
雇用統計
先週金曜日、4月の雇用統計が発表されました。ひとことで言えばまちまちな内容でした。
先ず非農業部門雇用者数は予想の+19万人に対し+16.4万人でした。
2月と3月の数字は、下のチャートのように修正されています。
一方、失業率はついに4%を割り込み、3.9%になりました。
しかし労働力率は悪化しました。
また平均時給の伸びは予想を下回ったばかりか、3月の数字もこれまでの+8¢から+6¢へ下方修正されました。
つまり賃金上昇プレッシャーは余り強くないのです。
以上のことから、今回の雇用統計はFRBの金融政策に影響を与えるような内容ではありませんでした。これまでの、年3回前後の利上げというシナリオが堅持されるものと思われます。
なぜドル高?
ところで最近、ドルが強含んでいます。なぜドルは買われているのでしょうか?
私はその理由は国際間のポートフォリオ資金の移動が始まっているからだと考えます。とりわけエクティティー、すなわち株式の投資家がアメリカの比重を増やしているように思います。
いま2018年第1四半期決算発表シーズンですが、これまでにS&P500指数に採用されている企業の八割が決算発表を終え、その79%がコンセンサス予想を上回る好決算を出しました。
その結果、今年のS&P500の予想EPSは先週の158.94から今週は159.89へジャンプしました。
去年のクリスマス直前、税制改革法案が成立する前のこの数字は146だったことを考えると、実に14ドル近い予想EPSの上方修正が起きたことになります。これは極めて異例であり、いかに米国の企業業績が絶好調かを如実に示していると思います。
このためS&P500の向こう12ヵ月のEPS予想に基づいた株価収益率(PER)は16.0倍に下がりました。これは過去5年の平均である16.2倍より低いです。
つまりアメリカ株は:
- 企業業績の伸びが過去に例を見ないほど素晴らしい
- バリュエーションが割安になっている
という二つの理由で、ものすごく魅力的なのです。
世界の投資家はそれに気が付いています。だからアメリカ株への資産配分をグッと増やしている最中です。それはとりもなおさず欧州株や新興国株を処分して米国にお金を持って行くことを意味するわけですから、これはドル高要因です。