雇用統計は7月のFOMCで0.25%の利下げを示唆

■6月の雇用統計が発表された

先週金曜日、6月の雇用統計が発表されました。まず非農業部門雇用者数ですが予想の16万人を上回る22.4万人でした。

これで今年の非農業部門雇用者数は平均すると17.2万人のペースで増えていることになります。2018年の実績が22.3万人なのでそれよりやや緩慢なペースです。

6月はプロフェッショナルならびにビジネス・サービスでの雇用が+5.1万人と好調でした。ちなみに5月は+2.4万人でした。また今年の平均は+3.5万人、2018年の実績は+4.7万人でした。

ヘルスケア部門の雇用は+3.5万人でした。救急サービス(+1.9万人)、病院(+1.1万人)が好調でした。

運輸並びに倉庫部門は+2.4万人でした。

建設は+2.1万人でした。これは過去1年の平均とほぼ同じでした。

製造業は+1.7万人でした。今年に入ってから平均して+8千人のペースで雇用が増えています。去年の実績は毎月+2.2万人でした。

失業率は予想3.6%に対し3.7%でした。失業率が悪化した一因は労働力率が62.9%に増加したためです。

平均時給は+6¢でした。なお5月の数字は+9¢に上方修正されました。平均時給の伸びは、ほぼ予想通りと言えると思います。

■FOMCの予想

さて、金曜日の雇用統計が思いのほか強かったことを受けて7月31日に予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅に対するコンセンサスはこれまでの-0.50%が-0.25%に縮小しました。

これは株式市場的には歓迎すべきことだと思います。

それというのも過去に長い景気拡大局面が続いた後で連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに転じた場合、-0.50%とか-1.00%という風にザックリ利下げしたケースではいずれも株式市場は急落したからです。

唯一、1995年の小幅な利下げ(-0.25%)のケースでのみ、株価は堅調でした。

これはどうしてか? という事なのですが、おそらくFRBが唐突に大きな下げ幅で利下げすると(FRBは後手に回り、ハチャメチャになっているのでは?)という不安を投資家に抱かせやすいからだと思います。

つまり下げ幅は小刻みな方が安心だということです。

■利下げ不要論は間違い

金曜日の非農業部門雇用者数の数字が意外に良かったので、一部の投資家からは「利下げは不要では?」という声が上がりました。

私はこの考えには反対です。

なぜなら6月19日のFOMCでパウエル議長は「予防は治療に勝る」という表現で既に強く利下げを示唆したので、もしその約束通りに利下げしなければ市場参加者に恐慌をきたすことが懸念されるからです。

世界の長期金利をぐるりと見回してみるとマイナス金利になっている国が多いです。これは世界の景気がつんのめる寸前であることを意味し、ここでアメリカが利下げしなければ世界経済を景気後退に突き落としてしまうリスクが高いです。

それらの理由から7月31日は0.25%の利下げがほぼ確実だと予想します。