
■いよいよ8月5日が開会式
第31回オリンピック競技大会はブラジルのリオデジャネイロで8月5日から21日まで開催されます。
残念ながらリオデジャネイロ・オリンピックは事前の盛り上がりに欠けています。その理由は大統領を含む政府高官の多くを巻き込んだスキャンダルに加え、治安に対する不安、そしてジカウイルスの発生などによります。
■ポピュリズムに背を向けるブラジル
ポピュリズムとは「エリートに牛耳られている政治の実権を庶民に取り戻させる」ことを公約に選挙戦を戦う方法を指し、往々にしてそれは扇動家(デマゴーグ)によって利用されます。
南米ではこれまでにもブラジルのヴァルガスやコロル、アルゼンチンのペロンやメネム、ベネズエラのチェベスのように、数々のポピュリストが登場してきました。
しかしポピュリズムは大衆の耳に心地良い約束を繰り返しながら、実際には民権の擁護には寄与しませんでしたし、経済的にも大衆は苦境に立たされてきました。
つまりポピュリズムは成功しないのです。
南米諸国の有権者は、ポピュリズムに対する幻滅から、時々、保守的なリーダーを選び、そのリーダーの下で経済を修復したかと思うと、再びポピュリズムに戻る……というサイクルを繰り返しています。
現在はアルゼンチンでも、そしてブラジルでも、保守主義への回帰が見られます。
■ブラジルの政局は好転
ブラジルの場合、5月の半ばにルセフ大統領が職務停止となり、現在、副大統領のミシェル・テメル氏が大統領代行を務めています。ミシェル・テメル大統領代行はブラジルが軍政から民政へ移行した際、制定された、1988年憲法の起草者のひとりです。また経済運営にあたってはマーガレット・サッチャー的な「小さな政府」の信奉者です。
■ブラジル経済は徐々に好転
ブラジルは去年まで政局不安や経済の低迷を背景にレアル安でした。
レアル安は輸入物価の高騰を招くため、ブラジルの消費者物価は去年、10%を超えました。
このためブラジル中銀は政策金利であるSELICレートを14.25%に引上げました。
それは景気の後退を招きました。
しかしレアル安でブラジルの輸出業者の競争力は増し、貿易収支は黒字化しています。
それを背景に経済はゆっくり回復し、レアル相場の安定に伴い、インフレも収束すると予想されています。
つまり株式投資にとってはスイート・スポットとも呼べる好条件が折り重なることが予想されるのです。その意味で、iシェアーズMSCIブラジルETF(ティッカーシンボル:EWZ)に注目したいと思います。