
イギリスがEUを離脱するという歴史的な決定がなされてから数日。世界がいかに混沌としているかが日々のニュースやマーケットの値動きで、嫌でも伝わって来ていると思います。離脱する!とはいっても実現しようとするとやらなければいけない事は山積みで、この投票結果が今後どのような影響を世界に与えるのかはまだまだ未知数です。やっぱり離脱やーめた!なんて話になる可能性も否定しきれません。それくらい、今の世界は前代未聞の状況で先が読めず、不安感の雲が立ち込めている状況です。
日経平均が先週の金曜に1000円以上の下げを記録したのは記憶に新しく、為替も不安定な値動きが続く中、金の価格が上昇しています。
世界が大注目している金
金はリスク回避資産として知られています。リーマンショック後には過去最高値を何カ月にも渡り更新しました。その金が今また注目されています。
以下6.19のブルームバーグより引用
世界の中央銀行当局者らは、英国が欧州連合(EU)を離脱すれば世界経済に悪影響を及ぼす可能性があると警鐘を鳴らしている。23日に実施される国民投票をめぐる懸念から世界の株式市場で先週、時価
総額1兆ドル(約105兆円)余りが消え去る一方、金先物相場はほぼ2年ぶりの高値に達した。ヘッジファンドによる金相場上昇を見込む買越残高は過去2番目の高水準に達している。過去最高は2011年だった。
ゴールドマネー(トロント)で17億ドル相当の運用を手掛けるジョシュア・クラム最高戦略責任者(CSO)はニューヨークでのインタビューで、「金相場については下落より上昇する可能性の方が高い」と指摘。「金相場が下落するには市場予想を上回る利上げが実施される必要があるが、そうしたシナリオが現実となる可能性は極めて低い」と述べた。
米商品先物取引委員会(CFTC)が17日発表したデータによれば、資産運用会社による金の先物とオプションの買越残高は14日終了週に29%増加し24万862枚。過去最高は、金相場が過去最高値の1オンス=1923.70ドルを付ける1カ月前の11年8月に記録した25万3653枚だった。
伝説の投資家ジョージソロスがマーケットに戻り金を買っている話は、ETF Gatewayでも先日取り上げたばかり。
世の中は今、金に向かっているのです。
SPDRゴールドのチャート(単位米ドル)
金ってどうやって投資するの?
プロ大注目の金、これからまだまだ強くなるのでは?と言われている金、乗らない手はないですよね。でもそもそも、金てどこで買えばいいの?質屋さん?問屋さん?
一般の個人が金に投資しようとした場合、どんな方法あるのかをご紹介します。
1.現物を保有する
よく、投資対象として耳にする金ですが、実際に金に投資する方法は実はそう多くありません。まずは現物を保有するという方法。今では日々の値動きに合わせて手軽に金が買える金の自動販売機、なんてものもあります。(中東にあった、という話を聞いたことがあるかもしれませんが、日本にもあります。)後は、実際に金の延べ棒を購入する以外、金を使っている宝石などの製品を買うくらいでしょうか。しかも、実際に現物を保有するとなると、どこに保管・管理するか、いつどこで売買するのが良いのか、等の悩みが出てきます。また、現物の取引は手数料が高くなってしまうというデメリットもあります。A社では、500グラム以上であれば手数料無料、それ以下はこのような手数料がかかります。
購入(小売)の場合

手数料等の悩みはありますが、実物資産の金はやはり魅力的なので、キラキラした実物資産を手元に置いておきたい、と思う方には良いかもしれません。ちなみに現物の金は6月30日時点で1グラム4700円前後。(実際の売買にはこれにスプレッドと呼ばれる差が発生します。)
2.先物取引
先物取引でも、金を取引する事は可能です。1グラム4,300円程度で最低取引単位(1枚)は1,000グラムとなっているため、大体430万での取引になります。高い!と思われましたか?未経験の金融商品にいきなり430万は、誰でも躊躇してしまいますよね。先物取引は<証拠金取引>という手法を用いているため、てこの原理を用いたレバレッジという仕組みを利用して少ない証拠金で取引をする事が出来ます。40~50倍のレバレッジで取引出来るので、1枚430万円分の金は意外と10万円程度の証拠金から始める事ができます。(マーケットは1グラム単位の値動きを表示しているので、1円値動きがあると1000円の利益または損失になるということ。100円動くと元本がゼロになるイメージです)売買には手数料とスプレッドが発生し、流動性も不安定なことからリスクの高い金融商品と言えます。430万の金融商品の値動きを見るのは心臓に悪いので初心者にはあまりおススメできません。
3.投資信託・ETFでの取引
もうひとつの方法が、投資信託やETFで保有する方法です。この方法であれば、少なくとも保管の心配はなくなります。ご注意いただきたいのが、金の値動きに連動する投資信託やETFの中でも、本当に実物の金を保有することでその値動きを再現しているものと、先物などを利用しているものなど様々な種類があります。値段のかい離や安全性に差が出るため、取引をされる場合は必ず現物の金を保有しているものを選ぶようにして下さい。金関連の投資商品で最も人気・おすすめなのが、スパイダー・ゴールドシェア(GLD)。金を原資産にする金融商品全体の中で最大の規模を誇り、原資産に金現物を100%保有しているETFです。莫大な量の金を保有しており、英国・ロンドンのHSBC貴重品保管室で厳重に保管されています。

(スパイダー・ゴールドシェアの原資産が保管されているHSBC銀行の地下室に初めてニュースのリポーターが潜入した時の写真です。この金塊!)
イギリスのEU離脱の話題が出始めたころから、世界の株式市場は弱くなっていくのに対し金はすこしずつ値を上げています。
GLDは6月30日現在で125ドル(1万2500円)程度。リーマンショックの時も、市場の不安感から過去最高値を更新し続けた経験があるので、マーケットの雲行きが怪しい時は金の保有をお勧めします。金そのものへの投資はもちろん、安定資産としての側面があるのでリスク資産を保有する際のポートフォリオの安定化のための保有にも最適です。
リーマンショック後の金と米国株式市場の比較。株式市場が不透明な時ほど金の価格は上がり、株式市場の回復と共に値下がりしているのが分かります。