3月から始まる予算交渉ならびに連邦債務上限引き上げ問題について

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■トランプ政権の予算案が示される

トランプ政権は311日に2020年度予算案骨子を、18日にその詳細を発表します。これは予算交渉のキックオフを意味します。

今回の予算案の中でトランプ大統領は各省庁の予算を「ぐっと引き締めろ!」ということを要求してくると思われます。

その理由は2017年末に成立した税制改革法(Tax Cuts and Jobs Act)の結果、連邦政府の債務が1.5兆ドル増加してしまったためです。

各省庁には5%前後の経費削減が申し渡される見込みです。

この予算交渉は難航を極めることが予想されます。

■スケジュール

去年、民主党が下院・両院の両方で過半数を占めていた際は2019年度予算として拡大的な予算が成立しました。そこでは2011年に決められた予算を3000ドル超過する予算が合意されました。それは会計年度の終わる930日でもって完了となります。

もし新年度入りの101日までに2020年度予算の合意に至れない場合、セクエスター(歳出強制削減)とよばれる措置が講じられます。そこでは連邦政府の予算が一律に10%削られてしまうのです。

そのような事態は民主党も共和党も望んでいないので、それまでに何らかの合意に到達すると見られています。

しかし中間選挙で下院は民主党、上院は共和党が過半数を占めたことで予算合意は以前より難しくなっています。

民主党は非軍事予算の増強を要求しています。共和党の中には財政保守派と呼ばれるグループが居て、それに反発しています。

■連邦債務

現在、アメリカ政府の負債は約22兆ドルです。

そして政府の歳出は毎年+4.4%のペースで増えている一方、去年の歳入は税制改革法案が成立した関係で-0.4%でした。つまり連邦政府の歳出と歳入はバランスを欠いており、このままでは年間財政赤字額が1兆ドルを超えるわけです。

■債務上限が決められた背景

米国はウッドロー・ウイルソン大統領の時代に、第一次世界大戦に参戦し、欧州に兵隊を派遣するにあたり、泥沼的に支出が増えないようにという配慮から連邦債務上限という「足かせ」を設けることにしました。

今日でも健全財政の維持という見地から、この連邦債務上限という制度は存続されています。

しかし上のチャートにみるように近年では慢性的に連邦債務が債務上限を上回ることが起きています。それはサスペンション(一時停止)と呼ばれる臨時措置とツギハギだらけの臨時予算によってつじつまを合わせているのです。

現在も実は債務上限をオーバーしてしまっているのですが、それは2018年に成立したサスペンションでやりすごしています。31日以降、その一時停止が切れるので、また連邦債務上限の制約がのしかかって来ます。

当座は「臨時措置(Extraordinary measures)」とよばれる方法で、財務省証券の利払い、償還、社会保障の支払いなどの重要な支出項目については9月頃までやりくりできます。

しかし9月を超えるとそのようなやりくりの万策が尽き、債務上限そのものを引き上げる必要が出てくるのです。

連邦債務上限引き上げ問題はアメリカの長期ソブリン格付け引き下げ問題とも絡んでくる微妙な問題です。いまは未だ議論は熱を帯びていませんが、秋にかけて揉めることが予想されるので頭の隅に入れておいてください。