現役証券マンのFX超初心者教室

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最近よく聞くFX。少額から投資できて簡単そうに書かれているけど投資がまったく初めてでもできるのだろうかと感じる方も多いのではないでしょうか。そんな皆さんに、ハイリスク・ハイリターンの金融商品とともに20年過ごしてきた現役証券マンが、FXの基礎から賢い利用方法まで分かりやすくお伝えします。リスクのある投資だからこそ、最初にしっかり学んでおきましょう。

 

目次

1.FXの仕組みは意外と簡単

よく「FXとは外国為替証拠金取引のことです。」と説明されますが、いったいどのような取引か想像できるでしょうか。難しそうに聞こえますが、身近なところで言えば海外旅の際に円をドルに交換することも外国為替取引の一つです。外国為替取引とは異なる2国間の通貨を交換することをいい、その際に予め担保を差し入れることで通貨そのものを受け取らずに買値と売値の差額(利益の分または損失の分)だけやりとりする仕組みが証拠金取引です。この2つの取引を組み合わせて外国為替証拠金取引と呼びます。

 

1-1.少額から取引できる仕組み

証拠金取引とは、対象商品の代金全額を支払うのではなく、総代金の一部を担保として預けることで差額のみを取引できる仕組みです。この担保金のことを「証拠金」と呼び、FXでは個人の場合総代金の4%の金額が最低証拠金として法律で定められています。

例)「1米ドル100円」のときに1万米ドル買う場合
・総代金 100円×1万=100万円
・証拠金 100万円×4%=4万円

為替相場は常に変動しますので証拠金も価格に応じて変動します。そのため、1米ドル95円から100円の範囲の時は1万米ドルあたり4万円と変動範囲によって証拠金を決めているのが一般的です。

 

1-2.最低5,000円程度から取引できる

では、最低いくらから取引できるかと言いますと、通貨ペアや最低取引単位(※)によって異なりますが表1のようになります。※最低取引単位は取扱業者により異なります。

主な通貨ペアと取引単位による最低資金例(表1)

通貨ペア 価格(例) 1,000通貨 10,000通貨
米ドル円 100円 4,000円 40,000円
ユーロ円 115円 4,800円 48,000円
豪ドル円 80円 3,400円 34,000円
英ポンド円 130円 5,400円 54,000円

 

1-2-1.最低資金の2倍以上を用意する

取引口座に最低資金しか入金せずに取引した場合、買うとすぐに担保割れとなり取引を続けられなくなります。実際に利用する際には少なくとも最低資金の2倍以上の資金を取引口座に入金して取引することをお勧めします。「少額からできるから安全」と思う方もいますが、あくまで担保金が少額なだけであって損益とは別です。価格変動と損益の関係については次の章で詳しく説明します。

 

1-3.値段が1円動くと1万円のプラスマイナス

では、1米ドル100円で1万米ドル買ったとして損益を計算してみましょう。

1米ドル100円で1万米ドル買った場合の損益計算例(図1)

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1万米ドルあたり40,000円の証拠金に対して1円の値動きで±10,000円、つまり±25%の損益が発生します。米ドル円など対円通貨ペアの場合、取引単位ごとの1円の値動きで発生する損益は表2のとおりです。

取引単位ごと1円の値動きで生じる損益(表2)

取引単位 1円の値動きで発生する損益
1,000通貨 ±1,000円
10,000通貨 ±10,000円
100,000通貨 ±100,000円

 

取引単位が大きくなればなるほど、同じ1円の値動きで発生する損益も大きくなります。同じ1円の値動きなら利益を大きくとれるようにと最初から大きな単位で取引する人もいますが、初心者の方は最初から欲をかかずに小さい単位から始めましょう。

 

1-4.値段が下がっても利益を狙える

FXの特徴は少額から取引できる他に、値段が下がると予想する時には「売り」から取引できることです。物を持っていないのになぜ売れるのかと思う人もいるでしょう。
FXは売り値と買い値の差額をやりとりする差金決済が中心の取引です。ざっくりと言うと利益の分だけまたは損した分だけをやりとりするのです。その取引をするための担保が証拠金であり、証拠金を差し入れることで買うことはもちろん物をもっていなくても売ることができる仕組みなのです。

 

1-4-1.売り取引の損益計算

売り取引で生じる損益は図1で説明した買いの反対で図2のようになります。

1米ドル100円で1万米ドル売った場合の損益計算(図2)

