
■ 連邦公開市場委員会
6月18・19日の2日間に渡り連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。今回のミーティングでは米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レート(略してFFレート)は現行の2.5%のままで変更されないというのがコンセンサスになっています。
しかしその次のFOMCが開催される7月31日には0.25%の利下げが実施され、FFレートは2.25%になると見られています。
したがって、その下ごしらえとして今回の声明文、ないしは記者会見で次回の利下げがほのめかされる可能性が強いです。ここが今回のみどころになります。
■ 経済予想サマリー
加えて今回のFOMCでは今年2回目となる経済予想サマリー(SEP)が提示されます。
前回SEPが提示されたのは3月20日でした。その時、かなり色々と予想値が動いたのですが、それ以降、アメリカ経済を取り巻く環境が再び大きく変化したため、今回のSEPでも「後追い」のようなカタチで再び予想値が動くと考えられます。
具体的には前回のSEPでの2019年末のFFレートの予想値は2.9%→2.4%に下がったのですが、これはさらに2.0%くらいまで下がる必要があるでしょう。
ちなみにFFレートの先物の取引価格から逆算すると、市場関係者は今年の7月31日、9月18日、12月11日の3回利下げがあることを織り込んでいます。その時点でのFFレートは1.75%という予想です。
■ コミュニケーションの問題
さて、市場参加者は上に述べたような感じで、かなり矢継ぎ早の利下げを予想しています。株価もそれを踏まえて堅調に推移してきました。
しかし若し今回のFOMCの声明文や記者会見で7月31日の利下げに関し何のヒントも出なかった場合、市場は落胆するリスクがあります。
それと言うのも既にジェローム・パウエル議長は最近のスピーチの中で利下げを示唆するコメントを出しているからです。だから今回のミーティングで利下げ問題を華麗にスルーされた場合、投資家は「これは話が違う!」とヘソを曲げるかも。
実体経済を見ると、5月の非農業部門雇用者数が僅か+7.5万人と予想外に少なかったことをのぞけば、年内に3回の利下げが必要なほど経済は弱まっていません。
言い換えればデータを見る限りアグレッシブな利下げを正当化する理由に乏しいということです。
しかしマーケットはそれを必要としているし、投資家は声高にそれを要求しています。
つまりマーケット、とりわけ債券市場は、やや先走り過ぎている観を呈しているのです。
パウエル議長は「中国経済の先行きが不透明」などの理由を挙げることで両者の間に出来た溝を埋めることが予想されます。
■ 慢心に注意
まとめると今回のFOMCでは政策金利は変更されないけれど、次回での利下げがほのめかされると思います。市場参加者は年内に3回の利下げがあることを織り込んでいるため、次回の利下げを強く示唆するコメントが出なければ市場は落胆することが予想されます。
また債券市場は景気の急激な減速を織り込んでいるにもかかわらず株式市場はそれを織り込んでいません。このちぐはぐは株式の投資家が慢心していることを示唆すると思います。
そのような理由から今回のFOMCに臨み株式はアップサイドよりダウンサイドのリスクの方が大きいように感じます。