで目的の資産を築き上げるのです。途中で止めてしまえば目的には届きません。
2-4.積立投資で注意すること
積立投資が万能かといえば、決してそんなことはありません。あくまで長期間継続することにより目標とする資産の形成を図る方法の一つだと理解しておいてください。当然良いことばかりではありませんので、積立投資で注意すべきことを説明いたします。
短期的な結果は見込んではいけない
新聞やニュースで株価が好調に上昇などと目にすると、つい長期投資ではなく目先の利益を狙ったトレードと混同してしまいます。積立投資では、金融商品の価格が上昇している時には量を購入できないのでむしろ良くありません。そういったニュースに一喜一憂せずコツコツ継続し、10年位たってから資産がいくらになっているか見てみましょう。それまでは気にしないことです。
長期で上昇を見込む金融商品に投資すること
積立投資では目先の価格よりも20年後、30年後の価格が現在よりも上昇していることが大切で、要は将来の売却時に平均購入価格よりも高ければ利益が残るわけです。何が20年後に価格が上がっているかなんて分からないよ、と思うかもしれませんが、積立投資の対象となる金融商品は株式の個別銘柄ではありません。日本市場全体だけでなく全世界、先進国、新興国などといった大きなカテゴリに投資する株価指数に投資する投資信託やETFなどになります。日々の経済活動は成長を目指して行われているものであり、主要な株価指数が20年後、30年後いくらになるのかピンポイントで予想することは誰にもできませんが、経済活動が停止しない限り上昇していくものと考えてよいでしょう。
3.主な積立投資サービス
積立投資の対象となる金融商品は投資信託やETF(上場投資信託)が主となりますが、それ以外にも金、プラチナ、保険などがあります。どんな積立投資サービスがあるのか主なものをご紹介します。なお、投資信託は非常に多くの種類があるためここではどの投資信託が良いのかまではご紹介しませんが、ETFの選び方とほぼ同じ考え方となりますのでごちらの記事をご参照ください。
3-1.積立投信
積立投資でもっとも一般的なサービスで、投資信託を毎月定額購入していきます。NISA口座でも利用できますが非課税枠が限られていること、目先の売却益を目的としていないことから、特定口座で行う方がよいでしょう。投資信託自体は種類が多々ありますが、長期投資においてはやはりインデックス型投信から選ぶのが妥当だと考えます。購入手数料無料のいわゆるノーロード投信も増えています。
3-2.iDeco(確定拠出型年金)
中身は投資信託での運用ですので積立投信と変わりませんが、実はその制度が凄いのです。iDecoは月々の掛け金を積み立てて投資信託で運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ることができます。60歳になるまで引き出せないのですが、その代わり他にはない税制優遇を受けられるのです。それが、①積立金は全額所得控除の対象、②運用益は非課税、③受取時には「公的年金控除」「退職所得控除」の対象です。他の金融商品にはない手厚い制度は、長期投資に利用しない手はないでしょう。
3-3.純金積立
金といえば現金に代わる資産として根強い人気がありますが、純金積立は、毎月一定額で金を少しずつ購入する投資方法で、月々1,000円程度から始めることができます。積立投信と同様、金価格が安い時には多く、高い時に少なく購入するドルコスト平均法により価格変動リスクを抑えることができ、投資初心者に向いている投資方法です。
※純金積立の注意点
- 純金積立では金の保管方法に消費寄託と特定保管の2種類あります。消費寄託とは、購入した金の所有権を販売会社に移し、販売会社はその金を自由に運用できるという保管方法です。消費寄託では運用益が還元され手数料が安かったり無料だったりします。ただ、販売会社が倒産した場合に金が返却されない、一部しか返却されない場合があります。一方、特定保管は、顧客資産の金を販売会社の資産と分離して保管する方法で、運用益は発生しませんが、万が一の場合でも顧客資産の金は守られます。純金積立を始める際には、販売会社の信用と金の保管方法の両面から選びましょう。
3-4.ロボアドバイザー
最近流行りの新しい金融サービスです。ウェブ上で年齢、金融資産、投資経験、リスク許容度等いくつかの質問に答えていくだけで、各社独自のロジックに基づいてその人に最適なポートフォリオを提案してくれます。質問の数は提供業者によって異なります。投資対象は、これも各社違いはあるものの、主に投資信託や国内外のETFとなります。業者によって最低投資資金などを設けていることもありますが、そもそも投資信託やETFは1万円程度から購入できる金融商品なので、毎月1万円から積立投資などが可能です。また、ロボアドバイザーが提案するのは、信託報酬の高いアクティブファンド等はなく、インデックスファンドやETFなど顧客本位の金融商品を提供しているので安心できます。
3-5.個人年金保険(米ドル建て)
