
プーチン大統領の減産発言
今週、トルコのイスタンブールでワールド・エナジー・コングレスが開催されています。
その席上で、ロシアのプーチン大統領が基調演説し、「ロシアは石油輸出国機構(OPEC)と歩調を合わせるため生産調整に応じ、場合によっては減産する用意もある」ことを表明しました。
現在、OPECは14か国で構成されており、ロシアはメンバーではありません。
しかし下のグラフに見るように、ロシアはサウジアラビア(1,060万バレル/日)を上回る1,100万バレル/日の生産高を誇っています。
従って、そのロシアが減産に応じるということになれば、インパクトは大きいです。
11月30日のOPEC総会に注目
但し現時点では、OPEC各国は未だ具体的な減産の分担を調整している段階であり、合意に至れないリスクもあります。
一応、OPEC全体で70万バレル/日程度の減産をし、OPECの合計の生産高を3,250~3,300万バレル/日に抑えたい方針です。
正式な発表はウイーンで11月30日に開催されるOPEC総会で行われる予定です。
米国のシェール業者の動向
一方、米国のシェール企業は2014年夏以降の原油価格の下落で不採算リグの休止を進めてきました。その関係で現在の米国の原油生産高は847万バレル/日まで下がって来ています。
10月10日のロシアが減産に応じるというニュースを受けて、原油価格(WTI)は51ドルまで上がってきました。
西テキサスのパーミアン・ベイシンで操業している一部のシェール業者の場合、この水準なら、楽々と利益を出すことが出来ます。
このため(今のうちに将来の生産を、先物を売ることでロックインしておこう)という実需の売りが、かなり出ていると思われます。
言い換えれば、11月30日のOPEC総会で合意が発表されなければ市場が失望するリスクもあるということです。