ブラジルの政権交代は、夢の1993~94年の再来か?

ブラジルの政権交代は、夢の1993~94年の再来か?
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■ルセフ大統領が職務停止

先週、大方の予想通り、ブラジルのルセフ大統領が停職となりました。これから180日間の職務停止期間が始まります。

その間に、ブラジル上院に弾劾法廷が設置されます。そして投票により、全議席の3分の2(54議席)が賛成すれば、ルセフ大統領は正式に罷免されます。

この投票までの間、副大統領のミシェル・テメル氏が大統領代行を務めます。

弾劾投票でルセフ大統領の罷免が決まれば、ミシェル・テメル大統領代行は、そのまま大統領となり、2018年まで大統領を務めます。

 

■テメル大統領代行は有能だ

テメル大統領代行はブラジル民主運動党(PMDB)党首、下院議長を歴任した経験豊かな政治家で、快活で弁が立ちます。またブラジルが軍政から民政へと移行した際、制定された1988年憲法の起草者のひとりです。つまりピンチヒッターとはいえ大統領の資格十分なのです。

テメル大統領代行の経済運営に対する考え方は、すでに投資家にはよく知られています。まず彼は小さな政府を提唱しています。ブラジルの税収はGDPの36%で、新興国としては高いです。それにもかかわらず、徴収した税金の使い方は乱脈で、市民生活の安全の確保や公共サービスは劣後しています。

それなら非効率な政府は小さくしてしまった方が良いというわけです。

経済運営については保守的な考えを持ち、政治に関してはリベラルです。一例としてテメル大統領代行は、過度の労働者の保護は「英国病」を招くので反対だとしています。

既にテメル大統領代行は元ブラジル中銀総裁メイレレス氏を財務相に指名、財政削減ならびに年金改革に乗り出そうとしています。

 

■どん底のブラジル経済

ブラジルは1930年代以降で最悪の不況の真只中にあります。GDPは2年連続で-3%以上減少する見込みです。

ブラジルのGDP

ブラジルの通貨、レアルの下落で輸入品の価格が高騰し、不況にもかかわらずインフレが悪化しています。

ブラジルの消費者物価指数

これまでブラジルは失業率が歴史的に見て比較的低い水準にあったので、政治が少々乱れても国民は我慢してきました。しかしここへきて失業率もどんどん悪化しているので国民の不満が高まったというわけです。

ブラジルの失業率

ばらまき政治を続けてきた関係で、政府の構造的財政収支は悪化の一途を辿っています。

ブラジルの構造的財政収支

また経常収支も赤字が定着しています。

ブラジルの経常収支

このように現在のブラジル経済は、全くいいとこなしです。

 

■いつか来た道

しかしスキャンダルで大統領が退き、副大統領が空白となった政治を預かるということは、ブラジルでは過去にもありました。実際、1992年末にコロル大統領が汚職疑惑で退陣した後、そのときの副大統領、イタマル・フランコ氏が大統領に昇格しました。

イタマル・フランコ大統領はインフレ収束のために力強い政策を打ち出し、海外の投資家はこれを好感しました。下はフランコ大統領在任期間中のブラジル・ボベスパ指数のチャートです。

イタマル・フランコ大統領時代のブラジル・ボベスパ指数

 

■夢よ、もう一度

今年に入って、ルセフ大統領の罷免の観測が出るに従って、ブラジル株式市場は不思議にもラリーしはじめました。

この背景には、欧米の機関投資家が(ちょっとまて、昔、同じような展開で、良い思いをした事があったな)と気がついたことがあります。

ブラジルに投資するETFとしてはiシェアーズMSCIブラジルETF(ティッカーシンボル:EWZが有名です。

  

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