製造業購買担当者指数で明暗

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

■ 製造業購買担当者指数が発表された

製造業購買担当者指数が相次いで発表されましたが、国により明暗がハッキリ出ました。

■ 欧州

3月の欧州製造業購買担当者指数は47.5でした。速報値は47.6でしたのでそれを下回りました。

今回特に投資家の目をひいたのは新規受注の落ち込みが激しかったことです。月次での落ち込み幅は2012年以来最大でした。

また今回の47.5という指数は過去6年で最低でした。

後述しますが欧州経済のエンジンであるドイツの落ち込み(44.1=過去80ヵ月で最低)が酷いです。イタリア(47.4)、フランス(49.7)も景気の拡大・縮小の境界となる50を割り込んでおり、欧州大陸の主要国ほど中味が悪いという構図が浮き彫りになりました。

その反面、ギリシャは54.7で過去1年の最高でした。

欧州全体の話に戻ると中間財、資本財の弱さが際立っています。特に輸出向けの需要の暗転が目立ちました。

■ ドイツ

3月のドイツ製造業購買担当者指数は44.1でした。「ハッ!」と息を呑むような悪い数字でした。速報値の44.7より大幅に下でしたし2月の47.6から急落しました。

新規受注はリーマンショック後の20098月以来、最大の落ち込みを見せました。雇用市場は過去3年で初めて縮小しました。
今回の44.1という指数はギリシャ危機のど真ん中の20127月以来の悪い数字です。
輸出向け受注の落ち込みも酷いです。ブレグジットを巡る不透明感、貿易交渉を巡る不安、世界的な景気のスローダウンなどが原因です。

■ 中国

3月の中国製造業購買担当者指数は50.8と急改善しました。

新規受注、生産ともにUPしました。雇用指数は20131月以来の良い数字でした。

■ 米国

3月のISM製造業景況指数は55.3でした。これは予想より良い数字でした。

新規受注、生産、雇用、価格のサブ・インデックスが改善しました。その反面、輸出入の指数は悪化しています。

■ まとめ

今回の製造業購買担当者指数は中国、米国で改善が見られたものの欧州は酷かったです。しかもドイツ、イタリア、フランスというEUの中核をなす国々の悪化が目を引きました。欧州中央銀行はもう一歩踏み込んだ対策を講じる必要がありそうです。