
■米国株のアノマリー
アノマリーとは科学的には説明できないけれど、確かに存在する法則性を指します。
米国株には色々なアノマリーがあることが知られていますが、その中でも最も有名なのは11月から翌年の4月にかけては相場が堅調なことが多いというアノマリーでしょう。
■11月から翌年4月はベストシーズン
下は米国を代表する株価指数であるS&P500の月次平均パフォーマンスです。サンプル期間は1950年1月から2019年5月までです。
(出典:ストックトレーダーズ・アルマナック)
これを見ると11月、12月、4月、3月、1月、7月の順で強いことがわかります。
すると投資戦略としては11月に買って5月に売れば米国株が一番強いシーズンに投資できることを意味します。
ウォール街の格言に「5月に売ってバカンスにでも行け!(Sell in May and go away!)」というのがあるのですが、それはこのことを指しているわけです。
同じ事柄に関し、別の角度から説明すれば、ダウ工業株価平均指数を「11月に買って4月に売る」というトレードを繰り返した場合、1950年から2019年までの累積のポイント・ゲインは23,053.95でした。
ところが「4月に買って10月に売る」というトレードを繰り返した場合、同じ期間の累積のポイント・ゲインは僅か3,324.63にとどまるのです。
■投資戦略
米国株式市場は10月以来ひたひたと上昇してきました。今週に入ってようやく押し目を作っています。このため(そろそろ利喰おうか?)という気持ちになりやすい局面だと思います。
しかし上に述べたようにこれからの6か月間は米国市場が強いシーズンですので今相場から降りてしまうのは勿体ないです。
S&P500指数は向こう12か月の一株当たり利益(EPS)に基づいて株価収益率(PER)17.5倍で取引されており、これは過去5年の平均である16.6倍に比べると割高です。
しかし長期金利を見ると米国10年債利回りは1.77%と極めて低い水準です。したがって少々PERが高くても我慢できなくはありません。
米中貿易交渉は第1ラウンド合意が12月15日前後に発表されるのではないか? と言う期待があります。その反面、一部報道では「今年中はムリ」という観測も流れているそうです。第1ラウンド合意が成立し、それが発表されたあかつきには「相場は知ったら、しまい」で好材料出尽くしになるリスクもあります。
いずれにせよ、現在はリスク・リワードを考えた場合、未だリワードの方が大きいように感じます。