
12月14日、米FRBは市場の予想通り25bpの利上げを発表しました。
利上げ幅は市場の予想通りでしたが、イエレンFRB議長が来年については事前予想の2回ではなく、3回の利上げを行うと予定であると想定外の発表を行いました。
この想定外の発表を受けその日のアメリカ株は下落しました。イエレン議長が3回も利上げを行わなければならいと判断した理由は、アメリカの失業率が予想より低いことが理由と見られています。アメリカの賃金が上がる事も理解できます。大統領選挙後アメリカ株は調整という調整がなく、待ちに待った調整の始まりかと思われましたが、下落した翌日市場の株価は上昇しました。市場の調整がないのは、大統領選後の市場の上げについていけていない投資家がどれだけいるのかを物語っています。
来年のアメリカはどうなる?
来年のアメリカ株式市場の見通しを考えるにあたり、ウォール街のストラテジスト達の予想を見てみましょう。現時点での、2017年末の彼らのS&P500株価指数の予想は2300辺りが見うけられます。
その理由は彼らの来年のS&P500の予想EPSが130ドルくらいだからです。長期的なS&P500の平均PERは17.5倍くらいですから130ドルの予想EPSに17.5倍のPERを掛けてみると2300程度の目標値となるのです。 この予想は今後大きく上方修正される可能性があります。彼らの予想にはまだトランプ新大統領による減税案などは織り込まれていないからです。
彼は大統領選のキャンペーン中に減税を行うという姿勢ははっきりさせているものの、具体的には何も発表されていない為、彼らの収益予想に織り込まれていない状態です。
年初に想定されるアメリカ企業収益の上方修正
新しい年になり新トランプ大統領の就任演説で彼の政策がより明確になってくると次の事が起きることが想定できます。 税制改革、インフラ投資等新大統領の政策に絡むところ、加えてドルや原油価格の方向性です。税制改革については、企業収益にプラスですから先ほどの130ドルの予想EPSにすぐさまプラスの影響を与えます。
インフラ投資についてですが、こちらも間違いなくアメリカの企業にとってはプラスです。しかし、インフラ投資投資は長期的に行われるもので、インフラ計画が発表されても実際に資金が使われ始めるのは早くても来年の後半に入っての事でしょうから、直ぐに企業収益に影響を与えることはないでしょう。2017年の企業収益に与える影響はあっても少しではないかと思います。
次の調整はドル高についてです。S&P500企業の売り上げの7割は海外からと言われていますので、明らかに今のドル高のトレンドはマイナスです。その一方で、原油高は資源セクターの企業収益にプラスに寄与し、S&P500の企業収益にとっても総じてプラスとなります。
来年のS&P500の目標株価は2400か
ウォール街のストラテジスト達が、この足し算と引き算を行った結果として、現在の予想EPSの130ドルにどのような影響を与えるかによって来年末の目標株価が変わってくる訳です。
35%と言われているアメリカの法人税(実際の実効税率は32%程度と言われています)をトランプ新大統領がどこまで下げるかが企業収益に最も大きな影響を与えます。
最近、とあるアメリカ株ストラテジストによる減税の影響はS&P500のEPSを最大12ドル上方修正するであろうという分析を見ました。為替の悪影響等を鑑み、控えめにみて仮に6ドルの上方修正が起きたとEPSを136ドルとしましょう。歴史的なPERの17.5倍を掛けてみると約2400という目標株価が算出されます。
現在のS&P500の配当利回りは 2%程度です。ここから年末までどのくらい株価が上昇するかでもかわってきますが、非常に控えめにみた来年のS&P500のリターンは7%程度に加え、配当利回りの2%で来年のS&P500のトータル・リターンは9%程度だと思います。繰り返しますが、これはあくまでも非常に保守的な見方ですよ。
なんだ、たったの9%のリターンかと思わないでください。
次回は、来年ETFを使ってS&P500のリターンを上回る戦略をご紹介したいと思います。