FOMCでは大方の予想通り0.25%の利下げ これで打ち止め パウエル議長は実質的な勝利宣言

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■FOMCの結果

10月30日、2日間に渡って行われた連邦公開市場委員会(FOMC)が閉幕し大方の予想通り0.25%の利下げが発表されました。これでフェデラルファンズ・レートは1.75%になります。

■声明文ではスタンスをニュートラルへ変更

FOMC声明文では金利政策のスタンスをこれまでの緩和から現状維持へと変更することを示唆する変更が加えられました。
具体的にはこれまでの「FRBは必要に応じて動く(act as appropriately)」という表現が削除されました。それは「もう利下げしない」という風に言っているのと同じです。
その代わり「委員会は今後の適切な政策金利の方向性を考えるにあたって引き続き経済指標をモニターしてゆく」という表現が加えられました。
さらに「現状の政策金利の水準は適切であり続ける可能性が高い(likely to remain appropriate)」とし、とうぶんの間、1.75%のフェデラルファンズ・レートのまま、これを動かさない決意を表明しました。

■記者会見

パウエル議長の記者会見では「リスクはポジティブな方向へ振れた」というコメントがありました。これはグローバルな経済成長の鈍化、ならびに貿易の鈍化に関するリスクにまつわるコメントです。
より具体的には中国と米国との間での貿易交渉で「第1フェイズ合意」に向けての歩み寄りが感じられ、それが経営者のマインドに対して支援材料となる可能性が出て来たことが指摘されました。
さらにブレグジットに関しては、ハード・ブレグジットのシナリオが起こる可能性が幾分低下しました。
パウエル議長は「現在の金利政策は景気を支援するのに適切な水準であり、FRBが年初来取ってきた金利政策の修正、すなわち0.25%刻みの、3回の利下げは正しい判断だったと強く信じている」と述べました。
また「耐久消費財の売れ行きや住宅市場などを見ると、低金利政策の効果がハッキリ見て取れる」としてFRBがこれまでに行ってきた利下げが実体経済を支援した手ごたえがシッカリ感じられていることを強調しました。
これは実質的なパウエル議長の「勝利宣言」とも受け取ることが出来るでしょう。
言い直せば今後の金利の方向性に関しては「白紙に戻った」と考えて良く、可能性は極めて低いけれど、今後インフレ期待が強まるようであれば利上げという選択肢も全く考えてないわけではないことがほのめかされました。
パウエル議長は過去に「現在の利下げは95年当時に似た予防的な利下げだ」というコメントを繰り返していましたが、95年の場合は一定期間、政策金利が横ばいを続けた後、再び利上げに転じました。そのことに関して記者団から質問が出ましたが、「あのときはインフレ・リスクが出て来た。今回、インフレ・リスクは無い。インフレ期待も横ばいからむしろ下向きだ」と述べ、早い段階での利上げのシナリオは小さいことを示唆しました。

■オーバーナイト金利の上昇について

FRBは最近のオーバーナイト金利の上昇に対し、来年の1月まで短期債を買い続けることで流動性を市場に提供することをしています。
パウエル議長は記者会見の中で「これは量的緩和政策とは無縁だ」と、ハッキリ区別して考えていることを述べました。
リザーブの水準に関しては、9月頃の1.45兆ドルが適切な水準であるとFRBは考えており、その水準を維持するために必要に応じて介入を続ける決意を述べました。
ただリーマンショック以降導入されたメガバンクの自己資本比率などに関する一連の規制が最近のオーバーナイト金利のタイト感の原因であり、それを是正するためにルールを緩和すべきではないか? という質問に関しては、銀行への規制の緩和はしないと述べました。
むしろオーバーナイトよりさらに短期の、「日中」の流動性供給を目指した「デイライト・オーバードラフト」などの措置を導入することは考察に値するだろうとコメントしました。

■株式市場の見通し

今回の利下げをもってFRBは3回の小刻みな利下げによるソフトランディングの演出を完了しました。経済はこの小刻みな利下げを好感、それに対してしなやかに反応しています。つまり、いよいよ1995年の時と同じシナリオが再現されようとしているわけです。
あの時、株は「買い」でした。すると今回も株は「買い」となる公算が大であると言えるでしょう。