イタリア総選挙で、やや注意を要するユーロ

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イタリア総選挙

34日(日)にイタリアで総選挙が実施されます。現状では、どの政党も十分な得票を得られず「宙吊り議会」になるリスクがあります。イタリアの政治は過去にも漂流することが多かったので、(またか!)という馴れっこの反応が予想されます。ユーロには、ややダウンサイド・リスクがあると思われます。

現在の勢力図

現在、リードしているのはフォルツァ・イタリアと北部同盟の連合からなる中道右派で、世論調査では38%の支持を得ています。

フォルツァ・イタリアは前首相でビジネスマンのシルビオ・ベルルスコーニ氏の政党です。ベルルスコーニ氏本人は公職追放されているので表舞台に立つことは出来ません。同政党は法人税、世帯税を一律23%にすること、1000ユーロの最低所得保障などを公約に掲げています。なおこれまでベルルスコーニ氏は「イタリア・リラの復活」を公約してきましたが、これは支持者からの共感を得られなかったので最近はこの公約を引込めています。

北部同盟はサルビーニ書記長が率いる政党で反移民の旗色を打ち出しています。北部同盟の支持基盤では、近年北アフリカなどからの移民の流入が多く、地元のコミュニティーはプレッシャーを感じています。その関係で、どちらかと言えばこれまで左派が強かったこの地域で右派の勢力伸長が著しくなっていると伝えられています。

次に五つ星運動はポピュリズムに基づいた政党で世論調査では28%の支持率を得ています。現在の党首はディマイオ氏です。なおこれまで五つ星運動は「われわれが政権を取ったあかつきには、ユーロから離脱する国民投票を実施する」と公約してきました。しかしBrexit(英国のユーロ離脱)が英国民からの幻滅を買ったことを受けて、最近はこの公約を引込めています。

最後のグループが現在の与党、民主党で22%の支持率を獲得しています。現在の党首は前首相のレンツィ氏です。民主党は中道右派の立場を取っています。

ユーロ

ユーロ/ドルは最近のユーロ圏経済の好調を背景に、2008年以来の下降ボックス・レンジの上限まで近づいてきました。

このところのユーロ高でEU内からは「ユーロ高は行き過ぎており、輸出にマイナスだ」という声が聞こえ始めています。

イタリア経済

一方、イタリア経済ですが、2009年のギリシャ危機の頃から比べると改善しているものの、まだ失業率は二桁台です。

ZEW景況感調査でもフランスに比べて劣後しています。

つまり改善著しいEU圏にあって、イタリア経済は後れを取っており、それが有権者の現状への不満を増幅している面があるのです。

まとめ

34日(日)のイタリア総選挙は三つ巴の混戦となっており、結果を予想することは困難です。投資家はイタリアの政局混迷には馴れっこになっているので、どのような結果になってもパニックが走る可能性は低いでしょう。

イタリア経済はユーロ圏の他の国々に比べるとモタモタしています。

ユーロ圏の経済は好調であり、以前のような「ユーロ圏崩壊」のシナリオは影をひそめています。しかしこのところユーロは「買い安心」になっているので、来るイタリア総選挙の結果によってはユーロが売られるリスクがあります。