荒れ相場でも慌てる必要なし 〜多様なETFの投資対象〜

荒れ相場でも慌てる必要なし 〜多様なETFの投資対象〜
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(写真=PIXTA)

■多様化するETF

原油安、中国の経済収縮、アメリカの利上げ延長などによって世界経済が混乱しています。日経平均は1万7,000円台を割り、先行き不透明な中、安定した投資を続けていくことが難しい状況となっています。

このような不安定な経済状況ですが、幅広い分散投資が可能であるETFは一定の人気があります。ETFとはExchange Traded Fund(上場投資信託)の略であり、市場で取引されている銘柄の平均値と同じ値動きになるよう設計された投資信託の一種です。

通常、投資信託と呼ばれているものは株式市場に上場していません。一方、ETFは市場の平均値(指数と呼ばれます)を構成する銘柄をひとまとめにして、1つの銘柄として株式市場に上場しており、株式と同様に購入者が自由に売買できるという点が特徴です。

ETFは国別、地域別、規模別、セクター(業種)別等様々な種類があり分散投資が可能な他、信託報酬等の運用コストが低いため長期にわたる投資に向いているといわれています。実際に市場が安定している時期においてはETF購入後、日常的な売買は行わなくても安定した運用が期待できます。

しかし、昨今の不安定な経済状況の中では、ETFで安定した運用を続けていくには、ある程度攻めの態勢が必要となります。株式と同様に、いつでも売買ができるという特性も生かしたいところです。そこで、これからETFを始めようと検討されている方、既にETFを始められているという方向けに、市場が荒れ相場のときにもETFなら選択肢が複数あるということと、ETFは銘柄によっては市場の状況にあまり左右されずに活用が可能であることを紹介します。

 

 

■日経平均が落ち着かない時でもETFなら選択肢がある

例えば日経平均やTOPIXに連動するETFを購入した場合、2つの指数が両方とも下落した場合にはETFの価格も値下がりしていきます。それでは、株価指数が下落すると思ったときは、どのような対策を行えばいいでしょうか。通常は日経平均やTOPIXに連動するETFを売却又は空売りすることがまず挙げられますが、ETFならではの選択肢としてレバレッジの高いベア・インバース型ETFの購入という選択肢があります。

ベア・インバース型ETFとは、指数が下がれば価格が上昇する仕組みとなっています。例えば対象指数(日経平均等)が前日比で5%下落すると、ベア・インバース型ETFはおよそ5%上昇します。このようにベア・インバース型ETFは対象指数の値動きと反対向きに利益・損失が生じるため、対象指数が下落傾向のときに利益を出すことが可能です。また、このようなベア・インバース型ETFにレバレッジをかけることも可能です。ダブルベア・インバース型ETFは通常の対象指数の値動きと反対向きに2倍の動きをするため、対象指数が下落傾向のときにより多くの利益を得ることができます。

 

 

■不況時に強いETF銘柄とは? ~ディフェンシブセクター

ETFは市場平均に投資するため、世界経済が不安定なときは一定の国・地域を対象としたETFあるいは世界経済全体に投資するようなETFは値下がりします。しかし、冒頭で述べたとおりETFには様々な分類があり、その中の1つにセクター(業種)別ETFという形態があります。

セクター別ETFとは国や地域に関わらず食品、エネルギー、建設、医薬品等一定のセクターに投資するETFです。これらのセクター別ETFのうち、比較的不況に強いと言われているセクターを対象としたETFはディフェンシブセクターETFと呼ばれています。例えば人間が生活していく上で不可欠な食品、医薬品、電力、ガス会社などの業種が当てはまります。基本的なポートフォリオを日経平均やTOPIX連動ETFとしつつ、このようなディフェンシブセクターETFを保有することによって、不況時に強い投資を行うことが可能となります。

このように、市場平均が下落しているときに上手くポートフォリオに組み込んでいると損失を回避することができる銘柄もあり、ETFは自身に合わせたな投資を行うことが可能です。