
連邦公開市場委員会
3月15日(水)に二日間に渡って開催されていた連邦公開市場委員会(FOMC)が閉会し、米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートは0.25%引き上げられ、1.00%になりました。
これは大方の市場参加者が予想していた通りの展開です。
経済予想サマリー
FOMC声明文とともに発表されたFOMC参加メンバーによる経済予想サマリー(SEP)では、2019年のフェデラルファンズ・レートのコンセンサス予想が0.1%引き上げられ、3.00%になった他は変更ありませんでした。
これは今年3回、来年3回という利上げのペースには、変更がないことを意味します。
GDP予想に関しては2018年の予想が0.1%引き上げられ、2.1%になった他は変更がありませんでした。イエレン議長は記者会見中「景気の先行きに関する見通しは、変化していない」と明言しました。
失業率の予想は前回と全く同じでした。
記者会見では賃金の上昇が、弱々しいことに関し言及があり、生産性の向上の欠如がその一因かもしれないことが議論されました。
PCEインフレに関しても変更はありませんでした。
PCEコア・インフレに関しては2017年の予想が0.1%引き上げられた他は変更ありませんでした。
量的緩和政策の巻き戻しは当面ナシ
なお、FRBは今後も今まで同様、量的緩和政策で購入した債券のうち、償還を迎えてキャッシュアウトされる分については再投資を続ける意図を確認しています。
もちろん再投資を止める、あるいはFRBのバランスシートを縮小してゆくという方法も、金融調節のひとつのやり方に他ならないわけですが、いまのところは専らフェデラルファンズ・レートの上げ下げで調節をすることを確認しました。
その理由は、FRBのバランスシートの大きさを変更することで調節するやり方は過去にFRBがあまり経験していない手法であり、慣れているフェデラルファンズ・レートによる調節の方が確実だと考えるからです。
中立金利の議論を通じてゆるやかなペースでの利上げが確認された
名目中立政策金利(neutral nominal interest rate)は過去の水準より低くなっていると思われることが記者会見の中で議論されました。中立と思われる地点が下がっている理由は、高齢化などの人口動態的な理由にもよると思われ、その原因をリーマンショックだけに求めることは出来ません。
いずれにせよニュートラル・レートが下がっているということは、政策金利がそこへ到達するまでに必要な利上げの繰り返しの回数が減ることを意味し、それだけゆっくり利上げしてゆけることを示唆しています。
記者会見でこの点が議論されたあたりから銀行株が値を消し、逆に金鉱株が買われた理由は、ゆっくりとした利上げのペースが確認されたからに他ならないと思います。