
■ ゴールデンウイーク期間中の主な出来事
ゴールデンウイーク期間中の5月1日(水)、連邦公開市場委員会がありました。同じ日、ISM製造業景況指数も発表されました。さらに5月3日(金)には雇用統計が発表されました。また5月5日(日)にトランプ大統領が米中貿易交渉が遅々として進捗しないことを受けて「中国からの輸入品への関税を現行の10%から25%へ引き上げる」と発言し、週明けの世界のマーケットが荒れています。
そこで今回はそれらの重要ニュースを簡単に振り返りたいと思います。
■ 連邦公開市場委員会
連邦公開市場委員会(FOMC)では現行の政策金利2.50%が維持されました。その他、大筋では変更はありませんでした。ただフェデラルファンド・レートをターゲットのレンジ(2.25から2.50%)内に収めるために余剰準備金利(IOER: Interest on Excess Reserves)はこれまでの2.40%から2.35%へ引き下げられました。これは技術的な調整であり政策変更をシグナルするものではありません。
記者会見でパウエル議長は「現在の低インフレは束の間(transitory)の現象だ」と述べました。これはややタカ派だと市場関係者に受け止められました。
■ ISM製造業景況指数
4月のISM製造業景況指数は予想55.0に対し52.8と弱かったです。
細目では先ず輸出・輸入指数が弱まりました。
新規受注も冴えませんでした。
生産指数も減速しました。
それらがISM製造業景況指数が予想を下回った主因です。
■ 雇用統計
4月の非農業部門雇用者数は予想18.5万人に対し26.3万人でした。
失業率は予想3.8%に対し3.6%でした。
平均時給は前月比+0.2%(=6¢)でした。
これらは総じて力強い内容と言えます。
■ トランプ大統領の関税引き上げ発言
5月5日(日)トランプ大統領が米中貿易交渉が遅々として進捗していない状況にしびれを切らし、「中国からの輸入品に対して現在課している10%の関税を近く25%へ引き上げる」とツイートしました。
中国側は今週、予定された通り代表団を米国に送り込みたい考えですがそのメンバーは確定していません。
トランプ大統領はこの手の交渉に際しては最初強硬な発言をして相手を威嚇し、後で譲歩するということをしてきました。したがって今回もそれと同じパターンになるかもしれません。
その反面、土壇場になって関税率の引き上げをチラつかせるということは肝心の部分で両国の主張に大きな開きがあるのかもしれません。その場合、交渉は市場参加者が予想していたより遥かに長引くリスクもあります。
このところのマーケットはベストのシナリオをスッカリ織り込んでいたため、今の市場はちょっとした悪いニュースに対して耐性がありません。
ここは「守り」に徹し、ポジションを小さくするとともに余計なリスクを取ることは慎みたいと思います。