東京オリンピック相場の波にのる方法 ~覚えておきたい不動産ETF~

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東京オリンピックの経済への波及効果

2020年の東京オリンピック開催に向けて、さまざまな分野で準備が始まりました。

日銀調査統計局から2015年12月に発表された「東京オリンピック・パラリンピックの経済効果」は、2015年から2018年の実質GDPを毎年0.2%~0.3%ポイント上昇させるという試算結果でした。

その効果は ①訪日観光需要の増加 と ②関連する建設投資の増加という2つの経路を通じて、経済にプラスの効果をもたらします。特に、関連するオリンピック関連の建設投資には、オリンピック会場設備など直接的な需要だけでなく、民間ホテルの新築・増改築や都心の再開発、商業施設の建設や交通インフラの整備といった間接的な需要も含まれます。過去のオリンピック開催国のパターンを参考にしますと、関連する建設投資は、2017~2018年頃にかけて大きく増加したあと、2020年頃にかけてピークアウトしていくと予想されます。

こうした建設投資に対する景気の大きな振幅を回避するためには、①の観光客誘致策だけではなりません。規制緩和をはじめとする各種の成長力強化に向けた取り組みを通じて、新規需要を掘り起こしていく必要があります。

 

■ETFを使って東京オリンピックの経済効果を投資に活用する方法

では、この五輪効果を投資に活かす方法を考えてみましょう。方法としては、建設、不動産などの個別銘柄株に投資をしていく方法と、不動産、建設関連銘柄ETFを使って分散投資を図る方法の2つがあります。

第一の個別銘柄を選択するのは、皆さん初めに考える投資方法ではないでしょうか。しかし、投資初心者の方には少しハードルが高いものです。そこでお勧めなのが、第二のETFを使って関連銘柄に分散投資を行う方法です。

早速ETFを使った関連銘柄である、不動産ETFの仕組みをみていきましょう。実は不動産ETFは、実物の不動産を直接組み入れているのではなく、REITを組み込んでいるのです。言い換えると、REITという多数の現物不動産を組み込んだものをさらにまとめたもの、という一種の「ファンドオブファンズ」と考えると理解しやすいのです。
そのため、不動産ETFに投資をすることによりインデックス投資をして、結果的にREIT全体に分散投資をすることになるのです。

東証REIT指数への連動を目指す、不動産ETFの主な具体的な銘柄は、次の通りです。

1343 NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信

1345 上場インデックスファンドJリート(東証REIT指数)隔月分配型

1476 iシェアーズ Jリート ETF

1595 NZAM東証REIT指数

1597 MAXIS Jリート上場投信

これら不動産ETFも、一般的なETF同様、信用取引が行えます。

もう一つ不動産とは別の分野で、オリンピック相場のけん引役として注目されるのが建築、道路、橋梁といった建設関連です。言うまでもなく五輪実現のためには、施設整備やインフラ整備が必要です。首都圏のインフラは前回の東京オリンピック(1964年開催)からすでに50年以上が経過し、かなり老朽化が進んでいます。

このような状況から、今回の東京オリンピックを機に急ピッチでインフラ関連の再整備がすすめられる見込みです。五輪銘柄として大手ゼネコン銘柄のほか、セメントやコンクリートなど資材関連銘柄や、ショベルカー、ダンプカーなど建設機械を扱う銘柄なども注目されています。

これら五輪関連銘柄を含む国内の建設,資材,機械に幅白く投資できるETFは、次の通りです。

1619 NEXT FUNDS建設・資材上場投信

1624 NEXT FUNDS機械上場投信

1636 ダイワ 上場投信・TOPIX-17建設・資材

1641 ダイワ 上場投信・TOPIX-17機械

 

■東京オリンピック関連ETF投資で注意すべき点

次に、不動産ETFや建設関連のETFを使って五輪関連銘柄への投資を行う際、注意すべき点を考えていきましょう。

東京オリンピック開催が決まった2013年9月8日の前営業日以降から9月末までに、東証REIT指数(配当込み)は15%近くも上昇しました。国内REITの保有物件の多くは東京にあり、都市インフラ整備や観光産業の需要拡大などの恩恵を直接受けるため、東京オリンピック開催は国内不動産にとって一般的には好材料といえます。

しかし、前に述べた日銀調査統計局の五輪効果のレポートによると、五輪開催を経験した諸外国の例を踏まえると、その押し上げ効果については不確実性が大きく、過去の開催国と比べ低めとなる可能性があるようです。

その理由は、第一に経済的に成熟した国よりも比較的発展段階にある国で開催されることが多かったため、プラス効果は大きめに推計されやすいことです。第二に、オリンピック予算のGDP比率をみると、日本では既に社会インフラが整備されていることを反映して、今回オリンピックでは 0.1~0.2%程度と、過去の開催国平均0.4%程度と比べ小さい、という二つが想定されます。

また、過去の開催国の例から考えると、投資がGDPに与えるピークは、開催前の1-2年前に来ています。このことから、投資で五輪効果の恩恵を受けるためには、早めの投資と早めの回収を考えておいた方が安全だと思われます。

五輪開催は、実態経済にとってプラスにはたらくことは言うまでもありません。ETFを使ってできるだけ分散投資をしながら、ダイナミックに動く東京をみていくと、また違った見方が発見されるのではないでしょうか。