
ジャクソンホール・シンポジウム
ニューヨーク時間の8月26日(金)朝10時から、ワイオミング州ジャクソンホールにて開催されているFRBのシンポジウムで、イエレン議長がスピーチします。
今回のシンポジウムでは、FRBが今後何年にも渡って使えるような政策金利誘導の手法に関する学術的な議論が行われる予定です。
結論から言えば、今回のイエレン議長のスピーチでは、特に新しい材料は出ないと予想されます。
政策金利は低くても大丈夫
それを断った上で、今回のシンポジウムで具体的に議論される内容を予想すると、それは次のようなことになるでしょう。
「いま米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートは0.50%と極めて低い。そのような状況で、もし景気後退が来たら、利下げ余地は小さい。これは大丈夫だろうか?」
そして結論的には「フェデラルファンズ・レートは、低くても大丈夫」という確認されると思っています。
為替に与える影響
もし「政策金利は低くても大丈夫」という結論であれば、それは慌てて利上げする必要が無いことを意味し、米国の政策金利は現在の緩い状態のままが続くことになります。
それはドル安要因です。
もし政策金利が低いままでリセッションが来たら?
もし政策金利が低いままでリセッションが来たら、どうすれば良いのでしょうか?
これは心配には及びません。
その場合は、リーマンショックの後に実施されたQE(量的緩和政策=中央銀行による債券の購入)を、再び実施すれば良いだけのことです。
過去のQEの歴史
第二次世界大戦がはじまった時、アメリカはレンド・リース法により、無償でイギリスやロシアに武器や物資を大量に与えました。
そのとき莫大な資金を調達しなければいけなくなったので、ちょうど日本の「挙国一致体制」と似たような政治状況が生まれました。
そこで1941年以降、FRBは中央銀行としての独立性を自ら放棄し、米国財務省に従属しました。このような状態が、10年間続きました。
米国財務省は戦費調達のため国債をどんどん出しましたが、金利を低く保つ必要から、それらの国債は、もっぱらFRBによって買われました。つまりQEに似たオペレーションが行われたのです。こうしてFRBのバランスシートは800%も膨張しました。
戦争が終わり、FRBがこのバランスシートを元の状態に戻すとき、ちょうどいまFRBが抱えているのと同じような、「国債を、相場を崩さずに市場に売り返せるだろうか?」という問題に直面したのです。
当時のFRB議長はウイリアム・マーチンJr.でしたが、彼は問題なくその処理をやってのけました。
つまり中央銀行の采配として、通常の、政策金利の上げ下げによる調整と同じくらいQEによる調整も有効であることは、上の事例から、すでにわかっているのです。
まとめ
今回のジャクソンホール・シンポジウムでは、特に新しいことは出ないと思います。「政策金利を慌てて引上げるには及ばない。緩和が必要なときは、またQEをやればよい」ということが議論されれば、それがドル安を引き起こす可能性があります。