
6月14日と15日の両日に渡り連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。今回のFOMCでは米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートは現行の0.50%のままに据え置かれるというのがコンセンサス予想になっています。
むしろ注目されるのは15日に発表されるFOMC声明文と同時に公表される経済予想サマリー(SEP: Summary of Economic Projections)でしょう。
これはFRBメンバーが各自の経済指標の予想を持ち寄り、それを集計したものです。くだけた言い方で「ドットプロット」と呼ばれることもあります。
SEPは1年に4回公表され、今回は今年、第2回目になります。
下はこれまでのSEPにおけるフェデラルファンズ・レートのコンセンサス予想の推移です。
ここで特に問題になるのは今年末、すなわち上のグラフで2016年末のフェデラルファンズ・レート予想です。
前回のミーティング(3月=灰色)では、コンセンサスは0.90%となっていました。
すると現行の政策金利が0.50%ですから、毎回0.25%刻みで利上げが実行されると仮定すれば、今年はあと2回(0.50%+0.25%+0.25%=1.00%)程度の利上げというシナリオをFRBメンバーの多くが予想していたことが窺い知れるわけです。
しかし前回利上げが実施されたのは去年の12月であり、今年はもう6月になるのに未だ1回も利上げは行われていません。
つまり今のペースは「ドットプロット」に示されたペースより、明らかにのんびりとしたペースだということです。
仮に9月に利上げがあったとして、今年中に2回の利上げを詰め込むなら、たぶん12月のFOMCでも利上げをしなければいけないというわけです。
すると9月から僅か3カ月後の12月に再び利上げということになれば、なんだか急にあわただしくなった印象を与えてしまいます。
つまり今回のFOMCで公表されるSEPのみどころとしては、この2016年末のフェデラルファンズ・レートのコンセンサスが現在の0.90%から、もう少し低い数字、例えば0.80%前後にさがってくるかどうか? になります。
一方、FOMC声明文では再び外部要因、つまり海外動向に対して気を配った表現が登場することが予想されます。とりわけ6月23日に迫った英国のEU離脱の是非を問う国民投票という大きな不確実性が我々の眼前にぶら下がっているので、それに配慮した言い回しが使われるのが自然だと思われます。
このように考えると、6月15日のFOMCならびに記者会見で急にドル高の材料が飛び出すとは考えにくいと思います。