
コンセンサスが地殻変動
8月26日(金)、ワイオミング州ジャクソンホールにて開催されたFRBのシンポジウムでは、イエレン議長のスピーチが始まる前から、連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つメンバーたちへのメディアのインタビューが始まりました。
全体として、そのトーンは「そろそろ利上げを考慮して良い」というものであり、7月のFOMCの議事録の内容に比べて、コンセンサスが利上げの方向に向けて地殻変動を起こしていることを感じさせました。
イエレン議長本人も「雇用市場は引き続き改善しているし、経済活動や物価の見通しもしっかりしてきていることから、フェデラルファンズ・レートを引上げる必要が高まった」とコメントしました。
投票権を持つメンバーの発言で、とりわけ市場関係者から注目されたのはフィッシャー副議長の発言で、「9月2日に発表される8月の雇用統計が良ければ9月21日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げすることになるだろう」ということがほのめかされました。
9月2日の雇用統計
但し利上げできるかどうかは、あくまでも9月2日(金)に発表される8月の非農業部門雇用者数にかかっていると思います。
これについてはジャクソンホール・シンポジウムに参加していたウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ジョン・ヒルゼンラースが「19万人を超える、強い数字なら利上げだろう」と彼の観測を述べました。
市場の期待
フェデラルファンズ・レートに関する市場の期待は、これらの一連のニュースがもたらされた後、大きく動きました。9月21日のFOMCで利上げが発表される確率は36%に跳ね上がりました。
為替、債券、株式
今回、FOMC投票メンバーの多くが利上げ派にシフトしたことを受けてドル/円はドル高に振れました。米国債も売られました。しかし金曜日の株式市場は小動きでした。
FOMC投票メンバーの立場からすれば、このような市場の反応は、利上げに理想的です。株式に関しては、このまま凪のような状態が9月21日のFOMCまで続いてほしいと願っていることと思います。
投資戦略
しかし、もし今週金曜日の雇用統計が19万人より強ければ、マーケットはいよいよ利上げを意識することになり、その場合、ギクシャクした動きになることは避けられないと思います。もっといえば、目先は下値リスクが大きいわけです。
このため目先は米国株市場にはショート(空売り)のチャンスがあると思います。なおトライオートETFでは8月29日(月)から「売り」から入る取引が可能になっています。