雇用統計の結果と連邦公開市場委員会の見通し

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非農業部門雇用者数

8月の非農業部門雇用者数は予想19.1万人を上回る20.1万人でした。

なお6月と7月の数字は合計で-5万人下方修正されています。

したがって過去の数字の下方修正も併せて考えれば、今回の非農業部門雇用者数はそれほど強くなかったと言うことも出来ると思います。

 

失業率と労働力率

一方、失業率は予想3.8%に対し3.9%でした。

労働力率が少し下がったことと併せて考えると、今回の失業率の数字はやや落胆すべき内容だったと言えるでしょう。

 

平均時給

しかし平均時給は強かったです。8月は+10¢でした。また6月の数字もこれまでの4¢が5¢に上方修正されました。

米国連邦準備制度理事会(FRB)はとりわけ賃金のインフレに関してセンシティブだと言われます。その理由は「賃金は、一度上昇しはじめるとクセになるから」です。

 

連邦公開市場委員会

従って926日に予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げがあり、フェデラルファンズ・レート(FFレート)は2.25%になるものと思われます。

下はCMEで取引されているFFレートの先物の取引価格から逆算される利上げ確率のチャートですが99.8%の確率で利上げがあることが既に織り込まれています。

26日に利上げは発表されてもそれが市場に与える影響は小さいと思います。

むしろ興味深いのはこの利上げを新興国市場がどう受け止めるかです。

米国で利上げが繰り返され、その結果ドルの先高が予想されるような状況では新興国からお金が抜けやすいです。すでにMSCI新興国指数は1月の高値から20%下落しており、正式にベアマーケット(弱気相場)入りしました。

今回のFOMCでの利上げがそれらのマーケットにとって「悪材料の出尽くし」になるかどうかに注目したいと思います。

 

まとめ

今回の雇用統計は細部を丹念に見るとそれほど強い内容ではありませんでした。ただ例外として平均時給の伸びはとても強かったです。FRBは平均時給の伸びを大変重視するため、来る926日のFOMCでは0.25%の利上げがあると思います。新興国市場がそれにどう反応するかに注目してください。