チャート分析のススメ④ ~あのボリンジャーも絶賛! ストキャスティクス~

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こんにちは!テクニカルアナリストの山口です。

前回、第3弾はチャート分析で一番重要な「トレンド」についてお伝えいたしましたが、第4弾では「相場の勢い」を把握するモメンタム系のテクニカル指標です。

モメンタム系のテクニカル指標にも様々な種類のものが開発、利用されており、代表的なものには「ストキャスティクス」「RSI(相対力指数)」「RCI(順位相関係数)」「CCI(商品チャネル指数)」などがありますが、その中でもあのボリンジャーバンドの考案者、ジョン・ボリンジャーも使いやすいと絶賛する「ストキャスティクス」を取り上げたいと思います。

「ストキャスティクス」は、現在の相場水準が過去一定期間の高安の中でどの程度の水準にあるのかを示した指標になります。文章ではわかりにくいと思いますので以下イメージ図を交えながらお伝えいたします。

 

 

 2種類のストキャスティクス

「ストキャスティクス」は米国のコモディティ投資家で医学博士のジョージレーンが考案したテクニカル指標の1つで「ファスト・ストキャスティクス」と「スロー・ストキャスティクス」の2種類があります。

20160707_4図1

上のチャートはSPDR ®S&P 500® ETF(ティッカーシンボル:SPY)の週足チャートになりますが、ローソク足の下、下段の水色枠の指標が「ファスト・ストキャスティクス」で「%K」と「%D」という2本の指標で示されています。上段の黄色枠の指標が「スロー・ストキャスティクス」で「%D」と「Slow%D」という2本の指標で示されています。

更に「ファスト・ストキャスティクス」の「%D」と「スロー・ストキャスティクス」の「%D」は全く同じものです。

まとめると「ストキャスティクス」とは「%K」「%D」「Slow%D」の3つの指標のうち2つの指標を利用したもので、「%K」と「%D」の組合せが「ファスト・ストキャスティクス」、「%D」と「Slow%D」の組合せが「スロー・ストキャスティクス」ということになります。

それでは、「%K」「%D」「Slow%D」は何を意味する指標なのでしょうか?

 

 

ストキャスティクスは今の相場水準を示している

冒頭でお伝えした通り、「ストキャスティクス」は現在の相場水準が過去一定期間の高安の中でどの程度の水準にあるのかを示した指標になり、これは以下の%Kの計算式とそのイメージでご理解いただけると思います。まず、計算式は以下の通りになります。

20160707_1K

具体的にチャートで見てみると、下のチャートの白い網掛け部分のようなイメージです。(一定の期間を14として計算)14本のローソク足の最高値を100%と最安値を0%とすると現在値は何パーセントの水準にあるのかということです。

20160707_5図2

 

次に%Dです。

%Dは%Kを移動平均させたものです。(※いくつか計算方法があります。また、一般的に移動平均させる期間は3が利用されます。)

20160707_2D

 

具体的にチャートで見てみると%Dは%Kの推移を滑らかにしたものだということがわかります。

20160707_6図3

最後にSlow%Dです。

Slow%Dも%Dを移動平均させたものです。

(※いくつか計算方法があります。また、一般的に移動平均させる期間は3が利用されます。)

 

20160707_3SD

 

具体的にチャートで見てみるとSlow%Dは%Dの推移を滑らかにしたものだということがわかります。

20160707_7図4

 

 

ストキャスティクスを利用した分析手法

ストキャスティクスの主な分析方法は以下の3つです。

  • 相場の中短期的な方向性とその勢いを見る方法
  • 相場の勢いの強弱から相場の転換点を見る方法
  • ストキャスティクスのトレンドを見る方法

 

1.相場の中短期的な方向性とその勢いを見る方法

20160707_8図5

 

ストキャスティクスは0%から100%の間で推移しますが、相場の方向性については%Dが50%を境にそれより上側にあれば上昇傾向、下側にあれば下降傾向といえます。また、相場の勢いの強さについては、%Dが100%に近いほど相場は上向きの勢いが強く、0%に近いほど相場は下向きの勢いが強いということがわかります。このような考え方から%Dが50%を跨ぐときが売買のタイミングといえます。

ただし、ある程度、相場が上昇してから若しくは下落してからでないと相場の方向性が把握できないこと、また、%Dが移動平均された指標となるため売買判断は遅くなる傾向があります。

 

2.相場の勢いの強弱から相場の転換点を見る方法

20160707_9図6

こちらは最も良く知られている使い方でしょう。

ストキャスティクスが相場の勢いを示し0%から100%の間で推移することに着目し、ストキャスティクスが100%に近付くほど、買いの勢いが強すぎるため(買われ過ぎ)今後その傾向が弱くなる可能性がある、逆に0%に近づくほど、売りの勢いが強すぎるため(売られ過ぎ)今後その傾向が弱くなる可能性があると分析する方法です。

なお、ストキャスティクスでは一般的には80%以上を買われすぎ、20%以下を売られすぎの目安にするケースが多いです。

このような考え方から売買の判断方法は2つあります。1つは単純に%Dが80%以上となったときに売り、20%以下となったときに買うという方法です。

もう1つは%Dが80%以上から下落し始めたときに売り、20%以下から上昇し始めたときに買うという方法です。

ただし前者は売買のタイミングが早いため強いトレンド相場では機能しにくく、後者はタイミングが遅くなる点に注意が必要です。

 

 

3.ストキャスティクス自体のトレンドを見る方法

20160707_10図7

3つ目は%DのトレンドをSlow%Dで把握し%Dが上昇傾向なら買い、%Dが下降傾向なら売りと判断をする方法です。

前回の移動平均線でご案内のとおり、移動平均線は平均される数値の方向性を示しています。同様に%Dを移動平均したSlow%Dは%Dの方向性を表しており、Slow%Dが上向きで%DがSlow%Dよりも上に位置していれば、ストキャスティクスは上昇トレンドだと言え、売りの勢いが低下、買いの勢いが強まりつつあり、逆に、下降トレンドなら、買いの勢いが低下、売りの勢いが強まりつつあることが把握できます。

このような考え方からストキャスティクスの2つのライン%DとSlow%Dが交わるタイミングが売買サインとなります。

 

 

ダイバージェンス(逆行現象)

最後に「ダイバージェンス(逆行現象)」をご紹介します。

「ダイバージェンス」もストキャスティクスなどモメンタム系指標を利用する際に良く聞く用語です。

ダイバージェンスとは相場と指標が反対方向に向いている状況のことです。

具体的には「相場が高値を更新しているにも関わらず、指標は下落している状況」や、「相場が安値を更新しているにも関わらず、指標は上昇している状況」になります。

ダイバージェンスは相場の勢いが低下していることを意味し、将来の相場の反転を示唆しているということです。

 

 

ストキャスティクスの注意点

ボリンジャーバンドの考案者であるジョン・ボリンジャー氏はストキャスティクスを「スイスの万能ナイフのようだ」と絶賛していますが、ストキャスティクス等のモメンタム系のテクニカル指標には共通して言える注意点があります。

それは、強いトレンドが生じていると指標が0%や100%付近に張り付いてしまい上手く機能しにくいということです。

そのため、実際に相場分析をする際にはストキャスティクス等モメンタム系のテクニカル指標のみ単体で利用するのではなく、移動平均線などのトレンド系のテクニカル指標を組み合わせて利用しましょう。

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