連邦公開市場委員会では予想通り0.25%の利上げ 経済予想サマリーにも大きな変化なし

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1.連邦公開市場委員会

 926日、連邦公開市場委員会(FOMC)が終了し大方の予想通り米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レート(略してFFレート)が0.25%利上げされ、2.25%になりました。これで年初来の利上げ回数は3回になりました。

2.経済予想サマリー

 今回のFOMCではFOMC参加メンバーによる各指標の予想、すなわち経済予想サマリー(SEP)が示されました。大きな変化はありませんでした。とりわけ2020年までのFFレートの予想は前回と不変でした。

3.長期でのFFレート

 強いて言えば、長期(Longer run)でのFFレートの予想がこれまでの2.9%から3.0%に引き上げられました。この数字はFOMC参加メンバーが「ノーマルな状態でのFFレートの着地点は何処と考えているか」を示していると理解されます。
 長期でのインフレの目標は2.0%ですから政策金利はそれよりも1.0%高いところに設定されるべきであるとFOMCメンバーが考えていることがうかがえます。
 歴史的に米国の政策金利はインフレ率よりも1.5%程度高く設定されてきました。従って1.0%という「のりしろ」は一見すると小さいようにも見えます。しかしリーマンショック以降、インフレ期待(inflation expectations)はしっかり低い位置でアンカーされているため、小さ目の「のりしろ」は無謀ではないと思います。

4.フォーワード・ガイダンスの削除

 今回、声明文ではフォーワード・ガイダンスが取り止めになりました。それは「当分の間、政策金利を低く抑える」という表現です。フォーワード・ガイダンスが削除されたからといってFRBが利上げのピッチを上げるというわけではありません。
 実際、SEPに示された2018年末のFFレートは2.4%であり、これは長期でのFFレートの着地点である3.0%より低いわけで、その意味では現行の政策金利の水準はフォーワード・ガイダンスの文言の有無にかかわらずアコモデーティブ、つまり低目であるわけです。ジェローム・パウエルFRB議長は記者会見の中で「いまはそういう状態だからこそ、このチャンスにフォーワード・ガイダンスをやめるチャンスだ」と語りました。言い換えれば、FRBの方針には変更は無いということです。

5.その他の予想

 GDPの予想に関しては2018年末ならびに2019年末の数字が引き上げられました。

 次に失業率に関しては2018年末の数字が少し上昇しました。

 これについては特別な意味は無いと思います。

 PCEインフレに関しては2019年の数字が少し下がりました。これは原油価格の上昇が一時的な現象であるという見方を反映しています。

  PCEコア・インフレの予想には変化はありません。

6.トランプ大統領からのプレッシャー

 記者会見では記者団から「トランプ大統領が金利を低く抑えろというプレッシャーをかけているが、それについてはどう考える?」という質問がありました。パウエル議長は「FRBは議会に対して責任を負っている。政治的要因は金利政策の決定の際には考慮に入らない」と答弁しました。

7.資産価格

 経済の過熱に関する質問に対しては「一部の資産価格は過去平均より高くなっているが、目に余る行き過ぎは見られない」としています。消費者ならびに事業主の信頼感指数は高水準にあり、家計のバランスシートも健全であり、住宅ローンの融資基準も適切であり、無謀な貸付けは起こっていないと説明がありました。

8.米中貿易戦争に関して

 米中貿易戦争の影響に関してはFOMC声明文の中で言及はありませんでした。記者団の質問に対し「地域連銀は地元企業と密に連絡を取り合っている。企業からは色々な懸念の声を聞いている。しかしデータを見る限り、まだ悪影響は表れていない。関税による物価上昇が懸念されているが、それは未だデータに反映されていない。今後物価が上昇しはじめるシナリオもあるかもしれないが、それが一過性のものか、恒常的なものかを見極める必要がある」とコメントしました。