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1-4-2.初心者は売り取引には注意

でも初心者の方は「売り」取引には気をつけてください。値段が下がると予想すれば「売り」から取引するのは当然かもしれませんが、初心者の方は取引しようと思う通貨ペアの動きに慣れるまでは、過去の水準と比較して安いと思う時に「買う」ことから始めるほうが分かりやすいでしょう。

 

1-5.手数料無料が一般的

FXでは、株式などとは異なり売買手数料無料が一般的です。じゃあ業者はどこで利益を得ているのかと気になる方もいるでしょう。その仕組みを説明します。

 

1-5-1.為替レートは「買値」と「売値」の2つの価格表示

為替レートは通常図3のように「買値」と「売値」の2つの価格が提示されています。

為替レート(図3)

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左側の価格が「投資家が売ることができる価格」で、右側の価格が「投資家が買うことができる価格」になります。この2つの価格の差をスプレッドといい、これがそのままというわけではありませんが業者の収益に相当します。投資家にとっては潜在コストであり、スプレッドが狭いほどコストが小さくなり売買がしやすくなります。

 

1-5-2.スプレッドが狭いといって頻繁な売買には注意

スプレッドが狭いからといって頻繁に売買することが投資家の利益につながるとは限りません。特に初心者の方はスプレッドにあまり気を捉われずに、まず大枠を理解していただくことが大切です。

 

2.ここに気をつければ安心して取引できる

この章では、超初心者の方が安心して取引できるように、普段私がお客様に直接お伝えしていることをご紹介します。FXに限らず楽して儲かる投資は存在しませんが、少なくともここを知っていると知らないとでは心持ちがまったく違います。学校の試験ではないので暗記する必要はりません。大まかに感じ取っていただければ十分です。

 

2-1.値段が大きく動きやすいのは夕方から夜間

為替相場は24時間変動していますが、特に大きく変動しやすい時間帯があります。図4は各国の株式市場の取引時間帯です。FXは銀行間の取引中心ですが、当然各国の日中に取引が多くなります。日本時間16時(標準時)からロンドン株式市場が、23時(標準時)からはニューヨーク株式市場が始まります。こうした時間帯には各国の経済ニュースなどが多く為替の動向にも影響します。
日中働いている方が深夜まで起きて取引することは当然お勧めしませんが、寝ている間に値段が大きく動いて損失発生とならないよう準備しておくことが大切です。

もっとも活発に取引が行われている時間帯(図4)

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2-2.ロスカットは損失拡大を防止する大事なルール

FXでは、評価損失が大きくなったときに担保金を上回る損失発生を防止するためにロスカットルールが設けられています。評価損失が一定水準を超えたときに、取引継続の意志に関わらず強制決済となってしまうルールです。基準は業者により異なりますが、一般的には取引口座の有効資産が担保資金(証拠金)を割り込んだら強制決済などのルールとなっています。

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※相場状況によっては損失額大し、ロスカットされたとしても口座資金を超える損失が発生する場合もあります。その際には、足らない金額を入金する必要が生じますので注意してください。

 

2-2-1.ロスカットルールの考え方

このロスカットルールに対する考え方は2つあります。
・損失が膨らんだら強制決済されるのだから、予想と反対に動いたらロスカットされればいいや。
・寝ている間に急激に値段が動いてロスカットされないようにしよう。

前者は取引の経験を積んだ人の考え方です。初心者は後者の考え方で、取引口座に資金を多めに入れておいて、実際に買う単位をできる限り少なくする(証拠金使用率を低めに抑える)方が良いと思います。これまで私が見てきた実際にFXで利益を上げている方は、資金ギリギリまで証拠金を使わない人ばかりです。

 

2-3.持ち続けると貰えるスワップポイント

FXで得られるのは売買差益のみではありません。それがスワップポイントと呼ばれる取引する通貨ペアを構成する2つの通貨の金利差です。現在は世界的な低金利のため、このスワップポイント利益を狙った長期投資は正直に言ってあまりお勧めできませんが、仕組みを理解しておいて損はありません。

 

2-3-1.高金利通貨ペア「トルコリラ円」「南アフリカランド円」

高金利通貨ペアの代表といえば現在は「トルコリラ円」や「南アフリカランド円」です。
現在の政策金利は表3の通りです。

日本、トルコ、南アフリカの政策金利(表3) 2016/11/8現在

トルコ 日本 金利差
7.25% 0-0.10% 7.15%
南アフリカ 日本 金利差
7.00% 0-0.10% 6.90%


2-3-2.
年間のスワップポイント利益

それぞれ1万通貨単位を1年間保有したときに得られるスワップポイントはおよそ表4の通りです。

年間スワップポイント利益(表4)

