
■連邦公開市場委員会の予想
9月20・21日の両日に渡って連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。
米国の政策金利はフェデラルファンズ・レートと呼ばれ、しばしば「FFレート」という風に略されます。
FFレートには先物があり、それはCMEという取引所に上場されています。その先物の価格から、市場参加者たちがどのくらいの確率で利上げされると予想しているか? を逆算することが出来ます。その計算結果を示したものが下のグラフです。
上のグラフ中、2016年9月16日の時点(青色)では、市場関係者は12%の確率でFFレートが0.75%になる(=つまり0.25%の利上げがおこる)と予想していたことがわかります。
この12%という確率は「今回は、ほぼ利上げは無い」と市場が判断していることを意味します。
その次のFOMCは11月2日です。そこでの利上げ確率は(19.9+1.2)の21.1%となっています。
つまり11月2日のFOMCでも利上げは無いと市場関係者は見ているのです。
実際、大統領選挙の本投票が11月8日に控えていることを考えると、その直前に利上げするということは連邦準備制度理事会(FRB)の意図をいろいろ詮索される危険性があるので、それは避けるというのが順当だと思います。
するとその次に利上げ出来るチャンスとしては、今年最後の12月14日のFOMCになります。そこでの利上げ確率は(45.2+9.2+0.5)で54.9%になります。
つまりここで初めて確率が50%を上回るわけで、「利上げがあるなら、12月だ」と市場関係者が考えていることがうかがわれます。
■今回のFOMCの注目点
さて、「今回、利上げは無い」として、それでは投資家は何に注目すべきなのでしょうか?
FOMC声明文に添付される「経済予想サマリー(Summary Economic Projections)」、略してSEPという資料に注目してください。
この資料はFOMCメンバー17人(=現在2名は欠員)が、今後の政策金利や経済のシナリオに関し自分の予想値をグラフに点(ドット)を書き込んでゆくことから、通称、「ドットプロット」と呼ばれます。
そして17人の予想の平均値がどうなっているかをグラフにしたものが、下です。
直近のSEPが出されたのは6月のミーティング(黄)ですので、それが最新の予想ということになります。
すると「2016年末」のフェデラルファンズ・レートのFOMCメンバーによる予想の平均値は0.9%になっています。
現在のFFレートが0.50%で、投資家は12月に1回の利上げ(0.25%)を予想しているわけですから、その時点でのFFレートは0.75%になります。
するとこの「0.90%」という予想値は「高すぎる」ということになるので、今回、これが0.75%に向けて下がってくるかどうか? がひとつの見どころになります。
同様に「2017年末」の1.6%という数字も1.6-0.75=0.85となり、これは3.4回の利上げ(計算は0.85÷0.25)を示唆する値であり、2016年にこれまで未だ1回も利上げが行われていないことを考えると少しムリのある予想だと言えそうです。したがって、この数字もたとえば「1.30」付近まで下がってくることが予想されます。
言い換えれば、このグラフの傾きが今回のSEPでどうなるか? をチェックすれば、FOMCメンバーがどのような政策金利のシナリオを描いているかがわかるわけです。