貯蓄から投資と言うけれど

「投資せよ、投資せよ」・・・と国はやたらと喧伝(盛んに言いたてる)してくると思いませんか?

いわゆる『貯蓄から投資へ』・・・ってやつですね。

「貯蓄から投資へ」と国が長年言い続けても、さっぱり(?)効果が上がらないからのか、最近は言葉を変更したようですね。

 『貯蓄から資産形成へ』・・・だそうです。

日本人が貯蓄好きな性向という理由もあるでしょうし、心配性な気質なこともあるかもしれませんね。

しかし、何より年金制度が整っていないのが根本的な原因ではないかと思ったりします。つまり年金だけでは暮らせない・・・という事実です。そもそも生活保護が年金よりも金額が多いという事実ひとつをとっても「制度がおかしくないか?」と思っている国民は私だけではないはずです。

そりゃ、老後に年金だけで暮らしていけない事がわかっていれば、正常な感覚の人間なら”将来に備えて貯金”・・・というのは当然の行為でしょう。CPI(消費者物価)が上向かないのも、個人消費がなかなか伸びないのも、ここに根本的な原因があるように思えてなりません。

「そうだよね?だから得するか損するかわからない投資になんてお金を回せないよ!貯蓄が一番!」・・・という方は多いのかもしれません。

しかし残念ながら、貯蓄にも弱点があります。何でしょうか?

貯蓄の弱点とは

我々は現在、資本主義社会に暮らしています。そして資本主義社会というのは(極論すれば)「物価が上昇する」ということを前提に成り立っている社会・・・と言い切っても差し支えありません。昔のことを思い出せば納得できるはずです。物の値段は時代に連れてどんどん下がっていますか?違いますね。

貯蓄は毎年2%ずつ減っていく!?

つまりどういうことか?

例えば米国であれば、毎年毎年【コアCPI(変動の激しい食品を除いた物価)】は2%ずつ上昇しています。つまり毎年物の値段が2%ずつ上がっているということです。これは言い方を変えれば、毎年毎年【現金の価値が2%ずつ下がっている】ということです。銀行に預けてある皆さんのお金も毎年2%ずつ価値が下がっているということです。

あれれ?「損したくないから貯金」しているはずが、毎年2%ずつ損していたなんて!・・・ということになります。

日本だって当然例外ではありません。日銀(日本銀行)が必死になって物価を2%ずつ上げようとしています。つまりあなたの大切な貯金は毎年2%ずつ目減りしていく運命を背負わされている・・・とも言えます。「日銀は何してくれるんだ?すぐにやめろ!」・・・という訳にはいきません。何故なら先程書いたように物価上昇は資本主義社会の前提だからです。日銀を責めるのはお門違いです。

貯蓄を全て物価に交換してしまう 

もちろん銀行の利子が2%あれば、貯金も2%ずつ増えて物価上昇とトントンになりますが、現在の銀行利子はどうでしょうか?だいたい銀行の利子が2%ある世の中というのは、物価がそれ以上に上昇しているからであり、いずれにしても、この資本主義の世の中では「現金(貯蓄)は価値が目減りしていく」運命にあります。

こういう明確な理由がありますので、実は「貯蓄」というのは、皆が思っているほど資産形成に対して賢い選択ではないのです。毎年お給料が2%ずつ上がっていけば良いですが、どうですか?

『物価が2%ずつ上がっていくのなら、貯蓄を全て物価に交換してしまえばいいと思いませんか?』

・・・だって自動で2%ずつ上がっていくわけですから。ん?意味がわからない?

しかし、これが株式を買うということなのです。物価は劣化しますので貯蓄の代わりに車や卵に交換しておくという訳にはいきません。

難しい話はひとまず置いておくとして、株式は基本的に物価上昇に連動します。ただ、日々により個別銘柄の上下が激しいですからソコに目がいってしまっているのが現状です。

ですから自分の資産(貯蓄)を、ただただ2%ずつ減らしたくないなら、株式市場を使ってある程度のお金を「物価」に交換しておくのが本当は賢い選択なのです。

現金保有による毎年2%の価値の減少を回避する

「そうか!よし明日に投資信託を買おう!」

・・・と、早速買った投資信託の信託報酬(毎年かかる手数料)が2%では全く意味がありませんよ(笑)

 株式や投資信託を買って、2%以上に儲かれば言うことはありませんが、欲張ることはリスク(危険)の裏返しであり、冒険したくなければ、本来の「貯蓄の代わり」という意味を忘れないことです。

そうすれば、自然と価格変動が少なく安定した金融商品(株式や投資信託やETF)などが選択肢となるはずです。儲けようと思わず「現金保有による毎年2%の価値の減少を回避する」という意味合いで金融商品を選択するのが良いです。

ここを間違えないことが投資の第一歩だと思います。