
投資で最大の成果を獲得したければ、「底値で買って天井で売る」という単純明快な方法を実践すればいいのです。しかしながらそれは口に出すほど容易ではなく、安値や高値は後に振り返ってみて初めて判断できるものです。
「さすがにそろそろ下げ止まるだろう」と思って手を出すと続落し、「かなり過熱気味だから・・・」と判断して売った後も続伸するというパターンになりがちです。そういった経験のある投資家は、現実には底値圏に達していてもまだまだ下がるのではないかと二の足を踏み、絶好の買い場を見逃しかねません。結局、たとえプロであってもベストのタイミングを完璧に読むことは不可能なのです。
■ドルコスト平均法の利点は大別して3つ
そのため、多くの投資家たちが論理的な思考に基づいて実践しているのが、ドルコスト平均法を用いた投資です。投資のタイミングをピンスポットで集中させず、定期的に積立投資を行って分散させることがドルコスト平均法の一つめの特徴です。そして、毎回の積立額を一定に保つことが二つめの特徴で、これら2つが時間の経過とともに大きな効果をもたらします。
まず、相場の動向に左右されず継続的に投資していきますから、多くの投資家たちが不安に苛まれてなかなか手を出せない局面であっても、着実に安値で拾っていくことが可能となります。しかも、毎回の投入資金が定額ですから、結果的に安い局面ではより多くの量を買うことができる一方、必然的に高い局面では少なめに抑えられます。つまり、ドルコスト平均法がもたらすメリットは以下の3つだということです。
- 定期的に定額ずつ投資することで、定量ずつ投資するケースよりも買付単価が安くなる
- 一括で投資しないから、高値づかみをする恐れが少なくなるし、安値を着実に拾える
- 自分なりの相場観やマーケット分析は不要、四六時中値動きを確認しなくていい
相場の低迷が長引いた局面でも、こうしたドルコスト平均法に基づいた積立投資を根気よく継続すれば、回復局面を迎えた段階で成果が一気に花開きます。こつこつと安値で大量に買い付けたことが、大きな含み益をもたらすのです。
■ドルコスト平均法による積立投資に最適なのがETF
このドルコスト平均法は様々な対象において実践できますが、最も適しているのはインデックス(株価指数)投資でしょう。「どの銘柄が大きく上昇するのか?」を見極める個別株投資はおのずと当たり外れが生じますが、インデックス投資なら着実に市場における平均点を獲得できます。
投資のタイミングなどを読まず「時間分散」を図り、目先の相場の動きに翻弄されず歳月の経過を味方につけるドルコスト平均法は、やはり予想を排除したインデックス投資との親和性が非常に高いわけです。
個別株投資の場合は、どれほどの優良企業であっても経営破綻や不祥事、景気変動などに伴う業績の浮き沈みといったリスクと無縁ではありません。市場全体や特定の業種などに連動するインデックスであれば、こうしたリスクを個別株投資よりも軽減できます。そして、このインデックス投資における最善の選択肢となるのは、コスト(売買手数料や信託報酬)が低く市場(取引所)において時価で自由に売買できるETFです。
一般的な投資信託にもインデックスに連動するタイプが数多くそろっていますが、ETFはそれら以上にローコストです。また、一般的な投資信託の基準額は前日の市場を反映して算出されており、ETFのように時価で推移しているわけではありません。
■初心者に非常に適しているETFへの積立投資
このように、ドルコスト平均法によるETFへの積立投資は効率的でストレスも少なく、誰もが気軽に実践できるのが大きな魅力です。ただし、ドルコスト平均法にはデメリットも存在することは留意しておいたほうがいいでしょう。具体的なデメリットとしては、3つのポイントが挙げられます。
- 右肩上がりの相場が続く局面では、早いうちに一括で投資したケースよりも買付単価が高くなってしまう
- 買い付ける度に手数料が発生するので、一括で投資したケースよりもトータルのコストが高くなってしまう
- 右肩下がりの相場が長期化すると、なかなか損益がプラスに転じない
とはいえ、特に初心者には難しい判断を問われず、容易に実践できるETFへの積立投資が非常に適していると言えそうです。相場があまり活況ではない頃に始めてそのまま継続していれば、やがて上昇が顕著になった局面で相応の成果を期待できるからです。