通貨ペア 価格(例) スワップポイント利益
トルコリラ円 33.7円 約24,000円
南アフリカランド円 7.7円 約5,300円

※1年間保有する場合スワップポイント利益よりも為替変動により生じる損失が少なければ利益となります。
※売りの場合スワップポイントはマイナスとなります。

 

2-4.利益が出たら確定申告できちんと納税

FXでは、株のように特定口座がないため源泉徴収はありません。そのため自分で確定申告する必要があります。では、どれ位の利益が出たら確定申告が必要かと言いますと、給与所得者の方であれば年間20万円を超える利益を得た時です。

 

2-4-1.税率は一律

申告分離課税で税率は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)となります。「自分から申告してわざわざ税金を納めたくない」と思う方もいるかもしれませんが、これはきっちり申告しておいた方がいいですよ。数年後忘れた頃に税務署から連絡があり追徴課税などということになったらそれこそ損失です。

 

2-4-2.必要経費も申告できる

確定申告時には取引に係った経費などを申告することもできますので、セミナーに参加した時の交通費や有料セミナーならその参加費、勉強するための書籍代など、領収書は残しておきましょう。

 

2-4-3.損失が出た場合でも確定申告

意に反して損失が出てしまったときも、損失の確定申告をしておくと翌年以降3年間、利益からその損失分を控除することができます。実は、FXは万が一損してしまっても、その損失を活かして翌年以降の取引で利益を得た場合には税金を減らすことができるのです。

 

3.超初心者にもできる賢い取引方法

ここからは、私がこれまで実際に見てきたFXで儲けたお客様の取引例の中から、初心者の方にぜひ真似してほしい方法を紹介していきます。

 

3-1.初心者は短期売買ではなく少ない単位で大きく利益を狙うべき

これまで私が見てきたFXで利益を上げている方に共通する特徴は次の5つです。
①取引に使う証拠金は口座資金の30%以内
②過去数年間の動きを見て安い水準の時に買う
③短期売買はしない
④時間をかけても大きな値上がり幅を狙う
⑤下がっても慌てない、戻りを待つ

 

3-1-1.最近の実例

2013年に米ドル円がまだ90円台だった頃に買って、昨年2015年に120円台になった時にようやく決済した方がいました。途中で値下がりしたときでも動じず、また普通は上がってきたら決済してまた下がったら買おうと考えるところを何もせず、買ったままじっと待ち続けました。足掛け3年に渡る長期取引ですが、結果1万通貨あたり約30万円の利益を得たのです。

 

3-2.口座に入金する額は多めに、取引に使う証拠金は少な目に

大きく利益を上げることができた最大の理由は、取引口座に入れた資金の20%までしか使用しなかったからです。
1米ドル90円の時に1万米ドル買うための証拠金は36,000円でしたが、口座にはその5倍、つまり18万円程度の資金を入れているわけです。これだけ余裕のある状態だと買った値段から16円以上下がらないとロスカットされませんので、値段が下がったからといって慌てる必要がありません。もちろん相場なのでそれ以上下がることもあるかもしれませんが、こういった長期スタンスの方が利益を得ているのも事実です。

 

3-2-1.短期売買の方が簡単そう

3ヶ月ほど前には短期売買の方が利益をとれると思ってFXを始めたいという方にもお会いしました。
「朝の値動きを見ていたらだいたい今日どう動くのか方向が分かるので、1日に1、2回取引するなら手堅いですよね。米ドル円を10万米ドルで1回30銭利益をとれば3万円。それ位はとれますよね。」と同意を求めてきましたが、さすがに同意できませんでした。

 

3-2-2.短期売買を控える理由

同じ1回3万円の利益をとるなら大きな単位で小さな利幅をとる方が効率良いのはその通りです。でもそんなにうまくいくものではありません。つい最近10月7日の朝8時に英ポンド円が僅か10分の間に6円以上急落したことがありました。誤発注などと言われていますが理由は未だはっきりしません。ただ、朝買ったらいきなり急落することが起こりえるのです。短期売買のつもりだと当然慌てて損切りしようとしますが、決済された時には▲6円、10万単位だったら60万円の損失が発生してしまうのです。

英ポンド円10万単位の証拠金はおよそ54万円です。口座に300万円入れて取引するならまだしも、ギリギリの資金で取引していたら口座の資金以上の損失が発生してしまったかもしれません。

