
■ 製造業購買担当者指数は引き続き減速
7月1日、各国の製造業購買担当者指数が発表されました。
グローバルで見た製造業購買担当者指数は5月の49.8から6月は49.4に下がりました(JP Morgan Global Manufacturing PMI)。これは過去6年で最低の水準です。グローバル製造業購買担当者指数が2か月連続で50以下を記録したのは2012年以来7年ぶりのことです。
■ 米国
6月の米国ISM製造業景況指数は51.7でした。新規受注は50.0と5月の52.7から減速しました。逆に生産指数は54.1と5月の51.3から加速しました。新規輸出受注は50.5と5月の51.0から減速しました。輸入は50.0と5月の49.4から加速しました。
調査票の回答者は「中国ならびにメキシコに対する関税の発表でサプライチェーンが乱れた」、「関税のせいで材料費が上昇している」、「2019年後半の需要見通しが大幅に弱含んだ」、「関税に呼応するカタチで生産拠点を中国から北米に移した」、「関税の影響で予想が立てにくくなっている」とコメントしています。
■ 欧州
6月の欧州製造業購買担当者指数は47.6でした。新規受注ならびに生産が引き続き減速しており、それが指数を圧迫しえいます。指数が景気拡大と景気減速の分水嶺となる50.0を下回ったのは、これで5か月連続となります。
オーストリア、スペイン、アイルランド、イタリアなどが弱かったです。その反面、フランスとギリシャは比較的堅調でした。
■ ドイツ
6月のドイツ製造業購買担当者指数は45.0でした。
これは5月の44.3より若干改善したものの、依然として絶対値そのものはEU圏の中で最下位に近いです。輸出向け需要、自動車セクターの低迷が足を引っ張っています。
企業は在庫の取り崩しを急いでおり、仕入れ価格は下落しています。
■ 中国
6月の製造業購買担当者指数は49.4でした。米中貿易戦争が指数に暗い影を落としています。輸出受注、生産などが不振でした。メーカーは雇用を絞り込むことで苦境に対応しています。原材料ならびに中間品の買い付けも控えています。
■ インド
6月の製造業購買担当者指数は52.1でした。インド経済は世界的に見ればまだまだ強いです。しかし足下では少し翳りが見えています。新規受注の減速で生産も減速しました。雇用指数もやや弱含んでいます。しかし新規の購買は増えており、消費財の好調が全体を支えています。
■ ロシア
6月の製造業購買担当者指数は48.6でした。これで指数は2か月連続50.0を割り込みました。生産指数並びに新規受注の低迷が足を引っ張りました。企業は受注残を食いつぶすカタチでしのいでいます。
■ ブラジル
6月の製造業購買担当者指数は51.0でした。新規受注が増えたことで明るさが増しています。内需がそれをけん引しています。メーカーは購買を増やしています。
輸出は引き続き不調です。雇用もあまり増やせない状況が続いています。
セクター別では資本財が好調です。その反面、中間財、消費財は弱いです。
■ まとめ
世界の製造業購買担当者指数は世界経済が引き続き減速していることを示唆しています。先週のG20で貿易の問題に関し米国が中国に歩み寄ったことで楽観論が出ていますが、実体経済はここに見たように一段と険しくなっています。