
2月の雇用統計
2月の雇用統計が発表されました。いろんな意味で株式市場にとって良い内容でした。
まず非農業部門雇用者数ですが、+31.3万人と極めて強い数字でした。
過去の数字も上方修正されました。
セクター別では建設の雇用が+6.1万人を記録したほか小売が+5万人、プロフェッショナルならびにビジネス・サービスが+5万人、製造業が+3.1万人でした。
失業率は4.1%で横ばいでした。
労働力率は63.0%でした。
注目された平均時給は+4¢でした。
2017年12月の数字は11¢から10¢に、2018年1月の数字は+9¢から+7¢に下方修正されました。
つまり「雇用は力強く拡大したけれど、賃金の上昇はいぜん考えられていたほど強くなかった」ということです。
今回の雇用統計の意味するもの
それが何を意味するか?といえば、連邦準備制度理事会(FRB)があわてて利上げする必要は、それほどないということだと思います。
実際、年初来早いピッチで上昇してきた10年債利回りは、ここへきて利回り上昇のペースが衰えています。
FRBはこれまで経済予想サマリーでシグナルしてきた通り、今年2~3回の利上げのペースを堅持すれば良いことになります。
下は2017年12月13日の連邦公開市場委員会(FOMC)の際に示された経済予想サマリー(SEP)に含まれていた、FOMCメンバーによる今年と来年のフェデラルファンズ・レートのコンセンサス予想です。
現行のフェデラルファンズ・レートは1.5%ですので、2018年末の2.1%という予想は:
2.1 - 1.5 = 0.6になります。
このところFRBは0.25%刻みで利上げしていますので、2~3回の利上げを示唆する数字と言えます。
次のFOMCは3月20~21日に開催されます。今回はジェイ・パウエルFRB議長の最初のFOMC記者会見が予定されています。また新しい経済予想サマリーも出される予定です。大方の市場参加者は0.25%の利上げを予想しています。
投資戦略
米国経済は力強く拡大しています。しかしそれは賃金上昇プレッシャーを誘発するほど強くはありません。すなわち「ちょうどいい湯加減」なのです。これは株式にとって理想的な環境と言えます。従って引き続き米国株式には強気のスタンスで臨んで良いと思います。
次に為替ですが直近のデータでは欧州や日本に比べて再びアメリカのリードが鮮明になっています。このことからドルは上昇しやすいと思われます。