そんなことにならないように、ぜひ最初は長期保有するつもりで資金を準備して取引しましょう。

 

3-3.自分で相場を判断するのは難しいという方には自動売買

これまでFXの仕組みから気をつけること、そして超初心者の方でも利益をとれる方法をご紹介してきましたが、それでもやはり自分で相場を判断して取引するのは難しいなと思われる方には自動売買をお勧めします。
自動売買だからといって損しないわけではありませんが、自分で取引するのに比べると取引に費やす時間が圧倒的に少なく、初心者の方にはFXという取引に慣れる意味でも自動売買をご紹介しています。

 

3-3-1.自動売買の種類

FXの自動売買には現在、選択型と連続注文型(リピート系)、そして市販ソフトを利用する方法があります。市販のソフトは初心者の方にはハードルが高いのでここでは割愛します。

自動売買の種類と概要(表5)

選択型 あらかじめ搭載されているプログラムから成績の良いものを選んで、売買はすべてプログラムに任せます。利益確定や損切りの幅など、仕組みやロジックは公開されていません。
連続注文型(リピート系) 相場の方向感は自分が判断し、注文を出すレンジ幅や利益確定、損切りの幅、連続注文の条件などを自分で決めるかあらかじめ用意されている設定で取引することができます。

自動売買は、買うタイミングや決済するタイミングをプログラム、あるいは設定に任せて自動で取引するため、自分が判断するのはいわば止めどきだけです。

FXの入り口としては、自分で取引するのに比べミドルリスク・ミドルリターンと言われていますので、初心者の方に適しているでしょう。

 

4.FXで利益を上げるためにこれから学んでいくこと

ここでは、FXをもっと詳しく学んで利益を上げられるようになるためにこれから学ぶべきことやその方法を紹介します。実際に取引するのが手っ取り早いという意見もあるでしょうが、ハイリスク・ハイリターンの取引なので慌てずにステップアップしていきましょう。

 

4-1.前日の価格とニュースをノートにつける

最初は米ドル円やユーロ円など取引量も多く身近な通貨ペアに絞って為替サイトや新聞などで値動きをチェックしましょう。その際になぜ上がったのか下がったのかニュースなどで理由を調べて価格と一緒にノートに記録していくことをお勧めします。毎日するのが難しければ週に一回でもよいので続けてみてください。
米国大統領選挙のような大きなニュースがある時に為替が大きく動きやすいことは想像できるでしょうが、それ以外でも毎日何かしらの要因で為替は変動しています。ノートに記録することを続けていくと、今後価格がどう動きそうか自然と予想できるようになります。

 

4-2.1ヶ月後の価格を予想する

前日の価格とニュースで現在の値動きを知ったら、次に1ヶ月後の価格を予想してみましょう。チャートで過去の値動きと現在の価格を見比べ1ヶ月後どうなるか予想して、簡単な予想コメントとともにノートに記録してください。最初は当たらなくてもよいのです。予想する癖をつけることで相場観を養っていくのです。
チャートはFX口座を持っていなくてもYahoo!ファイナンスなど無料のサイトがありますので利用しましょう。

 

4-3.役立つニュース情報サイト3選

ニュースサイトや有名トレーダーのツイッター、FX会社のニュース配信などの方法でFXに役立つ情報は無料で収集することができます。その中で私がよく利用しているサイトをご紹介します。

FX外国為替情報KlugFX
FX取引に必要な情報がひととおり揃っている情報サイトです。

Yahoo!ファイナンス
日々の変動要因を予想するために特に経済指標を参考にしています。

MarketHack
投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLC広瀬隆雄氏が株式、為替、コモディティなど海外投資情報を配信しています。

 

5.まとめ

投資を始めるときに「大儲けしたいわけではなく年数%でいいので増やしたい」という言葉をよく聞きますが、FXを取引するときには年数%と言わず大きな利益を狙って取引するべきです。
しかし、FX初心者の方は、巷でよく聞くデイトレードなどの短期売買ではなく、まず口座資金は多めに取引単位を小さくして長期スタンスで取引してください。

ルールや仕組みは決して難しいものではありません。
これまでご紹介したことを参考にしていただければ、あとはどの通貨をいつ買うのかということだけです。ここは遡って見る期間によって判断が異なるでしょうが、少なくとも過去2~3年の動きと比較して安い水準にある時に買ってみてはいかがでしょう。

ただし、口座の資金は多めに入れて、使う証拠金はできる限り抑えることを忘れないでくださいね。