
連邦公開市場委員会が終了
9月20・21日の両日に渡って開催されていた連邦公開市場委員会(FOMC)が終了し、声明文が発表されました。
大方の予想通り、米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートは変更されず、0.50%のままでした。
声明文には「利上げを支持する条件が強まっている」という、ややタカ派な表現が盛り込まれました。それは12月14日の今年最後のFOMCで利上げされる確率が高まったことを意味します。
その反面、声明文に添付された経済予想サマリー(SEP)では、FOMCメンバーによる将来のフェデラルファンズ・レートの予想が、ざっくりと下がりました。
FRBはゴールポストを自分の都合の良いように動かしている?
イエレン議長の記者会見では、上のグラフを巡って、記者団から「FRBは自分の都合の良いようにゴールポストを動かしている」というコメントが出ました。
これについて考えてみたいと思います。
まず今回の経済予想サマリーに立ち戻ってみます。経済予想サマリーは17人のFOMCメンバーが、自分の考える経済のシナリオを持ち寄り、それを集大成したものです。
それによるとGDP予想は、ほとんど動いていません。
失業率の予想にも大きな変化は見られません。
次はPCEコア・インフレ予想です。これはFRBがインフレをモニターする際、重視するデータです。こちらも殆ど変化していません。
すると経済に関する一連の予想が殆ど変っていないのに、冒頭で示したFOMCメンバー自身の「投票意向」に相当する、フェデラルファンズ・レートだけが大きく修正されたことがわかります。だから「FRBはゴールポストを動かした」という批判が出るのは致し方ないです。
なお民間のエコノミストたちによるフェデラルファンズ・レート予想は、今回動かされたゴールポストの位置に、初めからありました。
つまりこれまでFOMCメンバーはフェデラルファンズ・レートに関しては、ずっと間違っていたのです。
今回、それが市場のコンセンサスに「さや寄せした」だけのこと……という風に、意地悪に解釈されても仕方ありません。
この批判に対し、イエレン議長は、「ニュー・ノーマルの環境下においては政策金利の軌跡(rate path)がどうなるかメンバー自身が手探りの状態に置かれている」とコメントしました。
現在の政策金利が「ゆるめ」であることを認めた
それからイエレン議長は「現在のFFレートは、経済の実勢に比べてアコモデーティブ(ゆるめ)だ」と認めました。
政策金利が実体経済に対してゆるめに設定されている国の通貨は、売られやすいという傾向があります。