
■ FOMCの結果
3月19・20日の両日に渡って開催されていた連邦公開市場委員会(FOMC)が終了し声明文が発表されました。
米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レート(=略してFFレート)には変更は無く、現行の2.5%が維持されました。
■ 声明文はハト派
今回の声明文で変更された箇所を紹介します。
まず「労働市場は引き続き強くなっている」という表現が「労働市場は強い状態が続いている」という風にピークアウト感を出した表現にダウングレードされました。
また「景気は強くなっている」という表現も「景気は第4四半期のしっかりしたペースからスローダウンした」に変更されました。
また「雇用は堅調だが2月の非農業部門雇用者数の伸びは殆ど無かった」として先の悪い雇用統計を声明文の中で認めました。
さらに「家計部門の消費は力強い」という表現が削除され、「家計の消費ならびに企業の固定資産投資は減速した」という表現が加えられました。
さらに「インフレはエネルギー価格の下落を受けて低下した」ことが指摘されました。
つまり声明文中5か所で景気のスローダウンが強調されたというわけです。これはハト派です。
■ 量的引締め(QT)政策の切り上げ
今回のFOMCでは量的引締め(QT)政策の切り上げが発表されました。
それによると市場関係者の予想より早く、5月から徐々に量的引締め政策を手仕舞いはじめ、9月末でそれを完了することが明らかにされました。
その時点でのFRBのバランスシートは市場予想通り3.5兆ドルより少し大きい程度がターゲットになります。これは米国のGDPの17%程度です。
10月以降はこの水準の在庫をずっと継続する考えです。また在庫の中身は米国財務省証券が中心となります。
なお在庫の平均デュレーション(償還までの残存期間)に関しては未だFRB内で議論が煮詰まっておらず、これは今後数回のFOMCで討議してゆく懸案となるそうです。
ちなみに現在市場に出回っている米国財務省証券の平均デュレーションは約6年、FRBの在庫の平均デュレーションは約9年です。
ポートフォリオのデュレーションが長くなってしまっていることに関しては10年債が償還を迎えた場合、また新たに10年債を新規で買い直すことから、特にFRBの側でデュレーションを延ばす意図が無くても自然にデュレーションが延びてしまうという説明がなされました。
■ 経済予想サマリー
今回は今年初の経済予想サマリーが添付されました。大きな変化がありました。
まずFFレートのコンセンサス予想は2.4%に下がりました。これは「今年はもう1回も利上げをしない」ということを示唆する予想数字です。
次にGDP予想ですが、こちらも下がりました。
失業率は景気がそれほど強くないという予想を反映して上方修正されています。
またPCEインフレもエネルギー価格の下落を受けて引き下げられました。
唯一PCEコア・インフレだけが不変でした。