英国のテリーザ・メイ首相が辞任 ブレグジットはどうなる?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

■ テリーザ・メイ首相が辞任

英国のテリーザ・メイ首相が67日をもって辞任すると発表しました。辞任の理由はブレグジット(英国の欧州連合離脱)に関し、議会の意見をまとめることが出来なかったことによります。
524日のこの発表に先立ち保守党のアンドレア・レッドソム下院院内総務が意見の対立から辞任したこともメイ首相の辞任を早める一因だったと思われます。

 

■ 今後の展開

保守党はメイ首相に代わる新しい保守党党首の選定に入ることになります。数日以内に数人の候補がリストアップされることになるでしょう。

下馬評ではボリス・ジョンソン前外務・英連邦大臣、ドミニク・ラーブ前欧州連合離脱大臣、ジェレミー・ハント外務・英連邦大臣、マイケル・ゴーブ環境食料農村大臣、アンドレア・レッドソム前下院院内総務などが有力と見られています。

6月中旬くらいから保守党内でリーダー選出のための投票が行われ、得票率の低い候補から順番に消去し、最後は二名の候補の間で全国に居る12万人の保守党党員全員による投票が行われます。

新しい首相は7月中に決定される見込みです。

最有力候補はボリス・ジョンソン氏ですが、彼は離脱派であり、場合によってはハード・ブレグジットも辞さないという考え方です。

全体的に言えばテリーザ・メイに比べると時期首相候補には過激な離脱派が多いです。

このため今回のメイ首相の辞任で、ハード・ブレグジットの可能性が以前より上昇したと思われます。

新しい首相が決まっても、議会が新首相のブレグジット交渉の進め方に不満を持てば不信任投票を行うリスクもあります。その場合には解散総選挙になるシナリオも考えられます。

 

■ 欧州連合は再交渉を拒否

ブレグジットに関する合意についてですが、メイ前首相が欧州連合との間でとりつけた合意書は英国議会の賛同を結局得られなかったため、新首相はその合意書の内容の改変を欧州連合に対し働きかけるか、さもなければ全く新しい合意書を欧州連合との間で取り交わす必要があります。
しかし欧州連合側は現在の合意書が唯一で最終の合意書であり、改変する気もなければ、全く新しい合意書を策定する考えもないと表明しています。

 

■ 10月31日に延長されたブレグジット期限について

ブレグジットの期限は1031日に延長されています。当初はこれで英国にはじゅうぶん審議を尽くす時間的余裕が与えられたと思われました。

しかしよく考えてみるとスケジュールは結構タイトだと思います。

上で説明したように新しい首相が決まるのは7月いっぱいです。それから組閣し、欧州連合離脱チームを再編成するわけですから、ボヤボヤしているとすぐ10月が来てしまいます。

英国ならびに欧州のマーケットが再びブレグジットを巡ってハラハラする展開になることが予想されます。