米国運用業界の最新のトレンドについて

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インデックス運用の躍進

アメリカの投資家によく読まれている投資週刊紙『バロンズ』は、最新号で「投資信託の未来」という巻頭特集を組みました。

それによるとトップ10ファンド・ファミリーは以下の通りでした。

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5月末で〆た過去1年の資金の流入・流出を見ると、バンガードには2,238億ドルが流入し、全ての運用会社の中でトップでした。

またブラックロックのETFブランド、アイシェアーズも845億ドルの資金の流入を見ました。

第3位はディメンショナル・ファンドで245億ドル、第4位はSPDRステート・ストリートで202億ドルでした。

これらはいずれもインデックス運用、ないしはパッシブ運用で知られる運用会社です。

 

アクティブ・ファンドは不人気

これとは対照的に,名物ファンドマネージャー、ビル・グロスが去ったピムコからは465億ドルが流失しました。

またバリュー投資、新興国などに強いフランクリン・テンプルトンからは444億ドルが流失しました。

さらにフィデリティからは145億ドルが流出しました。

これらはいずれもアクティブ運用を得意とする運用会社です。

つまり投資家は明らかにインデックス運用を好んでいるわけです。

 

コスト、透明性、パフォーマンス

投資家がインデックス運用の投信やETFを選好する第一の理由は、低コストにあります。最近、アメリカの個人投資家は投資リテラシーが向上しており、費用比率に敏感になっています。

またインデックス運用では、自分が何に投資しているのか?を把握しやすいため、運用の透明性が高いです。

アクティブ運用ではファンドマネージャーが独自の判断で上がりそうな株を選ぶわけですが、今日の投資家はファンドマネージャーに「白紙委任状」を与えるような従来のやり方に疑問を持ち始めています。その背景には、大半のアクティブ・ファンドが株価指数に勝てていないというパフォーマンスの問題があります。

 

ベータへの参加

株式投資で儲かった時、その「勝因」を突き止めるのは大事な作業です。ポートフォリオの上昇のうち、市場全体の上げで説明できる部分をベータ(β)、それ以外の要因による部分をアルファ(α)と呼びます。

たとえば「下げ相場でもちゃんと利益を出せた」ヘッジファンド・マネージャーが居たとしたら、その「腕前が良かった」という部分に相当するのがアルファだと思ってください。

運用業界の人たちは自分の腕前をアピールするわけですが、実際には利食いの大部分はベータ、すなわち市場の動きで説明できる「勝ち」であり、アルファの貢献は、微々たるものです。

多くの個人投資家は長年に渡って投信商品に投資してきたので、経験的、ないしは直感的にそのことを悟り、(ファンドマネージャーの腕前を信じて、それに高いフィーを払うのは、馬鹿馬鹿しいな)と考え始めているのです。

つまりインデックス運用のファンドやETFに個人投資家が流れているということは、投資家がそれだけ賢くなったことの表れだと捉える事が出来るのです。

 

ロボ・アドバイザーの登場

ロボ・アドバイザーとは、個人のニーズや市場の動きに合わせて、半年に一度程度のペースでポートフォリオの見直しと保有投信の入れ替えなどの作業を自動的にコンピュータに任せてしまうことを指します。

何でもスマホで済ませてしまう、今の若い世代の人たちにとって、対面証券やフィナンシャル・アドバイザーとのミーティングはわずらわしいです。

それならいっそのことインデックス投信の組み入れ比率の変更やETFの入れ替えも、コンピュータに任せてしまいたい……ロボ・アドバイザーは、そういうニーズから今、急速に普及しつつあるわけです。

インデックス・ファンドやETFは、とりわけロボ・アドバイザーと相性が良いので、このトレンドが進行すると、アクティブ・マネージャーの淘汰が一層進むことが予想されます。

 

一握りの投資対象を、しっかり使いこなせるスキルを身につける事

さて、このようなトレンドを前に、我々個人投資家がやらなければいけない事は、何でしょうか?

一昔前なら、「あのファンドマネージャーは腕前が良い」というような情報を知っている、ないしは、自分がそれを知らなくても、経験豊かなフィナンシャル・アドバイザーからそういうことを教わるというようなことが、個人の資産運用でかなり重要でした。

しかし今ではそういう知識はどんどん無用の長物になりはじめています。

むしろ5種類程度の、代表的なインデックス・ファンドやETFの特徴を、しっかり把握し、それを状況に応じてしっかり使いこなせるスキルの方が、はるかに重要になりつつあります。

それらの、いわば「白いご飯」のようなETFについては、折に触れて今後も紹介してゆきたいと思います。

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