大統領候補テレビ討論会の結果と今後の市場への影響

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第一回大統領候補テレビ討論会が終了

9月26日に第一回大統領候補テレビ討論会が開催されました。テレビ討論会は大統領候補が3回、副大統領候補が1回の合計4回開催されます。

クリントン候補のパフォーマンス

まず民主党のヒラリー・クリントン候補が第一回討論会をどう乗り切ったか? について書きます。

クリントン候補は、この手のディベートを、これまでに40回もこなしてきました。場馴れしているだけあって、今回の討論会でも終始、余裕を感じさせました。

9月11日にニューヨークの9/11記念モニュメントで追悼式が行われた際、クリントン候補は途中で気分が悪くなり、退席せざるをえませんでした。このため彼女の健康に関して色々な憶測が飛んでいました。

今回のテレビ討論会では健康の不安をこれっぽっちも感じさせなかったので、まずこの点で安堵した支持者が多かったと思います。

また討論会の最後の方で、女性の有権者に対してしっかりアピールできたことも総合的に見て「今回はクリントン候補に軍配が上がった」と感じる視聴者が多かった勝因だと思います。

トランプ候補のパフォーマンス

一方、共和党のトランプ候補は、格差社会の定着の原因を「NAFTAに代表される貿易のせいだ」としました。

オハイオ、ミシガン、イリノイなど、製造業の空洞化を経験した州の置かれた状況を引合いに出し、これ以上、空洞化がおきないよう、それを食い止めることが先決だと主張しました。つまり保護貿易主義を前面に打ち出しているわけです。

保護貿易主義へと舵を切ることがアメリカ経済全体にとって良い方策か? といえば、たぶんそうではないでしょう。実際、中立的な立場にあるシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所は、今回のテレビ討論会に先立って、「トランプ候補の提唱する保護貿易主義的な経済政策を実施すれば480万人の失業者が出て、アメリカ経済はリセッションになる」という研究を発表しています。

ただ、激戦州である上記の各州の有権者から共感を得るという意味では、それらの州に住む人たちにとってグッと来るメッセージだったのではないかと思います。

また普段はとかく過激な発言が多く、「大統領としてふさわしくない」という評価を受けやすいトランプ候補ですが、今回のディベートでは自制心を働かせていたと思います。

FRBに言及

トランプ候補は「民主党を有利にするため、FRBは、わざと金利を低く抑えている」とし、ジャネット・イエレン議長を名指しで批判しました。これは市場関係者にとって、ちょっと不安になる発言だと思います。

保守のイメージを強調

トランプ候補が、法と秩序(Law & order)の維持を繰り返し強調したのは、それが1960~70年代の共和党の基本的メッセージだったからです。

バリー・ゴールドウォーター、リチャード・ニクソン、ロナルド・レーガンなど、歴代の共和党大統領候補は、このメッセージを好んで援用しました。

つまりトランプはこのキーワードを持ち出すことにより、自分が正統的な共和党の価値観の擁護者であることをアピールしたわけです。

今後について

今回のディベートは「クリントン候補が勝った」という意見が多かったです。しかし決定的な失策が無かったという点で、トランプ候補にも未だチャンスは残っていると思います。

実際、前回(2012年)の大統領選挙では、オバマ大統領が第一回テレビ討論会で「あっ」と息を呑むほどミット・ロムニー候補にやり込められ、「もはや再選はムリか?」と思われていましたが、第二回以降、挽回した実績があります。

つまりまだ先は長いのです。

今後の相場の展開について

今回のディベートでは、相場にとってかく乱要因と見られているトランプ候補にいまひとつ精彩が無かったので、市場は「ほっ」と一安心しています。

しかしトランプ候補もクリントン候補もマーケットにフレンドリーな候補者とは言えないと思います。たとえばクリントン候補は連邦準備制度理事会メンバーや地方連銀総裁から投資銀行出身者を一掃すべきだと主張しています。

このようにどちらが大統領になったとしても相場にはネガティブな材料の方が多いです。

このため当面のマーケットは大統領選挙を横目で睨みながら、神経質な展開が続くと思われます。

  

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