トランプ大統領はなぜ環太平洋パートナーシップ協定(TPP)復帰検討を指示したのか?

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トランプ大統領がTPP復帰検討を指示

先週、トランプ大統領が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉にアメリカが復帰すべきかどうか検討するよう米通商代表部(USTR)に指示しました。

アメリカが「TPP交渉から抜ける!」ということはトランプが大統領になった直後に下された決断です。だから「今更なぜ?」と首をかしげる読者も多いことでしょう。

TPPは対中交渉のレバレッジを確保する意味がある

アメリカがTPP再参加をチラつかせる最大の理由は、中国に対するけん制です。

現在TPPの参加メンバーは日本、カナダ、オーストラリア、メキシコ、シンガポール、マレーシア、チリ、ベトナム、ペルー、ニュージーランド、ブルネイの11か国となっています。

これらの国々のGDPを合計すると下のチャートのようになります。

こうして見れば経済圏としては、かなり大きいことがわかります。つまりアメリカがTPPを味方に付けることで中国との交渉の際、威圧感を増すことが出来るのです。

下は米国ならびに中国が誰と貿易をしているか? を示したチャートです。

これを見れば米国は貿易を通じて既にTPP参加国と緊密な関係にあることがわかります。

米国の不満

2001年に中国が世界貿易機関(WTO)に参加したとき、米国は(中国の貿易のやり方が改善するのではないか?)という期待を抱きました。具体的に米国が不満に思っている点は:

1) 知的所有権の保護を怠っている
2) 国有企業に低利の融資を行うなどして不公平な競争をしている
3) 人民元レートをわざと低く固定している

の3点です。

しかし中国の態度が全然変わらなかったため、アメリカは不満を示してきました。最近、トランプ大統領が中国に対して対決姿勢を高めているのも、同じ流れだと言えます。

対立をエスカレートするのではなく、包囲網で

しかしアメリカが鉄鋼・アルミニュームへの関税強化や中国製品に関税をかけることを発表すると中国も米国産の農産物などをターゲットにした対抗措置をすかさず発表しました。

つまり「売り言葉に買い言葉」で、対立はどんどんエスカレートするリスクがあるわけです。そこでアメリカは中国と交渉するにあたって別の角度から攻めるということを検討しています。TPP再参加をチラつかせるのは中国に対して有効な「脅し」になるというわけです。

実際のところTPPには、いわゆる「原産地規制」の規定が盛り込まれる可能性があります。乱暴な言い方をすれば「原料・素材・部品に中国製品が混じっていてはいけない」と規定することで中国を締め出すことができるかも知れないのです。

メイン・シナリオは和解

中国としてはそのようなシナリオだけは何としても避けたいと考えているでしょう。アメリカが参加するカタチでTPPが成立するくらいなら、それよりも前に適当なところで譲歩して、円満に解決したいというのが中国のホンネだと思います。