
低コストのインデックス投信やETFをバイ&ホールド(買って保有し続ける)する投資スタイルを草食系投資などと呼ぶことがあります。毎月一定額の買い付けを行うなど、積立機能を活用することも多く見受けられます。
草食系投資では長期投資を前提としており、目先の値下がりなども仕込み時のチャンスと捉えることができるため、相場変動に一喜一憂することなく、ゆっくりのんびり運用を続けることが可能です。
売買タイミングの判断はプロの運用者でも難しいので、こういった売買タイミングを選ばない運用は、投資初心者にもオススメです。
■インデックス運用(草食系投資)の普及が進む中、出来高からは違った一面も。
リーマンショック以降、インデックス運用の気運は年々盛り上がっているように思われます。インデックス投信の相次ぐ信託報酬引き下げもその表れと見ることができますし、ETFにおいてもそのコスト面での優位性や、価格の透明性といったメリットが(徐々にではありますが)認識されつつあるように思います。
FPの方が「低コストで長期運用に向いているからETFはオススメです。」などとコメントしている記事も多く、メディアでは「ETFは長期運用に役立つ投資商品です!」といった紹介が主流と言えます。
しかしながら、実際の人気のバロメーターの1つである出来高の面から考えると、必ずしも長期運用に根ざした動きとはなっていないようです。
1
※参照:Yahoo!ファイナンス ETF出来高上位ランキング
上記は2016年5月23日(月)における東京証券取引所でのETF出来高上位銘柄です。
出来高上位15銘柄中、名称に「レバレッジ」「ダブル」「2倍」といった言葉が入っているレバレッジ型と呼ばれるETFが8銘柄と半数以上を占めています。
例えば、出来高1位の「(1570)日経平均レバレッジ上場投信」であれば、日経平均株価の日々の騰落率に対して2倍の値動きになるよう設計されています。
レバレッジ型ETFは通常のETFと比べて、値動きが大きい、ハイリスクハイリターンの銘柄と言うことです。
■草食も肉食も。投資家のすそ野が広がるETF
レバレッジ型ETFの存在は、相場の急変動の要因として新聞等に登場することがあります。そのため、既に認知している方もいらっしゃるかと思いますが、実情としてレバレッジ型ETFでの運用を推奨する記事を見かけることはほとんどありません。
そういった中でも投資家は、通常のETFと比べてハイリスクではあるけれども効率の良いレバレッジ型ETFという商品を、自分達の判断で選択し、運用しているわけです。
FXの普及に見られるように、国内投資家のレバレッジに対する耐性は非常に高いと考えられますが、こういったリスク志向度の高い投資家もこぞって参加しているのが現在のETFです。
バイ&ホールドの長期投資を推奨されることが多いETFですが、これとはまったく異なるベクトルを持った、短期運用を強く意識したレバレッジ型商品も大いに盛り上がっています。
長期投資家も短期投資家も、草食系投資家も肉食系リスク志向の投資家も、方向性がまったく異なる投資家であってもそれぞれ活用できる商品が存在しているという、このETFの懐の深さは多くの投資家に認識してもらいたい魅力の一つです。