
6月14日と15日の両日に渡り連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されました。その結果、米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートは、現行の0.50%のままに据え置かれました。
FOMC声明文の中では「労働市場の改善のペースが鈍化した」ことが言及されました。
その一方で「経済活動は加速したように見える」というコメントも盛り込まれました。
さらに「家計支出は強含んだ」という指摘もされています。
また「住宅セクターは改善を続けており輸出の逆風も減ったように見える。その一方で固定資産投資は引き続き弱い」という観察も付け加えられました。
それらを勘案すると、バランスのとれた声明文になっていたと言えるでしょう。
注目された経済予想サマリー(Summary of Economic Projections)では、まず2016年のGDP予想の平均値が2.0%へ下がりました。
それにもかかわらず2016年末のフェデラルファンズ・レートの予想は0.9%で不変でした。
これはつまり7月の非農業部門雇用者数がおおまかに言って10万人以上の数字で入ってきた場合、7月の連邦公開市場委員会で利上げするという可能性を、かろうじて残す数値であると言えるでしょう。
もうひとつ目をひくのは、過去1年の経済予想サマリーで2018年のGDPに関するコンセンサス予想が2.0%のまま全然動いていないにもかかわらず、2018年末のフェデラルファンズ・レートの予想は1.0%も下がっているという点です。
これについては無理なく景気が拡大してゆくための理想の金利水準、すなわちニュートラル・レートが、以前より下がってきたのかもしれないという説明でした。
ひところ懸念されていた消費が、足下で堅調さを取り戻しているのと同様に、「あっ!」と息を呑むほど悪かった6月の非農業部門雇用者数の数字も、ダマシに終わる可能性があります。
イエレン議長は「だからこそ次の非農業部門雇用者数をしっかりと見極めたい」と強調しました。