連邦公開市場委員会(FOMC)「0.25%」の利上げ-記者会見では金利政策の柔軟性を強調

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経済予想サマリーはややタカ派、記者会見では金利政策の柔軟性を強調

0.25%の利上げを発表

3月21日に終了した連邦公開市場委員会(FOMC)では大方の市場参加者が予想した通り米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レート(略してFFレート)が0.25%引き上げられ、1.75%になりました。

声明文には「景気の見通しはここ数カ月で強くなった」という一文が挿入されました。また景気の拡大が当分続くと予想されること、インフレは向こう数カ月のうちに加速すると予想されることが加筆されました。

しかし記者会見の中でジェローム・パウエルFRB議長はインフレが多少加速した場合でもFRBはシンメトリック(symmetric=左右対称)なスタンスを堅持すると説明しました。この場合シンメトリックとはインフレが2%を境に、少々、上に行こうが、下に行こうが、我慢して性急な政策金利の変更は行わないという意味です。

経済予想サマリー

FOMC声明文とともに発表された経済予想サマリー(SEP)では2019年末と2020年末のコンセンサスFFレートが上昇しました。

また2018年に関しても、平均値こそ動かなかったものの「年内に4回の利上げを」と考えるメンバーが4人から7人に増えていました。GDPの予想も上方修正されています。

さらに失業率は好景気を反映していっそう低くなると予想されています。

PCEコア・インフレは2019年と2020年に関して上方修正されました。

パウエル議長の記者会見

このように経済予想サマリーを読むと少しタカ派な印象を受けるのですが、パウエル議長の記者会見では金利政策の柔軟性が強調されました。

たとえば平均時給の伸びが思ったより鈍いことについて記者団から質問されるとパウエル議長は「賃金は生産性の伸び+インフレで大体きまるものだ。いま米国の生産性はあまり伸びてない。またインフレが急に悪化するような兆候も見られない。このような状況では賃金がなかなか上がらないのは当然だ」と、賃金インフレの可能性をダウンプレイする発言をしました。

米国の生産性の伸びが鈍いというのはパウエル議長がお得意とする議論であり、それが「パウエル議長はハト派だ」という市場関係者の認識につながっています。したがって、今回の記者会見でその持論をしっかりと持ち出したことは「少々インフレの兆候が強まっても、慌てた動きはしません」ということを印象付ける効果があったと思います。

もうひとつ記者団からの質問で逆イールドカーブになりそうだけれど、そうなった場合、どうする? という質問が出ました。これに対してパウエル議長は「過去に逆イールドカーブになったケースではインフレが荒れ狂っていた場合が多い。でも今回はそうなる兆候は無い」として今回が特殊なケースであることを説明した上で、「逆イールドカーブがインターメディエーションに与える影響についてはどうなるか興味深い」として一定の不確実性があることを認めました。これも、拡大解釈すれば、「そうまでして利上げして景気の息の根を止めたくない」ということをシグナルする効果があったように思います。

まとめ

今回のFOMCでは予想通り0.25%の利上げがありました。声明文、経済予想サマリーもややタカ派でした。しかしパウエル議長の記者会見は金融政策の柔軟性を強調するものであり、タカ派的トーンを中和する効果があったと思います。