米国のイランへの経済制裁強化で原油価格が上昇

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■ 原油価格が今年の高値を更新

422日、WTI原油価格が一時65.87ドルをつけ今年の高値を更新しました。

原油価格が今年の高値を付けた理由は米国政府がイランに対する経済制裁を強化すると発表したためです。

これまで米国政府はイランに対し経済制裁をしてきたのですが、実際の運用にあたっては特例を設けて180日間だけ一部の国がイランから原油を購入することを黙認してきました。具体的には中国、インド、トルコなどがイランの原油を買っていました。この特例措置は52日に期限切れとなります。

今回、米国政府はこの特例による制裁免除を止めると発表したわけです。実際にこれらの国へのイランからの輸出がゼロになるかどうかは、まだわかりません。

イランは米国のこの発表に強く反発しており、「もしアメリカが実力でイランの原油輸出を阻止するなら我々はホルムズ海峡を閉鎖する」と宣言しています。

中国はこの経済制裁に反対の立場をとっており「中国とイランの協力はオープン、透明かつ合法でありそれは尊重されるべきだ」としています。

これまでイラン産原油を輸入してきたイタリア、ギリシャ、台湾は既に輸入をストップしているそうです。

イランに対する経済制裁に加えベネズエラでは経済の混乱から原油生産が落ち込んでいますし、リビアでは過激派の活動が激しくなっているので原油の供給に不安が出ています。

こうしたことを背景に年初来、原油価格はじりじり上昇してきました。

■ シェールの動向

一方、米国のシェール産業は相変わらず増産しています。ただ勢いはやや衰えたように見えます。

下はベーカーヒューズ北米ロータリー・リグカウントです。

シェールの勢いが衰えた一因として、既存のやぐらにどのくらい隣接して次のやぐらを建てるか? という掘削間隔の問題が挙げられます。

余りにもスペースを接近させ過ぎたためにお互いのリグが地中に含まれる原油を奪い合うカタチとなり、その結果、リグ当りの生産高の低下の問題を引き起こしているのです。

これまでは掘削間隔を詰めることで苦も無く増産することが出来ていたのですが、ここへきてこのような「喰い合い」の問題が顕在化したことで投資家はシェール企業の将来性に対して悲観的になってきています。

そのことはシェール企業が設備投資をするために投資家から資金調達をすることを困難にしており、それがゆくゆくリグ活動の低下につながるのではないかと見られています。

■ 生産高ならびに在庫

いまのところ生産高の落ち込みは数字には表れていません。

ただ現在の増産基調が今後も維持できるかどうかに関しては上に述べたような理由から懐疑論もあります。

次に在庫をみると下のチャートのように推移しています。

石油輸出国機構(OPEC)は去年の秋以降の原油価格の下落に懲りているので生産調整に努めています。しばらくの間は厳格な生産調整を堅持すると思われます。

そのことは原油価格は今日のイランに対する経済制裁強化のニュースに見られるような地政学的な材料に左右されやすい状態だと言う事が出来ると思います。