中国は日本の「80年代バブル」の道を歩んでいる?

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ベア・マーケット入りした上海総合指数

今年上海総合指数は1月末に3587.03の高値を付けた後、7月に2691.02まで-25%下げました。通常ベア・マーケット(弱気相場)は-20%と定義されていることから、上海市場は正式にベア・マーケット入りしたことになります。

こうした2月以降の中国株式市場の下げの理由は中国政府が理財商品の抑制に乗り出した為です。この引締め政策により実業界からは「金詰り感がある」という声が聞こえていました。

引締め政策の背景

中国では中央政府と地方政府の予算は分離されています。そして景気テコ入れ策が発表された場合、景気支援プログラムの実行に際して地方政府が大きな負担を強いられます。

地方政府にとって不動産開発は重要な収入確保の道です。地方政府は景気支援プログラムの片棒を担がされた関係で大幅な支出超過でした。

収入の足らない部分は理財商品を出すことで帳尻合わせします。また理財商品を販売することで調達する資金を不動産開発に投入し、将来の増収を図るという悪循環も生じました。
その結果、理財商品の負債は中国のGDP160%近くを占めるまでになりました。

一方、不動産価格が高騰し、住宅の取得が困難になった消費者は、借入れにより大きく依存することでなんとかしのいできました。

その結果、家計部門の負債が収入に占める割合は2006年の僅か18.5%から、2017年には77.1%にまで急増しています。

ここまでの説明をまとめると、中国の地方政府も消費者も「借金漬け」になることで成長を捻出してきたというわけです。
今年に入って中国政府がこの不健全なトレンドを抑制しにかかったのは、そのような事情によります。

米中貿易戦争

こうしたレバレッジ抑制策で「なんとなく景気が悪いぞ」というムードが中国の実業界に広がっているときに、折悪く米中貿易戦争が勃発しました。

中国政府はトランプ政権に徹底抗戦し、「目には目を、歯には歯を」という報復関税を課す方針と打ち出しました。さらに中国人民元を安値誘導することで持久戦に備える姿勢をシグナルしました。

中国政府はレバレッジ抑制から景気支援に作戦変更

今週に入ってから中国政府は理財商品の抑制ならびに負債の圧縮を後回しにする新機軸を打ち出しました。

つまりプライオリティー(優先順位)としては米中貿易戦争が先であり、レバレッジの抑制は明らかに後回しにされたということです。

具体的には先ず中国国務院メンバーが「財政政策はもっと景気支援的であるべき」と発言しました。
加えて中国人民銀行が5020億人民元(740億ドル)の1年物ローンを銀行に対して提供しました。これはミディアム・ターム・レンディング・ファシリティー(中期貸付け便宜)としては2014年以来最大です。
さらにシャドー・バンキングの原因となった理財商品に対する規制厳格化の基準の緩和が発表されました。
そして銀行監督当局は銀行各行に対し中小企業に対する融資を増やせと指導しています。

日本の「80年代バブル」の亡霊

今週打ち出されたこれらの中国の対応を見ていると、日米貿易摩擦の際、日本政府が(景気が悪くなることだけは、何としてでも避けなければ!)と躍起になった当時を思い出します。

今後、中国が当時の日本と同じ道、すなわちレバレッジの問題への取組みを先送りする一方で景気支援を最優先するのであれば、中国株は1980年代の日本株のようにバブル相場になる可能性も排除できないと思います。
しかしそれは長期で見れば中国にとって決して健全なことではありません。