はじめて金に投資するならETFがおすすめ!

現金に代わる世界共通の資産として、有史以来人々の気持ちを惹きつけて止まない金。現物の保有はもちろん、金貨、金積立、先物取引など投資方法はいろいろありますが、金投資を身近なものにし市場を大きく拡大した金融商品が、実はETFなんです。金投資を検討する方にぜひ知っていただきたい金ETFの魅力をどころよりも詳しくご紹介します。

1.金に投資する価値

テロや紛争、経済危機などが起こった時に「有事の金」という言葉を耳にしますが、経済の不透明感が増すほど金はその輝きを増すと言われています。短期の利益を追求するのではなく、資産を守るための分散投資先、現金に代わる安全資産として金は世界中で認められているのです。

資産の10%程度は金に代表される実物資産で保有するという考え方は以前からよく耳にしますが、下の表「世界の金投資需要」が示すように、2016年にETFを通じた金投資が急増しています。背景には、イスラム国に起因するテロ事件やシリア問題など地政学的リスクの高まりや、英国のEU離脱などによる経済不安の高まりが考えられます。

世界の金投資需要

20152016前年比
投資需要978.71561.170%
 金地金&コイン1047.01029.2-2%
  インド194.9161.6-17%
  中国228.1284.625%
 ETFの金在庫-128.3531.9

単位:トン 出所:WORLD GOLD COUNCIL

2.金ETFの3つのメリット

いざ金を買おうと思っても、実物を買うにはまとまった資金が必要ですし、買ったはいいけど棚や冷蔵庫に保管するのも、と意外に躊躇してしまいます。そんな時こそ金ETF。金ETFとは、簡単にいうと金のみ(金地金または金価格連動債券)で運用する投資信託で有価証券として取引所に上場され株式投資と同じように取引時間中いつでも売買できます。ETFで金を購入するメリットは以下のとおりです。

  1. 少額から金に投資できる
  2. コストが安いので長期保有に向いている
  3. 実際に金現物を保管(※)しているので安心

2-1.少額から投資できる

金の現物を購入しようとすると1グラム約5,000円です。1kgバーだと約500万円と手軽には購入できない額ですね。小さい単位で購入しようとするとバーチャージなどの費用が掛かり割高になります。純金積み立てならば毎月少額で金額に応じた数量を購入できますが、取扱業者により掛かるコストが異なるので、よく会社を選ぶ必要があります。これに対してETFは取引所に上場されていますので、売買手数料は取扱業者により異なるものの、その他の条件は一律で、安いものだと1口5000円程度、人気の高いETFでも1口1万円台から購入することができます。

2-2.コストが安いので長期保有に向いている

現物を保有する場合、さすがに棚の上に飾っておくわけにはいきません。自宅の金庫か銀行の貸金庫、または専門倉庫に預けて倉荷証券で保管するか、いずれにせよ一定のコストがかかります。倉荷証券の場合1kgあたり年間で約15000円かかります。一方ETFであれば保管料はかかりません。信託報酬も年間で0.4%(1口あたり50円程度)と非常に低コストなので長期保有にも向いています。売買手数料は金現物購入や純金積立と比べてもちろん安くなっています。

2-3.実際に金現物を保管しているので安心

金ETFには、金価格に連動する債券連動型もありますが、人気が高いのは実際に金の現物を保有しているETFです。世界最大の純資産額を有する金ETF「SPDR®ゴールド・シェア」の場合800トン以上の金を実際に保有しています。発行元の倒産リスクを考えるとこの現物の裏付けは大きな安心材料ですし、この保有金はカストディアンと呼ばれる保護者の役割を果たす金融機関に預けられ、保管された金に信託権を設定して証券が発行されますので、万が一発行元が倒産しても守られる仕組みになっています。

2-4.金ETFのデメリット

金ETFのいいところばかりご紹介しましたが、もちろんデメリットもあります。金の現物を保有していないETFの場合は発行体の倒産リスクがあります。また、金の現物を保有しているETFでも、投資家が実際の金に交換できるETFは一部です。さらに他のETFとは異なり対象がコモディティのETFには分配金もありません。もちろん金価格自体の変動リスクもありますので、あくまで資産のリスクヘッジと位置付けて資産配分することが大切です。配分は、まずは資産の10%程度が妥当ではないでしょうか。

3.おすすめの金ETF

では、いくつかある金EFTの中から、おすすめのETFをご紹介します。

SPDR®ゴールド・シェア(コード:1326、ティッカー:GLD

NY証券取引所と東京証券取引所に上場されており、純資産300億ドル以上で金ETFでは最大規模となります。東証には円建てで上場されており、現在1口13,000円前後で購入することができます。信託報酬は0.4%(税抜)と低く、現物金との交換はできませんがリスクヘッジとしての長期保有に向いているETFです。

ベンチマーク:LBMA金価格(旧ロンドン値決め価格)

純金上場信託(現物国内保管型)(コード:1540

三菱UFJ信託銀行が発行するETFで、純資産が2017/1/20現在で約400億円超と国内最大の金ETFです。信託報酬は0.49%(税抜)とやや高くなりますが、国内の金ETFで唯一1kg以上から金現物と交換ができるため人気を集めています。現在1口5,000円前後で購入できます。

ベンチマーク:TOCOMの金先物価格

ETFS金上場投資信託(コード:1672

信託報酬が0.39%(税抜)と金ETFの中では最も低いので長期保有に向いたETFです。金現物保有もしているETFなので、上記2銘柄と同様安心できます。現在1口13,000円前後購入できますが、現物との交換はできません。

ベンチマーク:LBMA金価格(旧ロンドン値決め価格)

上記の他に金現物保有の裏付けがない金ETFが2銘柄ありますが、こちらは名称のみの紹介に止めます。

  • 金価格連動型上場投資信託(コード:1328
  • 国内金先物価格連動型上場投信(コード:1683

4.超長期ならば海外ETFへ直接投資

日本国内に上場されている金価格は円換算されるため、良くも悪くも為替リスクにさらされています。下図はSPDR®ゴールド・シェアをドル建て価格と円建て価格の比較チャートと米ドル円のチャートです。金が大きく上昇している時期には円高つまりドル売りが進み、円建て金価格は上げ幅を抑えられてしまい、反対に円安の時には金価格が下がっても円建て価格は下げ幅が抑えられます。 

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将来が読めないから為替リスクを気にせずに分散投資したい、長期間外貨で置いておいて問題ない余裕資金があるという方には、海外に上場されている金ETFを直接購入することをおすすめします。売買手数料の他に外貨交換手数料などのコストは掛かりますが、為替変動を過剰に気にすることなく金価格そのものの変動に投資することができます。下の表は世界の金ETF現物保有高トップ10です。証券会社により取扱の有無は分かりませんが、外国株式を取り扱っているネット証券会社ならば購入しやすいのではないでしょうか。

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5.まとめ

いかがでしたでしょうか。金投資はそもそも差益を狙う投資ではなく、資産のリスク分散として活用される金融商品です。まとまった資金がある方は現物購入をおすすめしますが、これから投資を始めよう、将来の資産形成をしていこうという方には少額から購入でき長期でも保有できる金ETFがおすすめです。自動積立のETFはありませんが、不測の事態に備えて毎月最低単位で良いので少しずつ購入していってはいかがでしょう。