日本は現在マイナス金利政策により預金金利はないも同然の水準ですが、米国は緩やかながら金利を引き上げてきています。円預金してくより賢い方法の一つです。積立方法は円で一定額積み立てる商品か、ドルで一定額積み立てる商品かにより異なります。円で積み立てるものであれば毎月の引き落とし額は変わりませんが、ドルの場合、その時のレートによって引き落とし額は変わります。個人年金保険控除の対象となっていますので、年末調整で税金還付を受けることもできます。為替変動は確かに気になるところですが、個人年金保険は10年以上の長期で積み立てていくものです。今から10年後の為替レートを予想することがさすがに無理なので、気にしすぎてはいけません。
3-6.クレジットカード利用ポイントを積立投資
最近始まった新しい積立投資で、クレジットカードで支払ったお釣りを積み立てたり、クレジットカードのポイントを積み立てることができます。最初から投資を目的として積み立てるのではなく、普段の生活行動を投資につなげたり、これまで無駄になっていることの多かったクレジットカードポイントを有効活用する等、まったく新しい観点の積立投資サービスです。投資対象となる金融商品は投資信託やETFなので他の積立投資と大きな違いはありませんが、これまで投資に縁の無かった人での知らず知らず資産運用できてしまうのです。
4.積立投資で1,000万円貯めるためにおすすめの金融商品
20年間で1,000万円貯めるだけならば毎月4万円ちょっとずつ預金していけば良いのですが、長く続くゼロ金利、将来の物価上昇を考えると、20年という時間を費やして貯めた1,000万円には半分の価値しかないという可能性もあります。せっかく毎月数万円の大切なお金を拠出するのなら、より有利な金融商品に積み立てていく方がよいですよね。でも、確定高利回りの金融商品なんて存在せず、必ず価格変動リスクがついてきます。そうした価格変動リスクをできる限り分散した金融商品がインデックスファンドでありETF(上場投資信託)なのです。
4-1.世界の株式に分散投資できるETF(上場投資信託)
長期投資を行う際にもっとも大切なことは、資金を1つの投資対象に集中しないことです。1つの銘柄に投資すれば大きなリターンを得られるかもしれませんが、同時に同じだけのリスクを抱えることになります。1ヶ月、2ヶ月の目先の投資であればそれも良いでしょうが、積立投資は長期投資です。そのためには投資対象をできるだけ分散することです。個人で何銘柄にも資金配分を計算して投資することは困難ですが、ETFならば予め複数の株式市場に分散投資されたインデックスに連動した運用が行われるため、初心者が積立投資を行うのに適しています。
iシェアーズMSCI ACWI ETF
米国アップルを筆頭にネスレやサムスン、インドのタタモータースまで、新興国を含む世界46ヶ国、約2,500銘柄も採用され、グローバル市場の85%をカバーしています。
ファンドの実績はこちら
バンガード・トータル・ワールド・ストックETF
世界中の約8,000銘柄の株式で構成され、全世界の投資可能な市場の時価総額の98%をカバーするETFです。これ一つで先進国から新興国まで世界市場に分散投資できます。
ファンドの実績はこちら
SPDR®S&P500ETF
米国を代表する株価指数S&P500種に連動する、純資産高約2,300億ドルの世界最大のETFです。アップル、アマゾン、マイクロソフトなど米国を代表する代表的ば500銘柄に分散投資され、最低年1回構成銘柄の見直しが行われその時を代表する優良企業が組み込まれていきます。
ファンドの実績はこちら
4-2.世界のETFに投資する積立サービス
こうした世界のETFに積立投資ができ、しかも自動売買によりプラスアルファの運用益を狙えるサービスがインヴァスト証券の提供する「マネーハッチ」です。
マネーハッチでは、毎月1万円から銀行引き落としによる積立を行うことができます。投資対象は、純資産額の大きい国内外のETFの中から独自に自動売買設定により高パフォーマンスを得られているiシェアーズMSCI ACWI ETFに投資する「世界株ETF自動売買」、日本を代表する株価指数「日経225ETF自動売買」、世界一の純資産額を誇る「S&P500ETF自動売買」、毎月分配の高利回りのハイイールド債に投資する「高利回り社債ETF」等があります。過去の値動きを基に行ったバックテスト結果では、例えば「S&P500ETF自動売買」では毎月2万円、20年9か月で累計積立額498万円に対して総資産は1,000万円超となっています。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。今まで「投資はこわい」、「投資するお金なんかない」と思っていた人たちも、今は投資、資産運用を真剣に考えて実行しなければお金を増やすことができない時代となっていることはひしひしと感じているのではないでしょうか。でも、投資イコール勝負、博打ではありません。積立投資を利用すれば、リスクを抑えながら長期で資産を築いていくことができるのです。また、フィンテックの発展等により資産運用の新しいサービスがどんどん生まれています。ユーザー目線で生まれてくるサービスばかりですので、騙されるのでは?などと過剰に心配する必要はありません。自分にとってより有利なサービスを見つけていきましょう。